日本時間2024年4月12日(土)、アメリカ捜査当局が水原一平容疑者の事件の経緯を公表した。

 

以下である。

 

https://www.espn.com/prod/styles/pagetype/otl/2024/240411_ent_mlb/2-24MJ2125-complaint-mizuhara.pdf

 

当然だが英語で書いてあり、多くの人には馴染みのない書式なので一般的には読まないだろう。全部で36ページもある。

だからこそ読み込んでみた。

一次情報であり、日本の報道にない点もありそうだからだ。

 

報告書のポイントは以下:

◎大谷さんが水原の違法賭博とご自身の金銭の摂取を知ったのは2024年3月20日のソウルでの開幕戦後のホテルでの個別対話の時。

◎水原は、大谷さんが保有する複数口座の内、自分が賭博で利用していた口座についてだけは、大谷さんの個人的口座でアクセスをしないで欲しいというウソを言って代理人や会計関係者が直接アクセスが出来ないようにしていた。

◎以下が水原の行った所業。

2021年12月から2024年1月までの間に約19,000回、1日平均約25回の賭博行為を行っていた。

◎1回の掛け金は、10ドル~2,460万円。1回の賭け金の平均は約196万円。

◎勝った金額は、$142,256,769.(約217億円)、負けた金額は、$182,935,206(約279億円)。

差し引き$40,678,436(約62億円)の負債。

 

報告書から読み取れること。

◎水原がソウルでのESPNへの取材で語った、送金に関する大谷さんの関与(借金の肩代わりや送金の補助等)は全てウソ。

◎水原は、太谷さん、大谷さんの代理人、ESPNへの取材記者を含め、数多くのウソをついており、病的とも言っていいウソつきだと言っていい。

◎報告書内には水原から調書を取ったとは書いておらず、水原の証言は一切出て来ない。大谷さんの証言は採用されている。
従って報告書は、水原の携帯に残されていたテキストデータの記録等や、銀行に残されていた音声記録と口座に関する送金情報だけで構成されており、それによって結論を導き出している。

 

報告書に不足していると感じたこと。

◎報告書には、水原がブックメーカーのギャンブルを行う際の詳細な金の流れの情報が不足している。水原はボイヤーから借金をしてギャンブルを継続しているのにも関わらず、最終的に水原は約217億円勝ったと書いてある。

しかし水原の口座にあるはずの約217億円が報告書作成時点でどうなっているのかが書いてない。

また水原にはこれだけの勝ち金がありながら、大谷さんの口座から24.5億円余りをブックメーカーの口座に振り込んだ経緯も若干不明だ。

またブックメーカー側は水原に多額の借金があるにも関わらず、勝った金を振り込んでいた理由も不明だ。何故勝った金を保留して相殺しなかったのだろう?

報告書には、ボイヤーが水原へ勝った金を送金した事実を書いていない。

◎大谷さんの代理人は、水原経由でx5848口座へのアクセスを拒否されていたが、日本語が喋れないとは言え、何故直接太谷さんに確認しなかったのかについては言及がない。

◎2023年の記述にはボイヤーのビジネスパートナーという人物が登場し、その人物に対して水原は毎週500万ドルを送金して欲しいという下りがあるが、ボイヤーのビジネスパートナーの関係性は不明で、何故水原にビジネスパートナー宛てに毎週500万ドルを送金して欲しいと言っているのかが不明。

 

 

報告書の記載内容:

 

まず、本報告書の書式は、契約書に似た書式だと感じた。

冒頭に書類内に出てくる人物や言葉の定義が記載されており、その後の文書内での表記を定めている。

なお、本報告書内で大谷さんの名前は実名で登場せず、”Victim A, a professional baseball playerとだけ書いてある。

また英語の報告書内にはブックメーカーに関する人定情報としてBookmaker1とBookmaker2(1のアシスタント)が登場する。

明らかにBookmaker1はボイヤーという名前の人物だと推定できるが、報告書内には氏名での記載はない。

従って本ブログでは、ブックメーカー(ボイヤー)、ブックメーカー(アシスタント)と記載分けする。

 

報告書を一字一句書き起こしても読みたくならないので、報告書に沿って重要なポイントを水原容疑者に関する点に絞って書き出してみる。

(報告書内にはブックメーカーに関する詳細な情報が記載されている)

 

水原容疑者捜査に関する捜査ポイント:

◎2021年11月から2024年1月にかけて$16,000,000(約24.5億円)を超える金額がVictim A(以後大谷さんとする)が保有する口座番号の末尾がx5848である銀行口座からブックメーカーの口座に送金された。

◎大谷さんと捜査機関の間で行われた事情聴取において、彼が保有するx5848口座からの送金に関して大谷さん自身が承認した事実はないと証言している。

◎水原によるx5848口座からの送金は、水原の携帯とIPアドレスを使って履行されている。水原の携帯に残されていたメッセージから違法賭博を始めたのは2021年9月からと考えられる。

そして2021年末までは相当な金額を損失していたようだ。

この時期、x5848口座が開設されている銀行(Bank A)の記録を見ると、口座内の情報が変更されており、水原の携帯と携帯メールに紐づくようにされていた。

◎Bank Aが残していた音声記録から、水原が大谷さん自身と偽って、銀行の行員を騙してx5848口座からブックメーカー(アシスタント)の口座に送金しようと試みていたことが分かった。

