オーディション商法被害に関するニュースがいくつか報道されていた。
オーディション商法は、少なくとも45年前から存在するが、実はもっと古くからあるかもしれません。
45年前と言ったのは、私が東京に出てきた時、既にこの商法があったことを知っていたからです。
時代が変わってもオーディション商法のビジネスモデルは全く変わらない。
従って騙される人たちも変わらない。
騙されるのは、被害者が芸能界のシステムを知らないからだ。
情報の非対称性が犯罪者の漬け込む余地なのだ。
ここでは若い方々がオーディション商法に騙されないため、自己防衛のために必要な知識を書いておこうと思う。
役に立つとありがたい。
オーディション商法のビジネスモデルを簡単に解説すると、芸能人等になりたい若者をオーディション名目で勧誘した上で、後でレッスンを施すことや、宣伝のための宣伝材料費用を負担させることで儲ける手口だ。
騙されないための情報を言おう。
1,少なくとも日本では、オーディションで合格したタレント(ミュージシャン)に自腹(学費、交通費、宿泊費等)を切らせて訓練をほどこしたり、宣伝費用を出させる芸能事務所やレコード会社は存在しない。また有望な人材においても同様。
2,特に東京以外の地方で、東京を芸能活動の場とするためのオーディションやレッスンをやっている事例は例外的にしかない。
従って東京以外の都市で日常的なオーディションやレッスンをやっていて、映画やドラマの出演をチラつかせたらかなり怪しいと考えた方がいい。
3,本物のオーディションであれば、相当数の人間で審査をするし、少なくとも3ステップ以上の段階(面談、歌唱確認、演技素養、ダンス素養等)を確認するので、簡単に合格するような事はない。
4,芸能界で活躍できる人材は、数万人に1人程度。
5,応募するなら、大手芸能事務所かレコード会社、映画製作会社等の社会的な背景のあるオーディションかどうかを確認すること。
しかしこうした情報を知らない素人の多くは、規模も内容も分からないオーディションに応募してしまう。
またオーディションが入口になるので、その質の判別が難しい時があるが、実は自己防衛は意外と簡単だ。
是非、以下の内容をチェックして欲しい。
①オーディションを主催している会社名を検索する。(主催者名や連絡先がなければこの時点で応募しない選択となる)
②ホームページ等の存在や公開されている法人情報や所属タレント情報を入手。
(ホームページ等がなければこの時点で応募しない選択となる)
③検索した法人が以下の団体に加盟しているかどうかを確認する。
④上記③に加盟している団体であれば、法人のホームページを確認する。
(法人名、連絡先、応募情報、所属タレント等)
⑤上記③の中に記載のない法人のオーディションであれば無視すること。
自己防衛の最大の方法は、怪しい団体が主催するオーディションを受けないに尽きる。
上記の団体に所属している場合、業界法人として認められているため、一定水準にあると言っていい。
但し、映画製作者関係者が自分たちで映画出演者のオーディションを主催することは殆どないので、予め断っておく。(普通は映画配給会社か、製作委員会が主催する)
前述したように、オーディション商法の目的は、オーディションを使って人を集め、そこに来た人に自分たちの商品(レッスン、音源制作、宣材制作等々)を押し売りして金を払わせる事にある。
彼らにはいわゆる芸能マネジメント能力は全くない。
この手の連中の事務所は、いわゆる芸能事務所が数多くあるような住所でないところに事務所を構えていたり、検索してもホームページすらなかったりする。
また映画に出演出来るオーディションと書いてある場合なら、その映画に関する情報(誰が監督で、どこの配給なのか、映画制作はどこの会社がやるのか)が書かれていない場合、相当怪しいと見た方がいい。未定の映画のオーディションはそもそも存在しないからだ。
また、この手の商売をしている会社は、アルバイト的求人でマネージャー候補を募集している。
マネージャー候補は、路上等で若い男女に声をかけ、事務所に連れて来て、アレコレ言って口説き落として所属の契約をさせる。
そして最終的に、レッスン、音源制作、宣材制作等々を売り出しのために必要だからと言って合格者に金を出させる。(こんなことは絶対にあり得ないこは前述した通り)
ここで出させた金の一部がマネージャー候補のバイト代の原資となる構造なのだ。
このビジネスモデルは45年前から全く変化がない。
未だにこれをやっている連中がいる事に驚くが、騙されている人もいるのに驚く。
通常、キチンとした組織が開催するオーディションは、「目的」がハッキリしている。
優勝したら***レコードからデビューが確約されるとか、主催者がマネジメントを行うとか、事前に明示している映画への出演が出来るとか、***という会社のCM出演が出来る等々だ。
まともな企業であれば、出口(優勝者等をどのように扱うか)がハッキリしていないオーディションを行う事はない。
また、オーディションは、主催者側も結構手間暇がかかるため、目的(出口)なしでオーディションを行う事はしない。
従って、危ないオーディションを受けない事が最も自己防衛となる。
危ないオーディションを受けないためには、情報を集めることと、知りもしない事を知ったような顔をして自己判断しない事だ。
業界の仕組みを知らない多くの若者たちは、知りもしない会社が行っているオーディションに受かったいうだけで芸能界に入れるかのように勘違いをして舞い上がってしまうかもしれないが非常に危険である。
確かに芸能事務所は、オーディションをしたり、街でスカウトをすることはあるが、そういう場合、上記記載の団体(法人)であったり、その団体に所属している社員が関係している。従ってそれ以外の団体(法人)が関わるものは、怪しいと認定していいくらいだ。
雑誌関係のオーディションにしても、講談社、集英社などが主催し、名前も知らない会社が請け負いでオーディションを行う事はない。
是非、知恵をつけて、自分を守って欲しい。