チャットレディの衣装代は必要経費になるのか? | Mr.資金繰り表 税理士コンドウマナブ

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税理士、資金繰り表ドットコム代表、マイケルEガーバー認定ファシリテーター、マインドマップ公認インストラクター、翻訳家、ボードゲームデザイナーと色々やってます。

確定申告で、女性の方からの質問で多いのは仕事のための洋服や美容関係の支出が

必要経費になるのかどうかです。


税法には、具体的なことは記されていません。


所得税法での必要経費の解釈は「業務の遂行上生じた費用、すなわち業務に関連のある費用をいうが、

単に業務と関連があるというだけでなく、客観的にみてその費用が業務と直接の関係を有し、

かつ客観的にみて業務の遂行に必要なもの。」


ポイントは納税者の主観だけでなく、客観的に必要かどうかということになります。


これに関して、国税不服審判所の裁決事例で面白いものがあったので取り上げてみます。


「チャットレディーの必要経費」


事実関係は、チャットレディを行っていた女性は、外国人で5年間無申告だったようです。

税務署から決定があり、それに対して異議申立てをして

いろいろな必要経費を持ち出してきたようです。


無申告であったことから、まず税務署の心証はめちゃくちゃ悪い。


チャットレディが必要経費として主張したものは


パソコン、ウエブカメラ、衣装代、部屋の装飾(家具類)、美容関係の費用、食品など

最終年度で約200万円


結果的に、パソコン、ウエブカメラは必要経費として認められました。


パソコン、ウエブカメラは、客観的に考えて業務上必要と考えられるわけです。


その他の衣装代や家具類、美容関係はどうでしょう。


結果的には、全て否認されました。


どうも、受け答えが支離滅裂で、客観性を勝ち得なかったようです。


例えば、「学習椅子用のカバー購入は、セーラー服のコスプレをするときに

雰囲気を出すために学習机を購入したから」と供述しているが

その前には、それをPC机と説明していた。


「洋服のサイズがバラバラ(おそらく子供服や、本国に送っていた)なのは

欲しいサイズがないので、パッドを入れたり、ミシンでサイズを直しをした。」


「健康のため乳児用粉ミルクを飲んでいた」


これらに対して、課税当局は

「請求人の本件各費用の業務関連性に
関する各答述は総じて終始場当たり的であって一貫せず、不自
然かつ不合理な内容や本件必要経費書類によって確認できない
内容を無理に関連付けて述べるものと認められるから、全体と
して到底信用することはできない。」

これを当初から申告していて
理路整然と説明していたら全てを
否認されることはなかったかもしれません。

ポイントは、いかに客観性を主張できるかでしょう。

例えば講師の先生の、エステ代やネールサロン代が
必要経費になるかどうか?

ネットワークビジネスのリーダー格の
高級な洋服代は必要経費になるのか?

これらはとても難しいところです。

板東英二さんの植毛費用が否認されたことは
ネタにもなっています。

逆に、パチンコ店オーナーの2人乗りのフェラーリの
減価償却費が認められたケースもあります。

よく、「誰々さんの税務調査では大丈夫だったからOK」とか
聞くこともありますが、

税務調査はケース・バイ・ケースで

こういうグレーゾーンではなく、
明らかに黒である売上の計上漏れなどが
あった場合は、そちらを否認して
グレーゾーンは指導に留めるという
ケースもままあります。

こういうケースで、主観的な判断なのか
客観的に認められるのかの判断は
手前味噌にはなりますが、
税理士に相談されるのが良いと思います。

上記のケースで、税務署に相談にいったら
まずアウトと言われると思います。