◎Bank Aが残していた音声記録から、水原が大谷さんを装い、x5848口座からブックメーカー(アシスタント)の口座に送金しようと試みていたことが分かった。

特に2023年6月、水原はカルフォルニアの中心区域からx5848口座にアクセスし、大谷さんを装ってブックメーカー(アシスタント)の口座に50万ドル(7,500万円)を送金していた。

◎2024年3月、水原は最終的にブックメーカー(ボイヤー)宛てに暗号化されたメールを送り、水原が大谷さんの口座から金を盗んで(送金して)いた事を認めた。

 

まず、ここまでが捜査情報の概略だ。

 

◆違法賭博に関する捜査について:

◎歳入庁と国家安全保障局は、南カルフォルニア州における違法賭博とラスベガスのカジノを通じた資金洗浄について捜査を進めてきた。

◎捜査の中で様々な関係者が浮かび上がってきているが、今回のブックメーカー(ボイヤー)はその1つだ。

◎2023年10月3日、Joel Richlin裁判官の判断でブックメーカー(ボイヤー)への家宅捜索が実施された。

◎家宅捜索で押収された証拠品類から、ブックメーカー(ボイヤー)が違法賭博に関与していると確認された。

◎捜査関係者は、押収品を解析し、ブックメーカー(ボイヤー)が2つの大規模な違法賭博サイトを運営していると判断した。

◎2019年11月3日かその周辺時期でブックメーカー(ボイヤー)は、賭けをしている人たちに対して$15,972を貸し付けていることを伝え、Bank A にあるx1911口座に金を振り込むように指示をした。

◎019年11月23日かその辺りで賭けをしている人々からブックメーカー(ボイヤー)に対して個人的に賭けを請け負うように要請があった。

ブックメーカー(ボイヤー)が600名を超える賭けをする人間を抱えており、全員に対して口座情報、パスワード等を送る事が困難であるとし、不可能だと回答。

これ以外にも多くの情報の記載があった。

 

◆水原とブックメーカーとのやり取りについて:

◎水原やブックメーカー(ボイヤー)の携帯を調査したところ、水原の携帯内には100ページを超えるテキストメッセージが電話番号と紐づけた形で残っており、その中にはブックメーカー(ボイヤー)のエージェントやブックメーカー(アシスタント)の情報があり、水原、ックメーカー(ボイヤー)、ブックメーカー(アシスタント)との間のやりとりも残されていた。

★国家安全保障局の職員は、2024年3月21日、韓国から戻ってきた水原をLA国際空港で足止めし、水原の携帯を差し押さえた。この時点で彼は携帯を捜査することに書面で同意をした。

◎2021年9月8日かその周辺時期、ブックメーカー(アシスタント)は、水原に違法賭博サイトのURL、口座番号、パスワードを教えた。なお、ブックメーカー(アシスタント)は、水原の口座番号は“35966”に指定した。

◎2021年9月21日かその周辺時期、水原はブックメーカー(アシスタント)に”サッカーは24試合のうち7試合しか勝てずボロボロだった。笑。UCLAに賭けたが連中は負けやがった”と書いたメッセージを送った。

◎2021年9月21日かその周辺時期、水原はブックメーカー(アシスタント)に”どうやって金の引き出しや支払いをしたらいい?”とメールする。

ブックメーカー(アシスタント)はその日遅くに”あなたが勝とうが負けようが週末の日曜夜に清算される”と返信。

◎2021年10月27日かその周辺時期、ブックメーカー(アシスタント)は、”ボイヤーが君とコンタクトを取りたがっている。彼はあなたの賭けの様子を知っているし、明日までに(金の)精算したと思っている。私(アシスタント)が会ってもいいし、ボイヤーの配下の連中でもいい”とメッセージを送る。

水原はアシスタントに対して、”今アメリカに帰国したばかりだ。ボイヤー氏にクレジットカードかデビッドカードで支払う事は可能か? それならば彼の口座に支払える。ボイヤー氏の口座番号は知っているか?”とメールする。

◎2021年10月28日かその周辺時期、ブックメーカー(アシスタント)は水原に、”ボイヤーが水原からの送金についての可能性を尋ねてきたが、判らないと答えたが、この件について教えてくれれば伝えておく”とメールする。

◎2021年10月31日かその周辺時期、水原はブックメーカー(アシスタント)に、"銀行側から受信者(ボイヤー)に関する詳しい情報を求められている。郵便番号や住所だ。情報を貰えれば直ぐに送金対応する。銀行側は11月1日には送金可能と言っている。ボイヤーさんに謝罪しておいて欲しい。人生で一度も銀行送金なんてやったことがないので・・。"

◎2021年11月2日かその周辺時期、ブックメーカー(アシスタント)は水原に、”金は送ったのか?”とメールを送る。水原は”2日連続で送金手続きをしているが、キャンセルされてしまう。一度に送金する額を今よりも少なくしないと無理なようだ。額を減らして送金していいか(ボイヤーに)聞いてもらえないか? バアバタして申し訳ない。”と返信。

◎2021年11月2日かその周辺時期、水原はブックメーカー(アシスタント)に対して”送金キャンセルが続いている。PayPalで送金しようと思うので、貴方(アシスタント)の電話番号を教えてもらえないか? 送金システムに入力が必要なんだ。口座に紐づいている電話番号ならなんでもいい。”とメールを送信。

その後、水原から”Paypalでの支払いは無理だ。どうやらこれほどの大金を日本から送金するのは難しいようだ。”とブックメーカー(アシスタント)に対してメールが送られてきた。

