歯周病は、歯を支えている歯茎や骨を口の中の菌が徐々に破壊していく病気だ。

 

それだけでなく、菌が血液に入り込み、循環器疾患など全身にさまざまな悪影響を及ぼしていることが最近の研究で明らかになっている。

 

心筋梗塞の危険因子は喫煙。

 

たばこが原因の口臭では。

 

心筋梗塞など急性冠動脈症候群の患者を調べた。

 

すると全体の3割で口の中から歯周病菌を検出したほか、この菌が血液中に入り込んでいることを示すデータも得られ、発症に関わっていることが分かった。

 

歯周病菌は食べ物のかすと唾液が混ざってできる歯垢や歯石の中で増える。

 

傷んだ歯肉の表面から血液に入って全身をめぐり、血管の内壁に取り付いて炎症を起こすと考えられる。
 

菌の種類は700~800、病気を起こすのは、そのごく一部であることがその後の研究で明らかになってきた。

 

歯周病菌が関連するとみられる病気の種類も増えてきた。

 

糖尿病や低体重児出産のほか、循環器疾患では、手や足の血管が詰まって起こる閉塞性動脈硬化症やバージャー病、破裂すると死に至ることもある腹部大動脈瘤などがある。

 

閉塞性動脈硬化症の場合、歯周病菌に感染している人では感染していない人に比べ、病気になる割合が5倍多いという報告もある。

 

こうした研究を踏まえ、米国では2009年に心臓病学会誌と歯周病学会誌の編集を担う専門家が合同で、医師向けの勧告を発表した。

 

動脈硬化性疾患の患者では、患者が以前に歯周病と診断されていたなら、歯科医と綿密に連携する必要がある。

 

中等度以上の歯周病の人には動脈硬化症性疾患と関連があることを知らせるべきだといった内容だ。
 

歯周病治療で症状が改善するという証拠は糖尿病と低体重児出産については確立しており、日本でも、糖尿病患者や妊婦に対する歯周病治療は普及しつつある。

 

一方、循環器疾患についてはまだ十分なデータがそろっていないこともあり、日本では米国のように歯科医と医師で連携を図る動きはまだない。

 

歯周病が疑われる症状

 

一つでも当てはまれば歯周病の可能性が大きい。
 

・歯茎の色が赤い。(きれいなピンク色ではない)

 

・歯茎が下がり、歯が長くなったように見える。

 

・歯と歯の間に隙間ができている。

 

・歯茎が腫れることがある。

 

・歯茎から血が出ることがある。

 

・歯茎から膿が出ることがある。

 

・歯がぐらぐらする。

 

・起床時に口の中が粘ついた感じがする。

 

・口臭がある。

 

・冷たいものや熱いものが歯にしみる。