過日、NHKのEテレでWBC優勝監督である栗山英樹氏のインタビュー番組があった。
自身は不幸な病気の事もあり野球選手としては全く大成しなかったが、野球解説者を経て監督として大成したのは多くが知るところだろう。
この番組の中で、ある女性が栗山氏に質問を投げかけた。
ミュージシャンとして生きたいが中々成果が現れず悩んでいるというものだ。
涙ながらに訴える姿に必死さがあった。
栗山氏の回答は、野球選手の例を出し、好きな事をやっている選手は、とにかくそれだけに集中するものなんです。好きだから他の事なんて関係なく、ひたすら野球に打ち込みます。
このアドバイスは、あるところまでは必至にやり切りなさい。その先に答えが見るかるということなのだろうと思う。
私はこのシーンを見ながら違う事を考えていた。
それは栗山氏自身のキャリアから見えるヒントだ。
栗山氏は野球選手として大成しなかった。
それでも野球は大好きで、引退後も野球に関わる仕事(解説者)を続け、その理論的な解説が有名になり監督就任の足掛かりをつかんだ。
監督になった栗山氏の成功はご存じの通りだ。
ここから何が学べるのか?
選手としての才能と野球チームのマネジメントになれる才能は全く別ものだということだ。
共通している事は何か?
誰にも負けないくらい野球が好きだという点だ。
栗山氏の成功要因は、野球というフィールドからは外れず、野球業界の中で解説者を行う事で俯瞰的に野球を見る機会を得た後、チームのマネジメントという立場に変化することで成功したと言っていい。
推測だが、解説者の時代から、仮に自分が監督やコーチだったらどのように振舞うかを常に考えていたに違いない。
また栗山氏なりの野球哲学というものが強くあったのだろう。
それは監督とは選手が迷いなくプレーできるステージを作るのが仕事ということだ。
先ほどのミュージシャンになりたい方に追加のアドバイスがあるとすれば、以下だ。
ミュージシャンとして一生を貫けるような才能を持った人は限られている。
しかし音楽に関わる仕事をミュージシャン以外の立場で行うことは可能だ。
ミュージシャンを目指す事については、目標を設定し、それを達成出来るかどうかで継続するかを決めるといいでしょう。
もし目標をクリアできない場合、他の選択肢が音楽産業にあるかどうかを検討することを恐れないことだと思う。
参照:
ミュージシャンとして成功する人の多数は、26歳までに世に問う作品を出せており、それから少なくとも10年間はコンスタントにヒット作品を産んでいる。
ミュージシャンにとって一番難しい時期は40代に入ってからで、それは1~2世代下の優秀な才能と闘う年齢になるからです。
そして、30代までに積上げたファンを40代で失わないまま50代に突入出来た人だけが、その後の活動を安定的に行えるというのがこの50年間の総括です。
また純粋に音楽だけで一生食っていけるミュージシャンは一摘み程度であるという現実も忘れてはならないことでしょう。