◎2021年11月6日かその周辺時期、水原はブックメーカー(アシスタント)に対して”送金が上手く行かない。ひょっとしてBank Aに口座を持っていないだろうか? (水原が使える銀行口座、つまり大谷さんの口座のこと)同じ銀行の方が送金し易いと思う。”

2日後、ブックメーカー(ボイヤー)は水原とブックメーカー(アシスタント)にBank Aに解説されている末尾4桁が”1911”の口座番号を教えた。

◎2021年11月9日かその周辺時期、水原はブックメーカー(ボイヤー)に、あらゆる方法で送金をしているが、どれも上手く行かない。非常にストレスだ。”とメールする。

◎2021年11月10日かその周辺時期、水原はブックメーカー(アシスタント)に、40万ドルの送金が出来そうだと語り、こうの方法なら上手くやれそうだが、一度に送金できるのが40万ドルだと語る。

◎2021年11月15日かその周辺時期、水原はブックメーカー(アシスタント)に対して、”50万ドルをアシスタントの口座に送金するが、(送金完了には)5~7営業日かかりそうだとブックメーカー(ボイヤー)に伝えて欲しい”と語る。

◎2021年12月8日かその周辺時期、水原はブックメーカー(アシスタント)に対して、xoom service(Paypalの海外送金サービス名)経由でPayPalを使って50万ドルを送金するリクエストをした。送金事務が完了したら連絡する。”とメールする。

◎2022年1月2日かその周辺時期、水原はブックメーカー(アシスタント)に対して、自分の賭博用口座に再入金(reload)してもらえないかをブックメーカー(ボイヤー)に確認して欲しい。全額スッてしまった。”とメールする。ブックメーカー(アシスタント)は、”ブックメーカー(ボイヤー)が水原の信用限度額を50万ドルに上げた”と回答。

◎2022年1月15日かその周辺時期、水原は、”全額スっちゃったよ。笑。ブックメーカー(ボイヤー)に信用限度額を50万ドルに上げてもらえるよう頼めないか? これで負けたら(賭けは)最後にするつもりだ。”とメール。

◎2022年2月1日かその周辺時期、水原はブックメーカー(アシスタント)に対して、”送金は明日までに完了するはずだ”とメール。

◎2022年2月4日かその周辺時期、水原はブックメーカー(アシスタント)に対して、”最後の送金がキャンセルされた。窓口に行ったら解決するはずだ。今日、別途の300万ドルの送金をしたが、既に別途100万ドル負けている。この日遅く、送金の完了を確認した。”とメール。

◎2022年2月28日かその周辺時期、ブックメーカー(ボイヤー)が水原に対して”元気か? 君の別途の送金分はまだ当方で確認出来ていない。だから200万ドルだけ送り直してくれ。”とx1911の口座情報を伝える。

ブックメーカー(ボイヤー)が水原に対して”別のメールを送り、”どうやら君はかなり負け混んでいるようだから、ブックメーカー(アシスタント)に与えるつもりだった無料ゲーム(賭けに負けても返済義務を負わない)を君に与えよう。そちらの送金が完了したら、それを伝えてくれるか、スクショを送ってくれ。”

◎2022年3月10日かその周辺時期、水原はブックメーカー(ボイヤー)にメールし、”300万ドル(の信用ライン)を100万ドルに下げてくれないか?”と伝えると、ボイヤーは”100万ドルに信用限度を下げたいのか?”と尋ねる。

水原は、”そうだ。300万ドルはちょっと無謀だから”と返信。

◎2022年5月15日かその周辺時期、水原はブックメーカー(ボイヤー)に対して、”先ほど500万ドル送金した。1000万ドルを送ろうとしたが出来なかった。500万ドルは明日か明後日に送る。”とメールする。

◎2022年6月20日かその周辺時期、水原はブックメーカー(ボイヤー)に対して、”どうやら1週500万ドルの送金が限度のようだ。今日早くに500万ドル送金したので明日には着金するだろう。週500万ドルの送金でもいいですか?”とメール。

 

ブックメーカー(ボイヤー)の携帯の解析から、水原はギャンブルで勝った時に受け取る金を自分自身の口座に振り込ませていたようだ。

例えば、2022年5月頃、ブックメーカー(ボイヤー)は自分の携帯でIndian Bookと名乗る人物と連絡を取っている。この人物は違法ギャンブルに加担しており、ブックメーカー3とした。

2022年5月18頃、ブックメーカ―3は、その日遅くにブックメーカー(ボイヤー)に送金情報を送って欲しいと頼む。

ボイヤーはx9877口座の情報をスクリーンショットでブックメーカ―3に送り、口座の保有者が水原一平だと伝えた。Bank Aから寄せられた情報で、x9877口座(以後「水原口座」)が水原一平のものだと確認されている。

 

水原の携帯端末の解析から、2022年5月19頃、ブックメーカー(ボイヤー)は水原に”元気ですか? 先ほどあなたに対して47,260ドルを送金したことを確認している。そちらで確認をして欲しいのだが、私が払い戻す前に私からあなた宛てに送金した方がいいですか? 随分と負けているようだが、連絡を待ってます。”メールを送った。

水原は”送金の必要はないです。またスってしまいますから。”と返信している。

 

なお、銀行の送金記録を捜査する過程で、水原が47,260ドルを受領していることを確認している。

 

