2025年1月17日午後、週刊誌等で暴露された中居正広氏とフジテレビの幹部職員が関わったとされ、フジテレビの女子アナウンサーが被害者と見られる一連の騒動に関する港浩一社長ら経営陣による記者会見が行われた。


内容については既に報道されているのでここでは省略する。


ほんの数年前だったら、この手のスキャンダルは、ジャニーズ事務所とフジテレビがタックを組んでもみ消していたことであろう。

週刊誌が報じても、所詮週刊誌の報道と言う範囲で済まされてしまう。

また、当事者に対しても、様々な圧力をかけて口封じをする。

場合によっては、闇勢力を使うことだってあった。


しかし時代が変わった。


港社長による会見の中でも、被害者の心情に配慮して内部処理をしていたと言うような表現をしていたが、この後に及んでも様々な理由をつけて外部に漏れないように下に違いない。


今回の会見に際しても、様々な制限を設け実施しており、フジテレビが本件について真摯に向き合っているとはとても思えない。


実際、芸能界における中居正広氏の存在はある意味でアンタッチャブルなものであった。

元SMAPのメンバーであり、彼が司会進行をしている番組の視聴率は全て良好だったからだ。


テレビ局にとって、視聴率を稼いでくれるタレントと言うのは神であり王様だ。

視聴率こそが利益の源泉だからだ。

従ってその神と強いコネクションを持つテレビ職員こそが出世をする。

港社長の存在はその一例だ。


こうしたテレビ職員は神様タレントの影響力を背景にして様々な力を持つ。

番組編成権、キャスティング権、人事権、予算執行等だ。


当然のことだが、テレビ職員は日々、神様の無理難題を受け入れ処理し、実行する能力を持たなければならない。

神様の機嫌を損ねてしまったら、自らの権力を失うことになってしまうからだ。

従って、自らの権力を維持するために、今回の騒動のようなことを延々と繰り返してきていたのがテレビ業界だと言っていい。

これはフジテレビだけではなく、他局も同様である。


一般的には知られていないかもしれないが、テレビ局のビジネスは、電波と言う利権にぶら下がっているだけで、実の所、何も生み出していない。

企画や制作は、ほとんど全て外から来るもので、テレビ局の職員自身が企画、制作をする番組はほぼ存在しない。


テレビ局のプロデューサーのやってる事は、主要なタレントのキャスティングレベルで、後は丸投げと言うのが一般的だ。

実際、テレビ制作の現場で1番仕事をしていないのに偉そうにしているのがプロデューサーというのが業界の常識である。


テレビタレントは様々な能力を背景に業界内、業界外に影響力を行使する。

しかし能力と人格は全く別であり、むしろ能力の高い人間と思われるほど一般的な意味で人格や道徳感が乖離している。

芸能界にいる人間にとって、多少のアウトローな行為は勲章とも言えるものであるからだ。


中居氏のように神様になれば反対意見を聞く事は殆ど無い。

完全に裸の王様(神様)である。

中居氏の公式見解を読めばよくわかるが、彼の現状認識はあの程度なのであり、世の中に対する感度もあの程度なのである。


中居氏は、ジャニーズ事務所が事実上崩壊し、かつてのようにスキャンダルをもみ消してくれる背景がなくなった。

今まで散々、わがままをし放題で、数え切れない女性問題を抱えてきていたが、今回に限っては、全てを精算するしかないだろう。


テレビ業界の中心にいる人間たちは、インターネットの脅威をまだ見に染みて感じていないようだ。

インターネットやSNSは、既に情報の有り様を個人レベルにまで解放し、オールドメディアが情報の関所となっていた扉を開け放ってしまったのだ。


テレビの視聴率は今後10年間で壊滅的に落ち込んでいくだろう。

団塊の世代がこの世から去り、テレビをあまり見ない。60代以下が次の世代になっていく段階で、TVはその役割を終えていく。


場合によっては業界が再編されていくだろうし、ビジネスモデルも変わらざるを得ないだろう。

お気づきかもしれないが、2024年以降、トヨタはテレビコマーシャルを放送していない。

これはトヨタがテレビ広告を有効な手段だと考えていない査証である。

当然、この動きは他の大手企業にも発揮していくに違いない。

またコマーシャルにタレントを使うことが大きなリスクだと考える企業も増えるだろう。

また、仮にタレントを使う場合でも、かなり深度の高い身体検査を要求されるに違いない。


昨年来より芸能プロダクションが倒産が急増しているが、テレビ局のビジネスの斜陽に歩みを合わせている現象だ。

テレビ局の収益の減少は、制作費の現象を呼び起こし、当然ながらギャラがカットされる。


大物テレビタレントが動画投稿サイトなどのビジネスに移行したとしても、生き残れるのはごくわずかになってしまうだろう。

それこそが彼らの本当の実力である。


ネットに移行するタレントは、芸能事務所に所属する意味を失い、それはつまり、芸能事務所が不要の時代が近いということである。


芸能界とテレビ業界の闇が、これほどつまびらかに明らかになった例はないだろう。

今後様々な形で中居氏以外のタレントの醜悪なスキャンダルが出てくるに違いない。

場合によっては、大物タレントがこの世から一掃されてしまう時代が間近に迫っているとも言える。


常に傷を持つタレントたちは、戦々恐々としているだろう。