直島 地中美術館 デ・マリアの部屋 | 美術館旅のススメ

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主に今まで行ったことのある地方美術館・アートスポットの素敵なところを発信していきたいと思います。
ちょこっと周辺のおすすめポイントをご紹介することも…!?

さて!本日は、【デ・マリアの部屋】のご紹介です。

ウォルター・デ・マリアという作家をご存知ではない方も多いかなあと思います。
代表的な作品の1つは、アメリカ・ニューメキシコ州にある「The Lightning Field」(*1)でしょうか。
ひらたーくどんな作品か言いますと
 
平原に金属ポールを格子状・等間隔に設置した作品
 
この地域はよく雷が発生するらしく、このポールに落雷が起こったりします。(わりかしまれなんだそうですが)
 
”「自然の素材」を用いて砂漠や平原などに作品を構築する美術のジャンル、またはその作品のこと”
ランドアートといいます。(*2)この「The Lightning Field」もランドアートの作品です。
その場に行かなければ鑑賞できないサイトスペシフィックな作品でもあります。
さらに言えばその時に体感する気温や空の色(たまに落雷)なども一度として同じ条件はないわけで
つまりはその鑑賞体験は、「そのときの一回しかないもの」になるのです。
 
個人的なイメージではありますが、デ・マリアの作品は「シンプルなかたち」と、「シンプルな数字」が特徴的だなあと思います。
この「The Lightning Field」も海抜2200mの平原に220ft間隔でポールが立っており、全体は東西1mile×南北1km。本数は400本。(*3)
その数字に何か作家の意図を求めてしまいがちですが、私はそこにあるのはただ「美しさ」なのかなあと思います。
 
さて、ここで本題の地中美術館の作品「Time/Timeless/Notime」(*4)に。
この空間はとても大きく、何かの祭壇のような神々しい雰囲気もあり
私がボランティアをしていた時は、案外この階段を昇らずに、「ほお…」と立ち尽くしているゲストの方が多かった気がします。
階段は最上段までのぼって大丈夫ですよ^^(ただし彫刻にはさわらないように!)
 
この空間は、全体の大きさや階段部分の長さなどデ・マリア自身が決めて作られています。
 
設置されているのは、金色の木彫と、中央にある黒い球体。
これもですね、シンプルな数字が絡んでいます。
木彫は三角形・角形・角形のすべて違う組み合わせでできており、3*3*3=27体(←3が3つ)あります。
球体の直径は2.2m(←2が2つ)。見た目だけでなく、数字も美しい。
 
そしてここも「自然光の展示」であり、「その場・その時しかない鑑賞体験」をすることができる作品です。
上の採光窓から差し込む光が、金色の木彫にきらっと反射したり、気が付くと階段にあたってかくかくっと曲がっていたり
その光の柔らかさや色も、毎回見るたびに違う表情を見せます。
私のおすすめは、夏の朝~昼かなあ…さわやかでシャープな光がとっても気持ちがいいです。
 
もう1つ、実はこの空間には時々音が鳴ります。
そんなに大きな音ではなく、何時ピッタリというような規則性なく鳴るので気づかない方も多いのですが、稀に「ドラムの音」が聴こえます。
デ・マリアが美術家と音楽家のグループでドラマーをしていた(*5)ことも関係しているのかな…?
 
こういった作品は、割と「理解しにくい」ため近づきがたい印象もあると思いますが、
わからなくてよくて、「きれー!」とか「なんか空気ひんやり!」とか単純なものでも、言葉にできなくても
その時に感じたこと自体が、とても価値のあることですから、臆せず体感してみてくださいね。
 
ここまで読んでいただきありがとうございました!
 
*1:Walter De Maria, The Lightning Field 公式ページより写真引用
*2,3,5:Wikipediaより
*4:地中美術館HPより写真引用