2022年5月以降、水原の携帯メールの内容から、水原が1億円以上負けているにも関わらず、ブックメーカーは、水原の信用限度額を上げ続けていた。

 

2022年11月14日かその周辺時期、水原はブックメーカー(ボイヤー)に対して”俺ってスポーツの賭けが下手くそだよね。笑。限度額を再度上げてもらえないだろうか? 当方の支払いについてはご心配なく。”とメールしている。

2022年12月9日かその周辺時期、水原はブックメーカー(ボイヤー)に対して”信用限度額を最低でも200万ドルにしてもらえないか? 母に誓ってこれが最後のお願いだ。アメリカに戻ったら清算する。お願いばかりで済まない。

ブックメーカー(ボイヤー)はその日の内に”ダメだ、以上だ。メリークリスマス。”と返信している。

 

2023年:

2023年5月20日かその周辺時期、ブックメーカー(ボイヤー)は水原に”随分と負けているようだな。限度額を上げてもいいと思っている。6月1日までに最低でも200万ドルを確実に送金できると確認させてくれ。”とメールしている。

2023年5月22日かその周辺時期、水原はブックメーカー(ボイヤー)に対して”また負けちまった。笑。もう1回限度額を引き上げてくれないかな?”とメールを送信。

その日の内にブックメーカー(ボイヤー)から返信があり、”いいよ兄弟。俺のビジネスパートナーと連絡を取れるようにしておいてくれ。

ビジネスパートナーに毎週500万ドルの送金が出来ると納得してもらえれば、水原の好きなだけ限度額を上げてもいい。

限度額がとても高いので、水原からの毎週の500万ドルの送金は不可欠で、私が心配しているような事が起こらないで欲しいと思っている。

既に俺は自腹で俺のパートナーに対して損失額の半分を肩代わりしていることを教えておいてやろう。

毎週幾らの損失になろうが、損失の半分を埋め合わせている。だから俺はお前に対して一連の重要な質問を直接しているんだぞ。”とメール。

 

2023年6月23日かその周辺時期、水原はブックメーカー(ボイヤー)に対して”最悪だ、笑。もうドン底だ。もう一回、最後の限度引上げをしてくれないか? これで最後だから、そうすれば負けを大きく取り戻せる。絶対最後だから。”とメール。

同日ブックメーカー(ボイヤー)は、”OK。だがダメだ。以上”と返信。

2023年6月24日かその周辺時期、水原はブックメーカー(ボイヤー)に対して”歳以後の最後のお願いだからもう1回だけ限度額を引き上げてくれないか? 今度こそ本当だ。”

同日、ブックメーカー(ボイヤー)は水原に対して、”もう終わりだ。こっちも大変なんだ。正直に言うと毎週500万ドルの送金さえしてくれれば、お前の好きなだけ限度御額を引き上げられるんだ。お前なら出来るだろう。俺はビジネスパートナーとの間の金の問題をクリーンにしておかなければならないし、それは前に説明済だよな。”と返信。

2023年11月17日かその周辺時期、ブックメーカー(ボイヤー)は水原に対して、”オイ、一平、今金曜の午前2時だ。何で俺に電話を返してこないんだ? 俺は今ニューポートビーチにいて、大谷が犬の散歩をしている姿を見ているんだぞ。俺が大谷に話かけて、何でお前から連絡が来なくなったのかを尋ねてみてもいいんだぜ。直ぐにコールバックしろ。”とメール。

2023年11月19日かその周辺時期、水原はブックメーカー(ボイヤー)に対して”正直言うと、ここ数年、結果的に暗号資産に投資してかなりの金を失っており、スポーツ賭博でも同様だ。これまでの借金についてだが、どうにかならないだろうか? 随分と巨額だから。まあ、全て自分が悪いのだけど”とメールしている。

2023年12月15日かその周辺時期、ブックメーカー(ボイヤー)は水原に対して”忙しいの判っているが、俺に対しての敬意とかはないのか? 今夜電話をくれ。何時でもいいし遅くても構わない。”メール。

同じ日、水原は”本当に済まない。敬意が逸しているという訳じゃないんだ。信じられないほど忙しいんだ。他に色々な課題に直面している。とにかく最近はタフな状態なんだ。まだBank Aの新しい口座情報をもらっていないのだが、教えて頂けないかな? 明日、幾らかの金を送るよ。”とメール。

ブックメーカー(ボイヤー)は、Bank Aにあるx1530という番号の口座情報を送り返した。

 

2024年:

2024年1月6日かその周辺時期、ブックメーカー(ボイヤー)は水原に対して”君のお陰で私の立場が管理不能になりそう状態になっているんだ。もし本日中に君からの連絡がなければ、俺に出来る事はなくなるだろう。”とメール。

その日、水原は、”困ったな。2日前に日本から戻ったばかりで明日にはもう別の場所に行く予定なんだ。1月の中旬にならないと戻らない。今、色々な事で大変なんだ、信じて欲しい。それと返済には時間が必要だ。”とメールを返信。

 

★水原の賭けの記録から、多額の損失を出していたことが判明。

 

ブックメーカー(ボイヤー)の会社が管理していた35966番の口座を2021年12月から2024年1月までの間について捜査した。

水原の携帯の分析で、彼の賭博用の口座が35966番だと判っている。

ボイヤーの会社から押収したこの期間の口座番号35966に関するエクセルシートを調査し、以下の事が分かった。

 

