6月のはじめ、悠人さんが『俳句という共鳴』という記事を書かれました。
『俳句とは、季語に対するリスペクト』という考察が心にしみ込んできました。
季語が大切なものだと知りながら、季語以外に「あれも」「これも」詰め込もうとして失敗してきた自分は、季語へのリスペクトが足りなかったのかもしれません。
そういうことに気づかせてもらえて良かった。しかし、すぐに句作に活かせたかというと。。。ダメでした(´・_・`)
それでも人さまの句を鑑賞するときに、この観点は役にたちます。心に響く句は、やっぱり季語が主役。そのことを実感した第53回「悠々自適」句会。
自分の選句について書かせていただきます。
梅雨晴れ間空に断崖ありにけり ひょうたん機さん
今回の最高得点句です。
季語と「断崖」の調和が素晴らしいですね。
断崖という言葉が、これほどの清々しさをもたらすとは。
これも晴れ上がった空あればこそ。お見事でした。
梅雨寒しカフェにボサノバ流れけり 日記さん
作者とともに、このカフェにおじゃました気分になりました。
居心地のよい空間が見つかって良かったです。梅雨寒でも心はあたたかい。ボサノバ、良いですね〜
七変化あぶくのやうに目覚めけり マミーエリさん
「あぶくのような目覚め」、わかる気がします。眠っている間、意識は水のなかに沈んでいたのに、少しずつ水面に向かって浮かんでいって覚醒。
七変化の花も、色が移ろうたびに目覚めているのかも。
梅雨茸を月が妖しく灯しをり あ〜すけさん
この句に出逢うまで、私にとって季語「梅雨茸」はリスペクトの対象ではなかったような気がします。(カビのように思ってしまっていたのか。。。梅雨茸さん、ごめんなさい)
あ〜すけさんの梅雨茸、とても魅力的です。「灯しをり」がとても良かったです。
水中花人に逢ふ坂のぼりけり マミーエリさん
人に逢うために登り坂を進んでいく。水を吸うごとに花をひらいていく水中花のように、心弾んでいる感じでしょうか。
それとも、水中花のある室内の窓から、坂道を登りゆく人の姿を見ているのでしょうか?
水中花と登り坂の取り合わせに惹かれました。
ポプラ坂の向かふ夏雲立ちにけり 悠人さん
この句は「映像」をはっきりと見せてくれます。
ポプラ坂の構図が夏雲を見事に立ち上がらせた。そんな感動を受けました。
青嵐鶏は鶏冠を誇りけり ひょうたん機さん
たしかに鶏は鶏冠を誇っていると思います!
「青嵐」との調和で、鶏冠も輝きました。
虎が雨赤き柱に凭れけり マミーエリさん
「虎が雨」は、曽我物語の虎御前の涙雨だといわれています。
「赤き柱に凭れけり」このワンフレーズには不思議な力を感じます。遠い昔に遡って、虎御前の姿をイメージできたような気が。美しい女性として浮世絵に描かれていますね。