運動機能を衰えを示す「ロコモティブ症候群」という言葉を日本整形外科学会が2007年に提唱してから9年。
啓発が進み、メタボリック症候群が「メタボ」と呼ばれるように「ロコモ」という省略を聞く機会も増えた。
日常生活に支障がないと思っていても、幾つかの「ロコモのサイン」が当てはまると、要介護や寝たきりになる危険性が高まることが分かっている。
進行を防ぐには、できるだけ早く衰えの兆候に気付き、運動を心掛けることが大切だ。
ロコモになる原因は運動機能に関わる器官である運動器のけがや病気。主に「骨粗しょう症や骨折」「関節軟骨や椎間板の異常」「筋肉虚弱や神経の異常」の三つだ。
自立した生活ができている高齢者でも、運動機能や骨密度は気付かないうちに低下する。それを放置すると、ドミノ倒しのように次々と悪くなる。
13年の厚生労働省調査では要支援、要介護になった原因の25%は運動器の障害だ。
日常生活でのロコモのサインとして「片足立ちで靴下がはけない」「家の中でつまずいたり滑ったりする」「階段を上がるのに手すりが必要」などの7項目を挙げている。
学会では13年から「ロコモ度テスト」も導入した。
高さ10~40センチ刻みの台に座った姿勢からの「立ち上がりテスト」で、下半身の筋力を測る。
「2ステップテスト」はできるだけ大股で2歩進み、その長さを身長で割る。筋力とともにバランスや柔軟性が分かる。
痛みや困難を感じている場合は、テストではなく医師の診察を受けることが必須。
衰えに気付いた人が機能を保つ生活に変えられるかどうかが大切。
運動を勧めても、転倒が怖くて外に出ず、さらに弱っていく人も多い。
お勧めのロコモチェックは「片足立ち」。
片足立ちは歩く動作の一部。バランスを取って立つだけでも、筋力や神経など相当に複雑な運動になるので、ふらつくかどうかで初期の衰えが分かるからだ。
片足でバランスを取る運動は、ロコモ防止の体操にも取り入れられている。