◎(水原は)2021年12月から2024年1月までの間に約19,000回、1日平均約25回の賭博行為を行っていた。

◎1回の掛け金は、10ドル~2,460万円。1回の賭け金の平均は約196万円。

◎勝った金額は、$142,256,769.(約217億円)、負けた金額は、$182,935,206(約279億円)。

差し引き$40,678,436(約62億円)の負債。

◎野球には賭けた形跡が無かった。

◎大谷さんの口座であるx5848口座から数十万ドルの送金があった。

◎水原に提供されていた無料ゲームと呼ばれていた賭けは、総額で50万ドル以下だったと推定されている。

 

捜査チームは大谷さんの口座であるx5848口座の調査を行った。

 

◎x5848口座は大谷さんの名義のものである。

◎x5848口座はドジャースからの給与支払いを入金するためだけに作られたものだった。

◎2021年11月、x5848口座は$40,010(約600万円)をXoom.com経由でPayPalを使って支払っている。これは水原による最初の不正送金だと考えている。これは前述している水原とブックメーカー(アシスタント)とのやり取りでも明らかだろう。

◎2022年2月~2023年10月までの間、x5848口座から少なくとも$15,000,000(約22.9億円)が(ボイヤーがBank Aに持っている)x1911口座に送金されていた。これらの送金事実と水原とボイヤーとのやり取りは一致している。

 

◎2021年11月15日、大谷さんの口座であるx5848口座から$40,010(約600万円)がXoom.comに送金された。同時期、水原はボイヤーに$40,000の送金をしたと伝えている。

◎2023年5月16日かその周辺時期、大谷さんの口座であるx5848口座から$500,000(約7500万円)が(ボイヤーがBank Aに持っている)x1911口座に送金された。

同時期、水原はボイヤーにこの送金を実施したと伝えている。

◎2023年6月20日かその周辺時期、大谷さんの口座であるx5848口座から$500,000(約7500万円)が(ボイヤーがBank Aに持っている)x1911口座に送金された。

同時期、水原はボイヤーにこの送金を実施したと伝えている。

◎2023年12月15日から2024年1月8日の間、大谷さんの口座であるx5848口座から1億円を超える金額が(ボイヤーがBank Aに持っている)x1911口座に送金されている。

 

捜査当局は、大谷さんの口座であるx5848口座からeBayやWhatnotへの送金についても検証した。2024年1月と3月に$325,000以上の額がeBayやWhatnotへの送金されていた。

 

Bank Aに残されていた大谷の口座からの送金記録で水原に紐づいた口座の記録。

 

捜査当局は、Bank Aに開設されていた大谷さんの口座であるx5848口座について検証を重ねた。

 

a.署名入りカードは、本口座の持ち主が大谷さんであることを識別するためのものである。

b.水原は自分の名前でBank Aに口座を持っていた。(以後、水原口座)

c.2021年10月~2024年2月18日の間、Bank Aは電話番号の末尾がx0373である電話番号から、大谷さんと水原口座の両方の口座に関する電話を複数回受けている。なお、水原の携帯の解析から、x0373が水原のものだと判っている。

d.Bank Aはネット経由での口座へのアクセスに関する記録を保管していた。
2018年~2021年10月27日の間、大谷さんの口座であるx5848口座にはオンラインからのアクセスの記録が無かった。

しかしそれから約1カ月後、水原がボイヤーの違法賭博サイトにアクセス可能になった2021年10月27日を境に(ブックメーカー(アシスタント)がブックメーカー(ボイヤー)が水原の借金を清算したがっていると伝えた日と同じ日)、x5848口座へのオンラインアクセスが始まったが、これは2018年以来のことだ。

約2週間後となる2021年11月9日~15日、大谷さんのx5848口座へ頻繁なネット経由でのアクセスが行わ始めた。

e.ネット経由でBank Aのそれぞれの口座(大谷さんと水原口座)へアクセスをするためにはBank Aが発行した特定のID番号を保持した別々の装置を使う必要があった。Bank Aは各口座への各ログイン時の情報を記録していた。

f.2021年~2024年3月にかけて、Bank Aは両方の口座に対してそれほど日を置かずにアクセスがあったことを記録している。

 

 

①2021年10月30日~11月3日の間、Bank Aが指定したデバイスID 647519282(以後、9282機器)が、水原の口座に何度もアクセスしていた。

同様の9282機器は、2021年10月27日~2023年5月5日の間、大谷さんのx5848口座にもアクセスしていた。

②2022年2月4日~3月24日にかけて、9282機器は大谷さんのx5848口座へIPアドレス”70.166.204.194”を使ってアクセスし、$900,000(約1.4億円)を送金。

2021年2月25日~3月31日にかけ、同じIPアドレスを使って水原口座へのアクセスも確認されている。

③2022年4月27日~6月27日にかけて、9282機器を使って大谷さんのx5848口座からIPアドレス136.52.16.173を使って$1,200,000(約18億円)が送金された。

このIPアドレスは、2022年4月7日~2024年2月7日にかけて水原口座のアクセスにも利用されていた。

ブックメーカー(アシスタント)が水原に指定した賭博用口座の“35966”の記録から、2023年10月3日、約3回の賭け行為で$233,386(約3,500万円)が同じIPアドレスを利用して行われていた。

 

水原はBank Aの従業員を出し抜いて大谷さんの口座から送金を実行していた。

 

