動物病院で出会う意識障害について書いてみた 〜第4話 今度はちゃんと脳のせい〜 | みなとまちアニマルクリニックの「裏」ブログです。

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こんにちは。こちらは「非公式」ブログです。書いている内容は、あくまでも著者の一意見であり、賛否のご判断はお任せします。読み飛ばす程度に呼んでください。僕は自戒のつもりで書いてます。

第3話まではどっちかというと、意識障害だからって全部が脳のせいじゃないんだよということを書いてきました。

 

まあ勿論、意識障害の原因が脳の場合もあるわけです。

 

そもそも意識っていうのは主座は大脳皮質にありますが

 

中脳から延髄にかけての脳幹網様体が大脳の活動調整に重要な役割を果たしています。

 

 

だから大脳、間脳、脳幹のいずれかにある損傷および障害によって様々な程度の意識障害をおこします。

 

じゃあ脳神経系の異常による意識障害が起こったときに、治療のポイントはどこになるのか。

 

頭蓋内圧の上昇を抑え込むというところが一つ大きなポイントになると思います。

 

脳ってのは当たり前だけど頭蓋骨という密室に囲まれています。

 

そこの中の圧力が高まれば、脳はより大きなダメージを追うことになるのはご想像いただけると思います。

 

犬猫さんでは頭蓋内圧は5〜12mmHgに保たれています。

 

頭蓋腔の空間は限定的であり、脳実質(80%)脳脊髄液(10)血液(10)というバランスになってます。

 

これらの構造的なバランスが崩れると、頭蓋内圧が上昇してしまいます。

 

もう一つ、治療のポイントというか、

 

こういうシグナルが出たら危ないなとわかるのが「徐脈」です。

 

生理学的にはクッシング反射と呼ばれます。

 

こういう図で見るとムズイですよね。

 

噛み砕いてみます。

 

頭蓋内圧が上がると、脳の血流量は低下します。

 

狭いホースの中はお水がたくさん通ることは難しいですよね。

 

脳的には虚血(つまりは酸素がこない状態)は避けたいわけですよ。

 

だからちょい小賢しいことをします。

 

俺やばいぞってのを知らせるために、脳内の一部の二酸化炭素濃度をあげにかかります。

 

そうすると、管理人が「お、あそこ二酸化炭素すげーでてる。てことは酸素が少ないな」と気づきます。

 

そうやって脳血管を無理くり拡げて酸素を呼び込むんです。

 

ついでに言うと脳ってそれなりに権力のある輩ですので

 

交感神経もそそのかして平均血圧の上昇をさせるんです。

 

つまりはホースをつまんで、出口付近を広げてあげるんです。

 

ほら、一時的にはたくさんの血がきますよね。

 

だけどもね。

 

付け焼き刃は往々にして失敗します。

 

頚動脈や大動脈圧受容器(つまりは高速道路のオービスみたいなもん)が全身性高血圧を感知して

 

なんかおかしくね?下げなきゃな。

 

迷走神経さん、ちょいと落ち着かせてくだされ。的な感じで呼びかけます。

 

そうすると、圧力が上がった状態で血流が行き過ぎるのを防いで行くためには

 

そもそもの心臓の動きを緩慢にするのが手っ取り早い。

 

こうして徐脈になるんです。

 

だから徐脈になってんのを確認したら

 

今のお話の根本にある「頭蓋内圧の上昇」に対して

 

何らかの介入をしていかなければなりません。

 

ただ、頭の中の話なので武器が非常に少ないんですよね。

 

そして中々、確定診断できる状況が少ないからそれにも困らされる。

 

MRIとってなきゃ脳の中に腫瘍があるってわかリません。

 

仮にわかってても、圧力って腫瘍が小さくなってくれない限りは完全には逃せませんよね。

 

んー難しい。

 

では。