ここに書いてあることは大手メディアでは全く報道されていないが、少なくとも国会中継では放送された内容だ。
岸田首相に対して、国民民主党玉木代表が珍しく放った的確な代表質問は、まるで世の中ではなかった事になっているが、政府と財務省には不都合な真実の暴露だからだ。
その正体は、「外国資金特別会計」。
以下の動画の3分30秒からの質問に注目して欲しい。
現在日本国は、外為特会として日本円換算で約130兆円余りを保有している。
殆どが米国債でドル建てで持っている。
現在、円安であるがため、外為特会には膨大な額の含み益が出ている。
その額、約37兆円。
玉木氏は、円安で苦しむ家計や中小企業をこの原資を使う事で、国債発行等なく手当出来ると主張した。
追加で解説しておくと、外国為替特別会計にあるような膨大な額を保有している先進国は日本だけだ。
財務省は、保有理由について、外国為替資金特別会計は、外国為替相場の安定(為替相場の急激な変動の際の為替介入など)のために設けられています、と解説している。
外為特会には3つ不都合がある。
1つ目は、先進国は例外なく為替に関して「変動相場制」を採用している。
従って先進国には日本のような外為特会の制度はない。
これは簡単に言えば、為替は市場に預けているということで、国家が恣意的に関与すべきではないという意味だ。
他の先進国が日本のような外為特会を持たないのは、そもそも変動相場制に反するため不要だからだ。
しかし、日本はそれに反した状態を長年に渡って維持している。
2つ目は、財務省は、為替介入(つまり米債券を市場で売る)をすると、その後のある時期に売った分を改めて買い直す行為をしている。
つまり、財務省は、常に外為特会を通じて為替介入し続けているのだ。
3つ目は、外為特会の債券は、財務省が保有している訳ではなく、民間に金融機関に委託されて保管されている。
この保管委託料は億単位であり、金融機関にとって美味しいビジネスになっている。
従ってこの利権を使って財務省の役人は、金融機関への天下り先を確保している。
常識的に言えば外為特会というシステムを持っていなくても問題はない。
従って円安の現段階で売れば、国庫に30兆円超の含み益が入る。
まさにウハウハなのだ。
岸田首相の回答は、18分30分にある。
為替介入のために保有していると回答しながら、外貨を円貨に変えるのは、為替の安定を目的としており、財源確保のために行う事は不適切だという回答だった。
へえ~っと思った。
実は、岸田首相は知らないかもしれないが、小泉政権下、外為特会を切り売りして利益を捻出して国家予算に繰り込んだ実績がある。いわば、埋蔵金発掘をしていた訳だ。
過去に実績がある以上、今回は出来ませんという言い訳は通用しない。
そもそも為替介入を前提とした財源を国家が保有していること自体が変動相場制を採用している国家としては矛盾しているのだが、それについては言及していない。
メディアが触れない理由は簡単だ。
財務省にとって余り触れられたくない外為特会をクローズアップしてしまうと、今後財務省から情報を入手出来にくくなるからだ。
不条理である。
従って玉木議員は、今後の予算委員会で本件を深堀し、政府にぶつける事を期待する。