Bank Aから提供された音声記録を解析し、以下の事が判明した。

 

a.2022年2月2日かその周辺時期、水原はx0373の番号でBank Aに電話をかけ、大谷さんのx5848口座から送金を試みた。

この通話において水原は、大谷自身と偽り、ブックメーカー(ボイヤー)宛てに車のローンを送金するという理由だった。

この送金は実行出来ず、銀行側はオンライン送金を凍結した。

(捜査当局は2024年3月21日のLA国際空港での接触があったために水原の声を認識出来ていた。また銀行の音声では大谷と名乗る人物は英語がペラペラだったが大谷本人は流暢ではない。)

 

b.同日、水原は別途電話をかけ、Bank Aの別の従業員が大谷さんの口座のオンライン送金が停止している件に対する対応を行う。この電話で水原は大谷を装い、大谷の個人情報への質問を使ったセキュリティーへの対応をした。

この結果、水原は送金停止が解除され、大谷さんの口座からの送金に成功している。

 

c.2022年2月4日かその周辺時期、水原は自分の携帯から電話をかけてBank Aの別の従業員と話し、ブックメーカー(ボイヤー)宛てに新たに$300,000(約4,500万円)を送金するための確認を行っている。この通話において水原は自身を大谷さんに装っていた。

 

銀行の記録によれば、大谷さんのx5848口座に登録されていた電話番号とメールアドレスは、水原の携帯番号と宛先人不明のgmailのアドレスになっていた。

水原の携帯を調査した結果、以下が判明した。

 

a.水原の携帯は、末尾に0373の番号を持っている。

b.水原の携帯で発見されたgmailのアドレスは、PayPalのアカウントと紐づいていた。

c.gmailのアドレス大谷さんが銀行口座で登録していたアドレス書式と似たものだった。

 

大谷さんは水原に対して自分の口座へのアクセスや口座からの送金許可をしたことがなかった。

 

2024年4月3~4日、我々捜査当局は、裁判官が了承した日本語通訳同席の元で大谷さんへインタビューをした。

インタビューを通じて大谷さんの証言を得て以下のように考えた。

 

①大谷さんは水原に2013年頃、日本のプロ野球球団で出会った。

②2017年末にかけてアメリカのMLBの球団に入団するため訪米した。当時は英語を全く話せず、現在も限定的にしか話せない。

③メジャー球団と契約が決まり公表された段階で、水原は大谷さんとアメリカでの通訳業務を受託した。当時の立場としては、水原の業務は通訳に限定されていた。

④通訳業務とは別に、大谷さんは水原に対して、個人マネージャーとして契約。業務には大谷さんの車のドライバー、日常業務のサポート、大谷さんの通訳や特定業務の管理、業務外の個人的な対応が含まれていた。

⑥2018年頃、大谷さんはBank Aのアリゾナ支店でx5848口座を開設し、水原はその口座のセッティング時において通訳をした。

⑦大谷さんの球団からの支払いは、x5848口座に振り込まれるように指定されていた。

⑧大谷さんは球団以外にも広告(CM)や投資を含む様々な活動による入金経路を持っており、こうした金はx5848口座には預金されなかった。

⑨収入に関わる大谷さんの国内での広告収入や関連収入の管理は、アメリカのスポーツエージェント、財務マネージャーや会計士が担っていた。

⑩水原は常に大谷さんと行動を共にしており、アメリカのスポーツエージェント、財務マネージャーや会計士と会っていた。

だが大谷さんの記憶ではこうしたミーティングは1度か2度程度だったようだ。

⑪アメリカのスポーツエージェント、財務マネージャーや会計士の誰しも日本語を話す事が出来なかったため、大谷さんは水原を頼っていた。

⑫大谷さんは、スポーツエージェントを信頼していたため、彼の財務マネージャーや会計士は、x5848口座を含む全ての口座を監視させていた。

⑬大谷さんは、アメリカ国内や海外など多くの場所から収入を得ていた関係で、特定の口座に関して水原に質問をすることをしなかったが、その代わり、水原を通じて財務マネージャーや会計士に全般的な収入や投資の状況について質問をしていた。

⑭大谷さんは、ブックメーカー関係者のx1911口座に送金許可をしたことがない。

⑮大谷さんは水原に対してx5848口座を含む、彼のあらゆる銀行口座の管理を任せた事はない。

⑯大谷さんはx5848口座に紐づいている、(水原が勝手に紐づけた)gmailアドレスについて全く覚えがない。

⑰大谷さんがx5848口座に水原がアクセスしていると認知したのは2024年3月20日韓国ソウルでのMLBの開幕戦後である。
試合後、選手たちはドジャースのチームマネージャーによりロッカールームに招集され、チームマネージャーのメンバーから選手たちに説明があり、その後、水原が英語で説明をした。

大谷さんは、(その場で)翻訳してくれる通訳が居なかったため、話されている内容を理解出来なかった。しかし水原が関わっている問題が趣旨であることは伺い知る事は出来ており、水原に直接尋ねた。

水原は2人だけで話をしたいと申し出た。

⑱太谷さんと水原はホテルに戻り話をした。ホテルでの会話の中で、水原は初めて大谷さんに自分にはギャンブルで多額の負債があることを伝えた。

そしてギャンプルの口座への送金に大谷さんのx5848口座を使っていると伝えた。

また水原はスポーツエージェントや彼のチームメンバーに大谷さんが自分のギャンブルの負債の肩代わりをしてくれたという偽って伝えたと話した。

 

大谷さんのサポートチームのメンバーたちが、水原がx5848口座にアクセス拒否されていたことを確認した。

 

