物語を書く。日給35000円の【仕事】 | Suitably fine

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湊渡蓮です。歌手です。
活動は公開生放送、ニコ生、ツイッターが主です。
作曲を頑張ってます。
作曲は無理でした。
ドラマ出たり映画出たりライブやったりしてます。

2020年(予定)インディーズデビューします!!!

夜明けの上野は飲み屋から出てきたサラリーマンと大学生に溢れていた。
鶯谷から歩いて上野まで20分位か。
朝方になると秋の気温はぐっと下がる。
私は金を持って上野のファストフード店にコーヒーを飲みに入った。

派手な格好をしてても中身は子供で日給35000円は結構大金だった。
頑張れば二件行ける。
まだ18歳。稼ぎ時だからほぼ毎日【仕事】をしている。
大人になりきれない寂しい最終学歴高校中退。

昼間は悪友たちと遊んだりしてるけれど、夜は出会い系で知り合ったカモを連れてホテルに行く毎日。
お金が必要な年頃だから。
皆やってるから。全然平気だった。
流石にゴムしてくれない客はマジ蹴りしてお金引っ張って買えるけど。

私の彼氏はお金のかかる人。
「今月やばいんだわ」
そんなことを言われてしまうと助けてあげたくなる。
彼の仕事は夜の仕事だから、売上がいかないと私が援助していた。

ファストフード店の中でコーヒーを飲みながらメールをしていた。
いつもの様に彼は「客が来ない」とか「客が飛んだ」とか言っていた。
見せに行く時もある。
それでも毎日メールが来るこまめな彼氏と私は思っていた。

【仕事】の話しも彼が教えてくれた。
友達にも教えてあげた。
「病気と妊娠だけは気をつけろよな」って言ってくれるし私は大事にされてるって思っていたんだ。

いや、無理に思っていた。
そんなはず無いと思ってただけ。
彼にとっては私はお金そのもの。
愛なんてないそんなこととっくに気づいてた。
親は心配するし、補導もされた。
でも時給1000円のバイトには戻れなくなってた。

体を売ればお金になる。
我慢すれば汚い親父に抱かれても彼に褒められるから。
兎に角、彼に褒めて欲しくて仕方なかった。
でも彼は徐々に離れていった。
私のお金じゃ足らないらしい。
私は今までやって来た事を恨んだ。
自分がすごく汚れていった事に。
自暴自棄になって首を括ったこと、彼に報告してもメールは帰ってこなかった。
最後のメールは「重いんだよ」だって。
なんの為に落とされたのかな。

手首を何度も切った。汚れた体を何度も洗った。
それでも綺麗にならなくて、死ねなくて初めて今までの【仕事】に後悔した。
【仕事】と言っても親父に抱かれてお金をもらう援助交際。
いけないことと解っていたはずなのに、彼に褒めて欲しくて精一杯頑張った。
なのに彼は私を捨てた。

彼との出会いは新宿の駅のすぐそばの喫煙所。営業トークだと思っていたけど。
ナンパだった。
今思えば営業トークだって気づいたけれど。

彼との連絡はとれなくなった。拒否された。
絶望しかなかった。
友達には裏切り者と蔑まれた。
【仕事】紹介してきたくせに自分はヤメるんだって連絡取れなくなった。
私は経つことにした。
彼がいない彼からのメールがない今生き甲斐がなくなってしまったから。

カーテンレールに括りつけたベルトを首に。
椅子を蹴ってこの世に手を振った。
さよなら。
苦しみはなくて高揚感が私を包んだ。
次第に苦しくなって息ができないことに気づいた。
目の前が真っ白になってそこからは覚えていない。

おわり