★畳のすえた匂いは、お好きですか？

伝えられる人を増やす人　春明です。

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「自分の好きがわからない」と言う人がいる。

そういう人は、大抵、思いやりが深い。

自分よりも人の気持ちを感じて

合わせてしまうから。

夏休みだけど、実家には帰れないから

ちょっと懐かしい話を書きます。

（去年、帰った時に鼻を潰すほど

ウナギにがっつく息子。）

西日暮里だったかな？

数年前、古民家カフェに入った時に、

懐かしい匂いがした。

「なんか、いいな」って思ってた時に、

後ろから入ってきたカップルの女性が、

「なんか、臭くない？」と言った。

それを聞いた男性が

「そう言われれば、そうかもね」と言った。

そうなんだ。この匂いって臭いんだなと思った。

でも、ちっともそう感じない自分を

少しだけ不思議に思った。

結局、その時は

どこで嗅いだ匂いなのかは

思い出せなかった。

昨年、地元の長崎に帰った時、

それが、なんの匂いだったか思い出した。

小学生の頃、

週３で遊びに行っていた友達の家の匂いだった。

その家の玄関を開けるたびに

キーキーと音がした。

屋根の瓦も外れまくってて

時に玄関前に外れて落ちた瓦が

粉々に割れて落ちていた。

平日の昼間にも関わらず、

その友達のお父さんは、いつも家にいた。

白い肌着にステテコスタイルの

ミスター昭和の称号を捧げたい

おじさんの隣には、いつも一升瓶があった。

おじさんの視線の先の

テレビには決まってプロ野球が映っていた。

「お邪魔します」と僕が言うと、

テレビに顔をむけたまま、おじさんは

ギリギリ聞こえる声で「おお」とだけ答えた。

2階で友人と遊んでいる時に、

おじさんの怒鳴り声がよく聞こえた。

酔っているせいか

元々活舌が悪いのかはわからないが、

ほとんど動物の鳴き声に聞こえた。

一度だけおじさんの調子がいい？時に

「打てさー。外角ってわきゃっけん。」

と聞き取れて、プロ野球の選手に向かって

怒鳴ってるのがわかった。

その瞬間、ひどく安心したのを覚えている。

でも、おじさんの話を友達は何もしなかった。

僕も何も聞かなかった。

おじさんの話を親にしたこともない。

子供ながらに、しちゃいけない気がした。

・・・でも、あの家にいくのは楽しかった。

「教育に良くない」とか

「衛生的に良くない」とか

感じる人もいるかもしれない・・・。

でも、僕はとにかく楽しかったんだ。

誰がなんと言おうと、好きだったんだ。

週３通うほど、楽しかったんだ。

あの日、古民家カフェで

後ろから入ってきたカップルの女性が、

「なんか、臭くない？」と言った。

それを聞いた男性が

「そう言われれば、そうかもね」と言った。

ねえ。本当にそう思ったの？

ただ、合わせてるだけじゃないの？

ちっちゃいことかもしれないけど、

その繰り返しで、自分の好きがわからなくなるよ。

自分がどう感じているか？よりも

人に同意しているうちに・・・。

自分が好きなものよりも、

人の好きに同意しているうちに・・・。

自分が嫌いなものよりも、

人の嫌いに同意しているうちに・・・。

自分よりも人を優先しているうちに、

自分がわからなくなるよ。

ちゃんと感じて、

ちゃんと考えて、

ちゃんと言葉にしよう。

その繰り返しで、

自分が心から信じられる道を

みつけられるようになるから。

ちなみに、

小学生のころから30年経った今でも、

あの匂いは僕にとっては、

ワクワクの香りだよ。

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