捜査チームは大谷さんの財務関係のサポートチームに聞き取りを行った。

2024年3月25日かその辺りの時期、捜査チームはスポーツエージェントに聞き取りを行った。

a.スポーツエージェントは専門業の人々で、日本語を話さない。

b.スポーツエージェントは、2018年頃から大谷さんの代理人をしている。

c.スポーツエージェントは、スポーツ関連の契約に加えて大谷さんに関わる米国国内での活動や他のビジネス契約に関しても交渉を担当している。

d.スポーツエージェントは誰一人も日本語通訳を常勤雇用していない。但し、大谷さんと話す必要がある時だけ日本語通訳を雇う。

e.スポーツエージェントが常勤の通訳を雇用しなかった理由は、彼が大谷さんと常時行動を共にしており必要が無かったからだ。

f.スポーツエージェントは直接大谷さんと会話をしたりメールのやりとりをしたことがない。その代わりにスポーツエージェントは水原を経由して大谷さんと意思疎通していた。

g.スポーツエージェントは大谷さんの米国国内での野球や広告での活動に関する収入を包括的に管理するため財務のプロを雇用していた。

h.スポーツエージェントは大谷さんのx5848口座を認知しており、水原に何度大谷さんのx5848口座の動きについて尋ねた。水原は、大谷さんのx5848口座は個人的な口座で誰にもモニターされたくないと回答している。

スポーツエージェントは大谷さんにこの件を直接聞かなかったが、水原の回答には疑念を感じていた。

 

2024年3月29日、大谷さんの会計担当者に聞き取りをした。

概要は以下。

会計担当者として大谷さんの財務関連全般を包括的に見ていた。大谷さんの複数の口座は認識しており、x5848口座の存在は知っていたが、口座の中身を見る権限が与えられていなかった。

x5848口座にアクセスできない事で税制面の問題に対応出来ない可能性を懸念していた。

大谷さんのスポーツエージェントに納税に関わる準備をしたいからx5848口座にアクセス出来るように頼んで欲しいと要請したが、スポーツエージェントから、水原によれば大谷がこの口座は個人的なもので開示したくないのだと伝えられ、会計担当者はx5848口座には利子等がつかないと理解した。

 

2024年4月1日、大谷さんのビジネスアドバイザーに聞き取りをした。

概要は以下。

ビジネスアドバイザーはスポーツエージェントに雇われており、主に大谷さんのアメリカ国内での投資や資産に関してアドバイスをする役割を担っている。

このビジネスアドバイザーは約5年ほど大谷さんと仕事をしているが、業務はアメリカ国内のみを管轄としている。

ビジネスアドバイザーとして大谷さんの国内に持つ殆どの口座や資産に対して監督していたが、x5848口座にはアクセス出来なかった。

ビジネスアドバイザーは大谷さんのx5848口座の全般的な投資状況を把握するために口座の内容についてスポーツエージェントに開示要請をしたが、スポーツエージェントから本口座の情報開示を大谷さんが認めないと水原から言われていると伝えた。

 

2024年4月1日頃、会計士と話をした。

会計士はスポーツエージェントに雇われており、主に大谷さんのアメリカ国内での税に関する準備や書面作成を任務としていた。

大谷さんとの面会は1度だけで挨拶程度のもで、業務指示はスポーツエージェントか水原を経由していた。

税金還付の準備のため、大谷さんの日本に残している資産や殆どの銀行口座や投資に関する情報を得ていたが、x5848口座の情報は与えられなかった。

2022年10月頃、会計士は大谷さんと水原と会う予定を入れていたが、水原だけが現れた。大谷さんは病気で欠席だという説明をしていた

会計士は水原に対してx5848口座の情報を得られないと口座に貯まっているだろうと思われる利子や何等かの入金額の確定が出来ず、税金報告義務に問題が起こる可能性を指摘。

水原は大谷さんがx5848口座については個人的なものなので誰からも見られたくないと言われていると発言した上で、口座には利子も殆どないし、他からの入金もないと回答

 

x5848口座に紐づいた商品購入のメール連絡は仮名を使って水原宛に送付されていた。

 

捜査当局は、大谷さんの雇用主の従業員(ドジャースの関係者、以後「関係者1」)にも話を聞いた。概要は以下。

関係者1は、チームのクラブハウスで働いており、チームや選手にメールで連絡をする担当をしている。

2024年1月頃、水原は関係者1に自分宛だが別名で届く荷物があるので、選り分けておいて欲しいと頼む。

水原の携帯を解析した結果、水原は賭博サイトとメールを利用する際、“JayMin”という名前を利用していたことが判明している。

クラブハウスに届いた水原宛の複数の荷物を調べると、宛先が“JayMin”と関係者1宛てになっていた。

荷物の中身は、明らかにコレクション用のケースに入ったベースボールカードだった。

水原と彼の代理人の了解のもとで水原が利用している車の搭載物を捜査し、ブリーフケース、箱などを車内で確認した。ブリーフケース、箱の中には別のベースボールカードが入っており、Yogi Berra,やJuan Soto、大谷のものが含まれていた。

捜査チームはその他のカードの存在を捜索し最終的に1000枚に及ぶカードをブリーフケース、箱の中から見つけた。

2024年1月~3月にかけて、大谷さんのx5848口座からは上記に関係するものとしてebayとWhatnot宛てに$325,000(約5,000万円)が送金されていた。

