9月最後の日となりました。
今月も悠人さんのblogで開催された「悠々自適」句会に参加したので、感想を書いておきたいと思います。
第56回blog句会のテーマは
「今」を「点」でとらえて詠む。
ずいぶん昔、悠人さんが「俳句の中の景は動画というより、静止画です」とおっしゃったことがありました。
その当時の私は、俳句のことを全然わかっていなくて「どうして静止画なんだろう?動いているものは表現しにくいのかな」と不思議に思いました。
そして現在。第56回blog句会に参加して皆さまの句に出会い「今を点でとらえて詠むのが俳句」ということ、実感できた気がします。
句会で私が選句した8句について、以下に書かせていただきます。
裏庭に死せる小鳥や秋時雨 風花さん
ひっそりと生を終えていた小鳥を作者が発見した。その1点に焦点が絞られています。
とても寂しい。寂しい中にも「詩」を感じます。
作者は小鳥を悼む気持ちや寂しい思いを季語に託されたのかなと思いました。
赤とんぼ舳先に止まり川下り 静可愛さん
「舳先」という1点で赤とんぼが静止。
下五で「川下り」という全体が明らかになりました。
句会に先立って『対象を広くひとまとめに詠うのではなく、一点に絞って詠う』と教えていただいたのですが、みごとに実践されていて感心しました。
糸瓜忌や指跡付きし野球帽 風花さん
「糸瓜忌」、正岡子規の命日ですね。
近代俳句の父といわれる正岡子規ですが、野球好きでも有名でした。
新聞記者当時、「打者」「走者」「死球」などの言葉を翻訳。
野球の俳句をたくさん生み出し一般大衆に広めたことで、野球御堂入りしています。
「野球帽」が、そんな子規の横顔を思い出させてくれました。
「指跡付きし」の言葉が活きているなぁと思いました。
草ひばり旅立つ人を見送りぬ 悠人さん
季語「草ひばり」と、旅立つ人を見送る心が響き合い、味わい深い句です。
「旅立つ人」は悠々自適句会を卒業していく方のことだったと、あとでお聞きして、この句の美しさがいっそう心に焼き付けられました。
その方が今後もご活躍されますようにと祈る心。その思いを「草ひばり」に託したのですね。とても感動した一句です。
かりがねやあかがね色の空となり 笑い仮面さん
秋空に響く雁の鳴き声。空があかがね色に染まる時。
きれいな景があざやかに浮かんできました。
「空となり」の表現は、「空があかがね色に染まった状態」の完了をあらわしているのですよね?
事前の勉強で、
『発端、経過、完了と分けてみたとき、完了の点で詠むと発端、経過も連想されてくるものである』と教えていただきました。
その点をきちんと押さえておられて、すごいです。
崖に沿ふ渡り廊下や葉月潮 寿々さん
崖に沿った渡り廊下。
そこから葉月潮(秋の大潮)を眺めておられたのでしょうか。
満月の夜、満ちてくる潮。
じつに迫力ある景色だったことでしょう。
ひとすじの影抱へしかきりぎりす 笑い仮面さん
きりぎりすの目立つ後ろ足とか、思い浮かべると、自身の影を抱え込んでいるように見えますね!
「ひとすじの影を抱えている」ところに何となく哀愁を感じさせ、笑い仮面さんの手により、きりぎりすが素敵な虫に昇格しました。
古民家の宿碧眼の映す月 あ〜すけさん
日本の古民家を訪れていたのは外国からのお客様だったのでしょうか。
碧眼の持ち主は、すらりとした美女。。。のような気がします。
古民家の宿では、異色の目立つ存在だったかも。
そんな彼女が、しみじみと月を眺めている。
色々と勝手に想像してしまいました。