古谷経衡氏がクールジャパン批判を徹底的に批判している。
そう言えば古谷氏、れいわ新選組の代表選挙に立候補しておりましたね。
民間人が政党代表者になるとなれば画期的な事ですが、生暖かく見守りましょう。
さて、話を戻して、クールジャパン批判に関する記事は以下だ。
古谷氏の主張を掻い摘んでまとめれば、日本のアニメも漫画のこともロクに知らない連中が知ったかぶりして税金を無駄にするような無駄なプロジェクトをやらなくてよろしい、有害だ、ということだ。
古谷氏のアニメやゲームに対する知識は、オタクに比しても膨大で深く、彼とこの分野の知識で対抗出来る人は日本にそれほど多くないだろう。
記事を読むと彼のアニメ、ゲームなどのコンテンツへの熱量が分かるほどだ。
そういう背景を踏まえると、彼の主張の骨子については、多くは頷ける部分が多い。
では、頷けない点とは何か?
ちょっと遠回りな言い方になるが、そもそもそこはポイントじゃない、という事だ。
ではポイントは何だったかと言えば、官僚のような経営の素人が国家予算を使って行う利益事業は成功例が殆どない、というか殆どゼロに近いという事に尽きるからだ。
当然だが、古谷氏の主張のように扱うものに対する知識不足は著しいのだが、それ以前に身銭を切らない利益事業というのは成立し難いことの方が問題だからだ。
サラリーマン経験者や起業経験者なら判るだろうが、民間が事業を成功に導くインセンティブは、人生がかかっているからだ。
サラリーマンなら売上と利益を上げなければ自分の座席の維持が難しくなるし、起業家なら身銭をリスクに晒る訳で、人生そのものを投資しているに等しい。
当然その熱量は官僚が税金を使って民間の誰かにやらせるようなクールジャパンに比べて全く異なる。
つまり真剣度が全く異なるのだ。
何故か?
官僚にとっては、クールジャパンが失敗しても立ち上げた時の官僚は異動しており、その後を受け継いだ官僚は自分の担当時の期間だけやり過ごせばいいだけの代物だからだ。
官僚は優秀だと云う人がいるが、それはある程度の答えが存在するような限られた環境下だけの優秀さでしかなく、民間事業のように答えが無数にあって、その中から利益を求めるような切磋琢磨の中では殆ど役に立たない。
おまけに官僚にとってこうした事業はキャリアの通過点でしかない。
だいたい、官僚がそれほど優秀なら、何故あれほどの天下り先を作ろうとするのだろうか?
優秀な人なら民間で引手数多なのが市場経済の道理であろう。
つまり、多くの官僚は条件付きの優秀さしかないのだ。
もちろん例外は数多いる。そういう人たちは天下りをしないで独立して活躍しているから分かる。
古谷氏の主張に沿えば、取り扱う商品の知識や知見もなければ、商品を扱う経営などは成り立つはずがない、というのは正しいのであるが一面的な見方で、根本的な指摘ではないのだ。
また、好きこそものの上手なれだから、扱う商品の知識量は多いに越したことはないのだが、古谷氏ほどのアニメ、漫画、ゲームへの知見や知識がないとそのビジネスが上手く出来ないかと言えばそうとも言えないケースは少なくない。
理由はシンプルで、ビジネスには共通した根幹的な部分があるからだ。
一例で恐縮だが、故・稲盛和夫氏は京セラの創業者だが、畑違いの航空会社であるJALの再建を果たした事はご承知だろう。
京セラはセラミック会社で、その後稲盛和夫氏は通信会社を立ち上げた。
JALの再建を果たせたのは、業態は違うが会社経営のビジネス基盤に関する経験と知見が豊富あったからに他ならない。
稲盛和夫氏がそれぞれの分野でどの程度の仔細に渡って知見があったかは定かではないが、多くの経営者が枝葉末節に至るまで、自社商品の全てを知っているとは限らない。
むしろ経営者は、市場を見極めながら会社のマクロ的な動き(方針、戦略等)を決め、それに沿った人材や資源配置に関わる事が多い。
従って仮に取り扱う商材の仔細、微細まで知り尽くしていなくても経営をすることは可能だ。
それでも可能なら仔細微細を知っていた方が色々な部分で役に立つことはあると思うが、商品情報量が多い事と上手く経営をこなしてゆくことは必ずしも一致しない。田但し、商品に対して全く未知無関心なのは論外である。
従ってこの記事の結論は、官僚は能力もないのに税金を使ってビジネスごっこをするな!!という主張の方が遥かにポイントをついていると思う次第である。