日常生活のさまざまな問題に前向きに対処する人は、そうでない人に比べ、がんで死亡するリスクが低いとの研究を、国立がん研究センターがまとめた。
全国10都道府県に住む、がんではない50~79歳の男女約5万5千人を平均9年余り追跡した。
チームは被験者に、日常経験する出来事や問題にどのように対処しているかをアンケート。
回答として用意した6通りの行動パターンから判定する「前向き」「逃避型」「特に定まっていない」などという態度の違いや、特定の行動パターンによって、がんの発症や死亡のリスクに違いがあるかを調べた。
その結果、「解決する計画を立てて実行する」「誰かに相談する」「状況のプラス面を見つけ努力する」といった前向きな対処をする人は、特に態度が定まっていない人と比べ、がんを発症するりすくには差がなかったが、がんで死亡するリスクが15%小さくなっていた。
個別の行動パターンで見ると、プラス面を見つける努力をする人で、がん死のリスクが小さかった。
脳卒中の発病リスクについても同じ地区の人々で同様の追跡調査をしたところ、前向きに対処する人のリスクは低いという結果が得られた。
チームは、問題解決に前向きな行動をとる人は、検診を受けて病気を早く見つけたり、早期に診断されたりする確率も高いため、がん死亡リスク低減の望ましい結果につながるのではないかとみている。