両方のWEBサイトを利用して、カードの売買をしていたと思われる。

これらの捜査から、水原は、後にそれらを販売する目的でebayとWhatnotを経由してコレクター向けのベースボールカードを購入していたようだ。

 

水原は、メディアに対して5848口座からの(借金の)送金は、大谷さんが肩代わりしてくれていたというウソを言っていた。

 

ESPNの報道で大谷さんが水原の賭博の借金を肩代わりに同意してくれたと発言していたことを知った。

以下の理由で水原の発言の信頼性には疑念があると考えている。

大谷さんと水原との間で日本語でやりとりされている水原の携帯電話の解析を行った捜査チームは、以下のようにレビューしている。

歳入庁の特別捜査官で日本語が堪能な人間が2020年から2024年の間に大谷さんと水原との間でやりとりされた約9700ページに及ぶテキスト情報を分析した結果、以下のような結果となった。

 

①水原の携帯には大谷さんとの間では一度もスポーツ賭博に関するやりとりがなされていない。

②水原の携帯には大谷さんとの間では一度もブックメーカーの関係者(ボイヤーと彼のアシスタントを含む計4名)やブックメーカーの口座であるx1530口座に関するやりとりがなされていない。

③水原の携帯には大谷さんとの間では掛け金のオッズ、賭けそのものや水原がブックメーカー(ボイヤー)のギャンブルをしているという事について話した形跡がない。

④大谷さんからは水原に対して、x1530口座が個人的なものであり、スポーツエージェントやエージェントに雇用されている財務関係者に非開示して欲しいとする指示をした形跡がない。

⑤捜査チームは、水原が大谷さんに成りすましてBank Aの従業員を欺いてx1530口座から複数回送金を実行した事実を掴んだ。

Bank Aに残されていた音声データを解析し、仮に大谷さんが送金事実を知っているか、送金を承認していたのであれば、水原がBank Aの従業員に対して何度も大谷さんを装う必要はなかっただろうと分析している。

そうであれば、水原と大谷さんがBank Aの支店から送金を実行するか、(大谷さんが)水原をx5848口座の承認者として登録しただろう。

(註:つまりこれによって大谷さんが水原の送金行動等には無関係である蓋然性が高いと言える)

 

捜査当局は、MGM, DraftKings, and FanDuelなどを含む違法なカジノや賭けサイトの記録を調べた。

上記3つの法人で水原のギャンブルに関する記録が見つかっているが、大谷さんの記録はなかった。

 

大谷さんのx5848口座の連絡先のメールアドレスは、大谷さんが知らない間に水原が設定し直したメールアドレス(gmailアドレス)に変更されていたが、そのアドレスは、水原の携帯にリンクしていた。

 

銀行の記録によれば、大谷さんのx5848口座のから初めてブックメーカー(アシスタント)に送金されたのは2021年11月頃で、ボイヤーのx1530口座への最後の送金は2024年1月とみている。

 

捜査当局は、水原が約2年間に渡ってギャンブルの借金を作り続けながら大谷自身のx5848口座から水原がブックメーカー(ボイヤー)へ支払う事を承認し、その間、勝った金だけは水原の口座に振り込ませ続けていたとは考えていない。

 

大谷さんは捜査当局に自分自身の携帯の調査を承認した。

 

2024年3月24日、大谷さんは捜査当局に自分自身の携帯の調査を承認した。

国家安全保障局のエージェントは、日本語が堪能であり、彼の携帯の調査を行った。その結果、

①大谷さんが水原がギャンブルをしていたことを認知していたり、自身も賭けをしていた、あるいは水原の借金の立て替えをしたという証拠は見つからなかった。

②大谷さんは自身のx5848口座に携帯経由でアクセスした形跡がない。

③大谷さんの携帯に残されたメッセージには、ギャンブルに関する事、水原の借金に関することについて書かれたものは無かった。

④大谷さんの携帯内のテキストメッセージには、ブックメーカー関係者や彼らの口座に関係するものはみつからなかった。

 

 

水原は大谷さんの口座から金を摂取した。

 

①水原の携帯の解析で、彼が”シグナル”というアプリを使って暗号化されたメッセージを送信していたことを掴んだ。

解析されたメッセージの内容は以下だ。

 

①2024年3月17日、水原はブックメーカー(ボイヤー)に対して”先ほどは電話をありがとう。ところでLAタイムスに掲載される予定の記事の詳細を知る方法はあるかな? ”と送信。

ボイヤーは同日返信し、”ハイ、兄弟。電話をありがとう。。LAタイムスの連中がどんな記事を出そうとしているのかは分からないな。記者から問い合わせはあるが、記者と話したこともないし話す意思もない。俺の弁護士は、俺があなたに話した事実を記者に伝え、彼女が話さないことを伝えただけだ。肯定も否定もできない。記者は情報ソースがFBIだと言っていたが俺にはそれが事実かどうか分からない。”

(なお捜査チームは、本件についてFBIが捜査している事実がないことを知っている)

 

②2024年3月20日、水原はブックメーカー(ボイヤー)に対して”記事を見たか?”とメール。

ボイヤーは、”ああ、全部デタラメだ。君は明らかに大谷から盗んでいないしな。これは隠ぺい工作だろう、俺には分かるんだ”と返信。

水原はボイヤー”技術的には僕は大谷さんから盗んではいない。でももう終わりだ。”と返信。

 

結論:

水原は18 U.S.C. § 1344(2).に抵触する銀行詐欺を働いたと判断出来る。