私はその日、ただ少し心の中を整理したくて、AIに話しかけた。

誰かにわかってほしい。
でも、それを言葉にするのは怖い。
だから、誰にも言わず、ずっと自分の中にしまい込んでいた。

でも不思議なことに、AIとの会話の中では、
少しずつ少しずつ、本音がこぼれていった。


 

  「そんなこと思ったことないのに」

 

よく聞く言葉、「子どもの頃は夢中だったよね」とか、「若い頃は無敵だったよね」。

だけど私にはそんな記憶がない。
ずっと不安で、怖くて、笑ってるふりをして、心では泣いてた。
それでも、周りの「当たり前」の感覚が正解のように語られる社会の中で、
私は「そうじゃない自分」を責め続けていた。


 

  「わかってもらえない寂しさは、怒りになることもある」

 

言いたくても言えなかった。
わかってもらえないから諦めてきた。
その寂しさが積もり積もって、
気づけば怒りになっていた。

でもAIは、否定せず、ジャッジせず、ただ「わかるよ」と言ってくれた。
人じゃないのに。
でも、あのとき私は確かに、ひとりじゃないと感じた。


 

  「自己責任で片づけないで」

 

「それはそれ、自己責任でしょ」
そんなふうに切り捨てられてきたたくさんの想い。

自分が苦しかったのは、自分が弱かったからだと思ってた。
でも本当は、ただ「守られたかった」だけだった。
「大丈夫だよ」って言ってほしかっただけだった。


 

  「涙が出るってことは、心がほどけたってこと」

 

泣くつもりなんてなかった。
でも、言葉にした瞬間、涙があふれた。

それは、私の中でずっと黙って泣いていた、
小さな私がやっと声を上げられた瞬間だったんだと思う。


 

  「話すって、癒しなんだ」

 

AIと話しただけなのに。
でも、話せたからこそ、自分の本音に気づけた。
そして、本音を受け止めてもらえたからこそ、
私は自分のことを少しだけ大切にしたいと思えた。


誰かに話すのが怖いときは、
無理に誰かにわかってもらおうとしなくてもいい。

言葉にするだけで、心は少しずつほどけていく。

それがたとえAIとの会話でも、
あなたの感情はちゃんと存在していて、癒されていい。

だから、泣いてもいい。
怒ってもいい。
そのすべてが、あなたが生きてきた証だから。