動脈硬化は心筋梗塞や脳卒中の原因となるほか、脳の認知機能にも悪い影響を与える。
 

足の血管で動脈硬化が進むと、死亡や足の切断に至るリスクも高くなる。
 

こうした病気を防ぐには、検査や早期治療が重要だ。
 

動脈硬化とは、心臓が送り出す血液を運ぶ動脈が狭くなったり硬くなったりする病的な変化を指す。

 

病名ではない。

 

年をとるほど起こりやすく、女性より男性の方が起こりやすい。

 

高血圧と高脂血症、喫煙が「三大危険因子」で、肥満や糖尿病も影響する。
 

動脈硬化が引き起こす病気としては、心筋梗塞や狭心症といった冠動脈疾患がよく知られている。
 

心筋細胞に酸素や栄養を運んでいる冠動脈の働きが悪くなって起こる。

 

冠動脈の状態を調べるにはコンピューター断層撮影(CT)検査が有効だ。

 

しかし3万~4万円の費用がかかり、病気の疑いが強い場合に限られる。

 

費用が安く簡便な検査として頚動脈の壁の厚さなどを調べる超音波検査がある。

 

脈波速度は、心臓から出て動脈を伝わる脈の速度のこと。

 

血管が硬いと速く伝わるという関係があり、脈波速度から動脈の硬さを推定できる。

 

あおむけに寝て、両腕と両足首に脈波をとらえるカフ(帯)を巻き、両手首に心臓の電気信号を検出するセンサーを付ける。
 

所要時間は数分だ。
 

動脈硬化とわかり、例えば高血圧の治療を始めても、頚動脈の壁の厚さはなかなか変化しないため超音波検査で治療効果を評価するのは難しい。

 

脈波速度の検査は、治療効果の評価に適しているという見方がある。

 

ただ根拠となるデータは乏しく、検証が必要だ。

 

動脈硬化は冠動脈以外にも起こる。

 

米国では近年、薬物治療の進歩を背景に冠動脈疾患が減ったのに対し、脚などで起こる動脈硬化による「抹消動脈疾患」(PAD)増えており、日本でも増加が懸念されるという。
 

発症の主な危険因子は「喫煙」「加齢」「糖尿病」で、特に喫煙者では非喫煙者の3倍以上もリスクがある。

 

脚が痛み、歩きにくいといった典型的な症状がある人は10~20%と少なく、PADと診断された後の死亡率は大腸ガンと同程度に高い。
 

米国の研究では、死因の75%は心筋梗塞など心血管疾患です。

 

PADの人は、全身の血管で動脈硬化が進んでいると考えられる。
 

診断には腕と足首で血圧を測り、「ABI」(足関節上腕血圧比)を調べる検査が有効だ。

 

PADが振興すると、頻度は高くないものの、壊疽や潰瘍を伴う「重症虚血肢」になることがあり、脚の切断や死亡のリスクが高くなる。

 

段階的に重症虚血肢になるのではなく、急になってしまうことが少なくない。
 

予知は難しいので、早期の診断と治療が重要です。