物語を書く。疑心暗鬼の後。 | Suitably fine

Suitably fine

湊渡蓮です。歌手です。
活動は公開生放送、ニコ生、ツイッターが主です。
作曲を頑張ってます。
作曲は無理でした。
ドラマ出たり映画出たりライブやったりしてます。

2020年(予定)インディーズデビューします!!!

「ごめんなさい」
彼女は確かにそういった。

彼女の挙動がおかしくなったのは三ヶ月前からで、朝帰り、夕方からの外出。
デートの約束もすっぽかしてた。
俺は浮気と確信した。
長年連れ添った関係が一気に崩れた。

「でもねこれだけはきいて」
俺は耳を塞いだ。
「あなたとの為だから」
聞こえない何も聞こえない。
これは浮気だと思ったから。

「人の話聞いてる?」
聞いてない。怒りで殴りたくもなるそこはぐっと抑えたが。

「今週末空いてる?大事な話があるの」
俺は別れ話と気づいた。
今でいいじゃん。そう伝えると彼女は確かにと首を縦に頷いた。

「結婚してください」
耳を疑った。どういう事だ?
「寝る間も惜しんで指輪買っちゃった!つけて」
逆プロポーズですか?
「心配かけてごめんね。私あなたより年上だから、このくらいやらなきゃ」
と言って指輪を差し出した。
シンプルなデザインのペアリングだった。
浮気じゃないの?
と問詰めると。
「給与明細見る?」
と返してきた。
信じるしかない。

28にもなって、彼女にリングさえ渡せない自分を呪った。
疑ったことを呪った。
ごめん。

「結婚してください」
勿論俺はオーケーと言った。
だけどもう少し待ってほしい。
俺がいい指輪買ってやるからそれまでは。
彼女は頑張ってくれたんだから俺も頑張らなければならない。

彼女は泣いていた。
「ありがとう」
と繰り返し泣いていた。