がんの経験者が復職しやすい職場の条件は、助け合う人間関係と仕事の裁量、そして過去にも経験者がいたこと。
厚生労働省研究班が、働く人たちに実施したアンケートで、こんな傾向が明らかになった。
アンケートは2014年、20~60代の男女計3710人にインターネット上で実施。
「あなたの職場に、がん治療が理由で業務量が制限される同僚がいても、受け入れる風土はありますか」と尋ねたところ、42%の人が「ない」と回答したが、そうした回答の背景にどんな職場環境があるのかを解析した。
その結果、受け入れる風土がないとの答えが多かったのは、まず、上司や同僚と気軽に話せる、頼りにできるといった「助け合い」の少ない職場の人で、助け合いが多い職場で働く人の1.4倍だった。
自分のペースで仕事ができる、職場に自分の意見が反映されやすいといった「仕事の裁量」が小さい人は、大きい人に比べ1.9倍。
過去にがん経験者と働いたことがない人は、ある人に比べ2倍にもなった。
一方、仕事の量が多いか少ないかは無関係だった。
忙しくても、仕事の調整がしやすければ、職場として対応は可能と考えられるという。
がんは通院での治療や患者の長期生存率が可能になりつつあり、働き続けたいと望む患者への支援が課題となっている。
がん経験者が職場に戻る際、人事担当や産業医は、どの職場が適切かをよく考える必要がある。
復職者が働く姿を見れば、職場での受け入れも拡大していくのではないか。