2023年現在で20代、30代の人たちが、いわゆる高齢者層(65歳以上)になるまでにはあと30~40年近くある。

自分が20代、30代の頃を考えてみれば、そんな先のことまで考えて生きていない。

 

しかし、この時代だからこそ、今の20代、30代の人たちは考えておいた方が良いと思う。

 

現在63歳の私は、ある意味で平均的な生活を送っているとも言えるが、決して余裕はなく、スーパーの商品の金額が一々気になるし、普段は一番搾りを飲まず本麒麟を選択するような感じだ。

当然なのだが、私とて間もなく収入の柱が年金になってしまう。

年金額がどの程度かは把握しており、その収入を中心にして残りの人生を生きて行かねばならない。

 

私の年代の人たちの年金受給額を聴いてみると、公務員退職者で月額約20万円前後、上場企業退職者で月額約18~22万円、地方の中小企業に勤めていた人で月額約15万円程度前後だ。

自営業者で国民年金だけの人だと月額約数万円~7万円程度だ。

なお、実際の額は税金等を支払うため、手取りは85%程度になる。

 

若い人たちにはピンと来ないかもしれないが、殆どの人は収入が年金だけになる。

つまり上記に書いたような金額がひと月に貰える額になるのだ。

 

一時話題になった2000万円問題は、年金額と毎月の平均的な支出差を埋め合わせるための余裕貯蓄について言及したものだ。

 

例えば、現在年収1000万円の人も多くはいずれ年金だけが収入の全てになる。

こうした人たちが毎月30万円も40万円も支出している生活から20万円以上近くまで生活費を下げなくてはならないのだが、仮に現状を維持したいのであれば、差額を資産として持っている必要がある。(でなければ同じ収入の仕事を持ち続ける)

また、今の20代、30代の人たちは年金受給開始年齢が70歳になることは確実で、おまけに受給額は、上記の80%程度以下にまで落ち込むだろうと考えられる。

これは生産年齢人口が下がり年金支払い総額が下がるからだ。

 

従って今の20代、30代の人たちが今から準備すべきことは以下だ。

 

(1)自分の生涯年収について把握し、予測し、理解し、対応をすること。

➡ご自身が働いている会社、業界の生涯年収はネットで調べれて大体は判る。

(2)70歳からもらえる年金額でも生活出来るように準備しておくこと。

(3)大きな支出は30代までに終えておく。

➡家のローンは60歳までに終えられるような物件にすること。

➡子供を作る場合、子供の成人年齢と自分の退職年齢を計算すること。

(4)40代以降は無駄な支出は削り、資産を増やすようにする。

➡ケチケチするのではなく無駄な支出を絞る。

➡負債(贅沢品)購入を避け、資産(金を増やす)を買う事。

(5)資産運用は中長期に見合った形で行うこと。

➡物価連動国債(日本)などで運用するのが賢明。

(6)多くの人は年金だけが定期的な収入になることを理解すること。

 

 

老後に使える金はこういう式で表す事が出来る。

 

老後資金=年金受給総額+退職金+現金資産+α(労働、運用等)

 

この準備を怠った人と行った人とでは高齢者になった時の経済環境が全く異なってくる。長生き時代であればこそ、年金(長生き保険)は重要なのだ。