前編では「ドリブルは自重の運動エネルギーをボールに伝えて前に運ぶ」という事を学びました。
後編では「方向転換」について考えてみたいと思います。
ドリブルで前にボールを運んでいる最中にDFが寄ってきた。
方向を変えたいなとなった時、大多数のプレイヤーは足を振り上げ(足の筋肉を使用し)、ボールを左から右、もしくは右から左に「叩いて」方向を変えています。
しかし、ある理由からこれはとてもレベルが低い方向転換です。
その理由とは、足がフェイントなどフェイクをいれる為、もしくは抜くための予備動作をつくる仕事を出来なくなるからです。
実際に、もし足に「ボールを止める」と「フェイクをいれる」の二つの仕事をさせようとするとミスを起こすようになります。
これはどんなに技術に自信があろうと必ず起こります。ましてやプレーするレベルが高くなり「ボールを止める」と「フェイクをいれる」のつなぎ目が速くなれば速くなるほど起こります。
なぜなのか?
それは人間の脳にはスリップ現象というものが存在するからです。
極めて基礎的な動き、例えば「ボールを足裏でなめて引く」とか「アウトサイドでボールを外にはたく」というような動きは、10年以上サッカーをプレーしている選手は無意識で行います。
これはその運動パターンが「歩く」と同じように大脳レベルに収納されているという事が言えます。
しかし、試合の中で新しい状況にでくわし、複数の基本的な行動パターンを組み合わせなければいけない場合になると問題が生じます。
例えば「左インサイドで止めて」、「右足裏でボールを引き」、「左の軸足の後ろをボールを通す」という行動を素早く行おうとします。
すると大脳から引き出されてきた各行動パターンは小脳によって統制されますが、この時あまりに早くやろうとすると順番が入れ違いになることがあります。
つまり、「左インサイドで止めて」、右足が「左の軸足の後ろをボールを通す」為の予備動作を開始して「右足裏でボールを引き」つけようとする様なことが起こります。
当然、右足が余計な予備動作を挟んでいるので、右足にボールがつかずミスをすることになるでしょう。
これがスリップ現象です。
この「いつか必ず起こるミスの確率」が上がる為に、ボールの方向を足の筋肉の動作で変えようとするのはお勧めできない訳です。
ではどうするのか?
答えは、身体がボールを追い越し、ボールの軌道上に足を「置いて」身体の質量、もしくは足の質量に「当てて」止めることです。
つまり、「ボールを止める」という仕事を身体の質量に任せることにより、足が行わなければいけない仕事を一つ減らす事ができるようになります。
その減った仕事の分、足は「ヒザを動かすフェイクをいれる」や「軸足を宙に浮かす」といった動作を行えるようになります。
このできる仕事が一つ増えるということが1vs1においてどれだけの恩恵になるかはサッカーをプレーした人ならば容易に想像できるかと思います。
以上の事から、前編で言った「重心からの距離が発生する事自体が問題」の意味も想像がつくのではないでしょうか?
ボールをなるべく身体の重量で止める為、ボールは常に重心の近くにあればあるほど「良い」のです。
裏を返せば、「蹴って」重心から離れれば、その「離れている間、方向転換できない」という事を意味するからです。
蹴って方向を変えること自体はできます。しかし、その状態は足が他の仕事をできない為、1vs1としてみた場合、明確に「不利」な状態なので「有利」を積み重ねる競技としては可能な限り避けるべき状況です。
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