人の上に立つ人間は、常に己の背中が周囲からどのように見えているのか、どのように影響するのか、を理解していなければならない。
李下に冠を正さずという言葉があるが、この言葉を全く理解していないのが岸田首相だろう。
もはや解説の必要もないが、首相が長男を首相秘書官に抜擢した事は、最初から誤りだった。
首相秘書官は、大臣を上回る地位であり、事務次官をも上回る。
経験、知識、判断力、人脈、能力等々で相当なものを要求される。
従って周囲はそのように彼を扱う。
岸田首相が自分の長男をどのように品定めしていたかは不明だが、結果を見るまでもなく無能の人間に不要なほど高い地位を与えた事で自ら墓穴を掘ってしまった。
翔太郎氏の就任当初から、この人事への批判は高かった。
身内をこうした地位につけること自体、明らかに人事権の私物化と見られるからだ。
故・安倍元首相は、ご自身の総理在任中、弟の岸信夫氏を絶対に閣僚等にしなかった。身綺麗にしておかなければ政治闘争でエネルギーを使う事を理解していたからだ。
長年安倍政権下で閣僚経験のある岸田首相は、安倍元首相から何も学んでいないかのようだ。
結果的に半年余りで更迭となった。
この人事については岸田主張の妻も何等かの影響を与えていたようだが、どうであれば更に質が悪い。
またG7にしても、自分の地元での開催に関して、我田引水甚だしいという意見も多かった。
公人が私益に走れば政が乱れるが、現代でこんな我田引水も珍しい。
首相の背中を見ている人たちの中には、同じ事を考える人、あれではマズいだろう、と考える人、様々だろう。
背中にスキのあるトップのある組織は早晩瓦解する。
そろそろ限界じゃないかね?