この前のブログには、配合の句(一句のなかで2つの事物を取り合わせたもの)を作ろうと、挑戦したことを書きました。
4年ほど前、悠人さんの句会にて、私は「吊るし柿が、つるされていました!」という内容の何の奥行きもない句を作ってしまい、悠人さんから「もう少し何かと衝撃させたら」と助言をいただいたことがありました。
季語(つるし柿)に対し、もう一つ何かを。
二物とりあわせについて、言ってくださったのですね。
私は、その助言の内容以上に、悠人さんがおっしゃった「衝撃」という言葉のほうを、つよく印象に残しました。
なんとなく、ですが「衝撃は、天才がすることではないだろうか?」と考えました。初心者の自分は「五・七・五」のリズムだけで精一杯。。。というふうに思っていたのです。
第23回blog句会に参加して、秀句にたくさん出会い、『二物衝撃』が実際どんなものであるのか知ることができました。選句した八句を、ご紹介させてください。
★妻の影踏みつつ歩く山粧ふ しらぬいのがね さん
「粧ふ山」に「妻の影」。
夫が、妻のすこし後方を歩いておられるのでしょうか。
影を踏むくらいの位置から妻を守っているのですね。
★山粧ふ鉄路の失せし枕木に 悠人さん
山は美しく彩られている。片方には廃れていくもの。
枕木「に」で終わっているところがすばらしい。
廃れていくものにも、山は惜しみなく彩りを見せているのです。
★山粧ひ宿の灯りのともりたる 笑い仮面さん
粧ふ山を、いつまでも見ていたいけれど日暮れが近づいてきました。
そんな中、ともった宿の灯り。なんてあたたかいのでしょう。
★山装ふ城崩れしも威の存り来 マミーエリさん
もしかして熊本城ですか。県民の皆様の誇り・名城。
威厳が失われていないのですね。励まされます。
悠人さんの句と同様、片方に「喪失感」を置いた効果。
両者が響きあい、心にせまってきます。
★生も死も皆沈黙に山粧ふ 享仙さん
わたしたち人間にとっては、生も死も「一大事」です。
でも大きな自然の前では、生も死も、ただの事実でしかなく。。。そんなことを考えました。
不思議な句です。「生と死」という人間の一大事と「山粧ふ」の取り合わせ(衝撃)と言えなくもないですが、、、圧倒的な大自然「山粧ふ」礼賛の一物の句でしょうかね。
だって、一大事が沈黙しているのですもの。
★聖堂に祈る人あり蔦紅葉 享仙さん
蔦紅葉は、建物(聖堂)の壁を覆っているのでしょうか。
その場所で祈りをささげる人の姿。とても美しい光景です。
★紅葉山配しダム湖の静かさよ マミーエリさん
静寂がいっそう紅葉山の美しさを際立たせています。
ダム湖が主のようでありながら、その湖面には紅葉山が映っているのかも。
★無事終わる防災訓練山紅葉 ショウちゃん さん
「無事終わる」に、ほっとした感じが出ています。真剣に防災訓練に取り組んでいたのです。
終了後、目にとびこむ山紅葉。メリハリのきいた句だと思いました。