案外間違いの多い猫さんの乳腺腫瘍に対する手術のやり方  | みなとまちアニマルクリニックの「裏」ブログです。

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こんにちは。こちらは「非公式」ブログです。書いている内容は、あくまでも著者の一意見であり、賛否のご判断はお任せします。読み飛ばす程度に呼んでください。僕は自戒のつもりで書いてます。

 

猫さんの乳腺腫瘍3日目です。

 

乳腺腫瘍の治療の原則は外科的切除です。

 

猫さんの場合は8割以上が悪性であるため

 

根治目的の場合は

 

腫瘍の大きさに関わらず

 

少なくともその腫瘍が発生している乳腺の片側全切除がセオリーだと思う。

 

だと思うって書いたのは違う意見もあるかもしれないから。

 

でも「そこだけ取っておしまい」にしたせいで

 

また悪くなっちゃったというセカンドオピニオンによく遭遇する。

 

偉い先生方がこうしなさいって言ってんだからそうすりゃいいのに

 

もしくは知らんのかなと考えるけど

 

まあそんなん僕には関係ないしいいかなと。

 

両側発生の場合は

 

発生数が少ない方を部分切除する方法は取らず

 

片側ずつ1ヶ月あけて

 

行けそうなら両側の乳腺を同時に切除することが多い

 

昔は術式で生存期間に有意差がないと報告されていたけど

 

最近では抗がん剤を併用すると

 

両側切除、片側全部の切除が生存期間中央値が長かったという報告がある。

 

両側同時切除は何がむずいの?と思われるかもしれないんだけど

 

特に脂肪が多くて皮膚に余裕のない子なんかは

 

そもそも皮膚がよらないし

 

広範囲を切除することで

 

術後の疼痛や合併症が懸念されるために

 

片側ずつやることが多いんだよね。

 

こういう時に麻酔科医とか集中治療に長けた人がいて

 

そっちをお任せすると

 

すごく成績がいい。

 

ちなみに予想はつくけど術後合併症の報告では

 

片側19%、段階的な両側35%、両側40%と

 

まあ想像通りの結果である。

 

僕は広範囲切除した子については術創にドレーンを入れることにハマっている。

 

これは今回は割愛する。

 

あと大事なのは腋窩、副腋窩リンパ節を確実に切除すること。

 

案外奥まったところにあるから

 

厄介だったりするんだけどこれは本当に大事。

 

切開、剥離、皮膚緊張の解除、縫合、解剖学的理解など

 

猫さんの乳腺切除は基本をいかに高度にこなせるかと試される感じで僕は好き。

 

やりたいねえ。

 

でもね、うちバイアスかかりまくりで

 

そもそも意識高い人が多いから

 

避妊してる系の人が多くて

 

セカオピでしか最近は乳腺やらない印象なんだよね。

 

来てくださってもいいですよ。

 

では。