9月消費者物価が公表された。
マスコミの論調は、+3.0%でインフレ懸念が心配だ!という感じだ。
冒頭で言っておくが、日本はまだインフレには程遠い。
少なくとも、あと1%程度はインフレにならないと金融緩和を止める事にならない。
何故か?
多くの人は、消費者物価指数の基本的な読み方を知らないので、マスコミの云うような+3.0%なんていう数値は、大変なインフレの入口だと思うだろう。
しかし、海外で公表されている一般的な消費者物価は、「コアCPI」の数値を使っている。CPIとは、Consumer Price Indexの略だ。
「コアCPI」とは、食料品とエネルギーを除いた消費者価格の平均だ。
実は日本では、マスコミの人たちが経済用語に無知なので、海外「コアCPI」=日本では「コアコアCPI」になってしまう。
ややこしいので、分かりやすくまとめると以下だ。
●海外のコアCPI=食料品(酒類を除く)とエネルギーを除いた消費者価格。
➡これが世界の常識指数!
●日本のコアCPI=生鮮食料品(酒類を除く)とを除いた消費者価格。
●日本のコアコアCPI=生鮮食料品(酒類を除く)とエネルギーを除いた消費者価格。
実は、日本の「コアコアCPI」は、生鮮食料品とエネルギー価格を除く、と定義されており、海外のように食料品全部を除くのよりは、物価指数が高めに出やすい点は注意が必要だ。
9月の全国の消費者物価指数は、日本のコアCPIの数値で、エネルギー価格が入っている。
それが去年より3.0%上昇した、ということだ。
当たり前なのだが、昨年の9月の時点では、ロシア・ウクラウナ戦争がなく、エネルギー価格には大きな変動が無かった。
従って前年同月比で語るには条件が違い過ぎるのと、消費者物価指数を語る時、エネルギー価格が入った指数は使わない。
マスコミがエネルギー価格が入った数値を使って報道するのは、日本がインフレで大変だということを喧伝したいのと、金融緩和を止めさせたいからだ。
では、コアCPIとコアコアCPIについて確認すると(前年同月比、コア/コアコア、%) 以下の通りだ。
2021年
1月 -0.7/0.1
2022年
1月 0.2/-1.9
2月 0.6/-1.8
3月 0.8/-1.6
4月 2.1/0.1
5月 2.1/0.2
6月 2.2/0.2
7月 2.4/0.4
8月 2.8/0.7
9月 3.0/0.9
注目すべきは右側の数値のみだ。
現在0.9%。
インフレターゲットは2.0%なので、まだ1.1%足りない。
随分と印象が違いますよね。
先日国会で、階猛議員( 立憲民主党)が、日本の円安の責任を取って、黒田日銀総裁に辞任を求めるという失礼な事があったが、立民の階議員程度の人間では、マクロ経済を理解出来ないとハッキリ判る主張だった。
上記を読めば明らかで、日本のインフレ率はまだ0.9%だ。
従って日銀の金融政策は、「緩和」で正しい。
少なくとも為替に関しては、日銀の業務領分ではありません。
日銀の仕事は、金融政策を通じて失業率とインフレ率を安定させることだけだからだ。
日本は変動相場制を敷いており、為替は自国や他国の金融政策、財政政策の結果として現れるだけだ。日銀には為替の責任はない。
当然だが、為替介入もルール違反。
また現在は、ドル高が極端で、他国の多くも軒並み通貨安なのだ。
CPIの数値を見ても分かるが、日本は着実にインフレ気味になっている。
何故インフレが進みにくいかと言えば、日本政府が適切な財政政策をしないからに尽きる。
金融政策だけでは必要なインフレ状態を作れないのはマクロ経済の常識だ。
いかに階猛議員( 立憲民主党)の黒田総裁への言いがかりがアホな事だと判るだろう。
日本はあと1年くらい緩和しないとインフレターゲットに届きません。
仮にその前に金融引き締めをすると、デフレに逆行するでしょう。
そうなると経済は落ち込み、不況となり、失業率が増加し、自殺者の増加が予見されるのです。
そうならないためには、正確なマクロ経済対策を行う必要があるのです。
無知のマスコミや野党に騙されないよう、お気を付けください。