このブログは、2022年9月18日午8時に書いている。
(その後、後半部分を更新)

最強クラスの台風14号が鹿児島を伺っている段階だ。

 

この日、九州、近隣地区では矢沢永吉氏、小田和正氏、高橋真理子氏、ビッケブランカ、堂本光一氏などが開催する予定だった。

9月17日の段階で公演中止を公表したのが小田和正さん、高橋真理子さんらだ。

 

 

 

 

 

さて、現段階で最もモヤモヤしているファンたちがいる。

Pay Payドームで50周年記念のライブを開催する矢沢永吉氏だ。

 

公式サイトの9月16日の段階の情報公開は以下だ。

 

 

続いて公式サイトの9月17日の段階の情報公開は以下だ。

 

 

 

18日午前のツイッターを確認すると、それなりの数の矢沢ファンの来場予定者が、当日の帰宅の交通状況を勘案して来場を諦めると発信している。

また、地方から来場予定の人たちは、飛行機の運行停止、鉄道の運行停止等によって会場に行けないかもしれない、もしくは既に福岡市内に居る人たちは、当日昼12時の決定は、遅すぎるとの不満を表明している。

 

さて、今、ライブ運営主体者は何を議論しているのだろう?

ライブ主体者とは、主催者の事だ

主催者は、ライブ開催の資金を出し、運営し、利益を得る。

実は、矢沢永吉氏の公式サイトのライブページを見ても主催者名に関する情報がない。

この場合、常識的に考えれば、主催者は、矢沢永吉氏のマネジメントオフィスと考えるのが自然だろう。

矢沢永吉氏のマネジメント事務所のトップは矢沢氏に他ならない。

つまりこのライブのビジネス上の最終決定権者は、矢沢永吉氏と言って問題なかろうから、本件に関わる公開情報は全て彼の意思が働いているはずだ。

 

議論のポイント(順不同):

◎ビジネスに対する金銭的インパクト

◎開催した場合のメリットとデメリットとリスク

 ➡交通機関状況、入退場時の会場周辺の安全管理、終演後の帰宅の足等

◎開催可否の決定時期

◎中止に際しての業務委託先との金銭処理交渉

◎ブランドイメージの確保

◎延期の可能性はあるのか?(ビジネスリスクを最低限にするため)

 

主催者の胸の内を想像してみれば、かなり複雑だと推察する。

公演は決行したいが、来場者の安全は無視出来ない。

時間が経つにつれて、気象状況は悪くなり、周辺の状況変化も開催を支持しない方向に動きつつある。

開催出来る方策がある限り、その可能性を捨てたくない、という気持ちかもしれない。

 

また、仮に中止にした場合、ドーム級であるが故に、損失は数億単位になる。

会場費、運営設営費、警備費、移動宿泊費、出演者のギャラ、グッズの在庫処理、返金対応への支出、撤去費用等々は全て投入されていまっている資源なので、収入ゼロであっても、主催者が全部負担することになる負債なのだ。

 

億単位の損失は誰にとっても小さくない。

加えて、来場者の行き帰りや会場周辺で気象に関係する事故があったら、それはそれでマイナスになる。

でも、何とか出来る方策はないのだろうか?

迷う気持ちも良く判る。
 

コンサート保険に入っていれば、その損失をかなり限定的に出来るが、かなり高額な保険なので(数千万円単位)、フルスペックの加入をしているのか否かは分からない。

つまり、中止を決断した場合、かなりの損失を矢沢永吉氏の会社が身銭で切ると言ってもいい。

ご本人の気持ちに立てば、逡巡するのはその辺りじゃないだろうか?

 

個人的な意見だが、中止の選択が良いと思う。

それも本来は前日の17日の段階で決断しておくべきだったと思う。

 

でも私は凡人なので、こういう意見を考える。

 

交通機関の運行停止等の情報は出てきているし、台風も大型で被害の規模が大きいこともかなりの懸念材料だ。

矢沢氏の場合、地方から来ているファンも多い。

また九州内から来ている人たちは、大抵バス移動の日帰り組が多い。

こうした開催の可否に悩むエネルギーを相当使って、其の上で歯抜けの座席を見ながらライブパフォーマンスをするのは、ご本人にとっても相当なマイナスだろうと思う。

 

でも私とは違って、矢沢さんは決行を考えるだろう。

特に困難があると真正面に向かって行くことで自分の歴史を紡いで来た人だから。

 

それでも一部のファンからは、当日の段階になっても決断の遅さに不満が噴出しており、それはやんわりとだが、矢沢永吉氏へのイメージを損ね始めている。

しかし、逆の意見もあるので、こればかりはファンが決めるしかない。


台風接近の当日になれば、近隣の交通機関はズタズタになる。

遠方からの遠征組は、キャンセル可能の機会を逸するし、代替の交通機関を探して利用しなければならない。

おまけに、台風迫る福岡まで行ってから中止では、もっと早く対応する方法があるだろう!と思うのが人情だ。

中止なら早く言って欲しい、というのがファンの本根だろう。

加えて終演後の交通機関が相当怪しい。

あの場所だから、ヘタをすると暴風雨の中を福岡市内まで永遠と歩くハメになる可能性だってある。

 

最悪のケース、会場が台風からの避難所になる可能性も否定出来ないだろう。

そうなると報道も相当量で取り上げマイナスイメージが拡散することになる。

 

 

18日午前10時過ぎ、以下の報道が出た。

報道の露出があった時点で、公式サイトには同様の正式な告知は掲載されていない。

明らかに報道が先行していた。

こうした情報露出が、主催者が最初でない点は、運営の在り様としてかなり気になる。

 

 

 

情報に基づいて、議論のポイント(順不同)に戻ってみよう。

 

◎ビジネスに対する金銭的インパクト

 ➡中止すると億単位の損失。それ故か、来場出来ない人へチケット代の返金を確約することで、売上ロスを最小限に抑える決断をした模様。

(ツイッター情報では2~3割近いキャンセル席があったようだ)

 

◎開催した場合のメリットとデメリットとリスク

 ➡交通機関状況は終演時間(19時30分頃)に従って悪くなる。

 ➡入場時の会場周辺の安全管理は、会場内のみが主催者責任範囲と責任分界点を示したがそれは有効なのか?

 ➡終演後の帰宅の足等については、事実上来場者に委ねた。ご自身の判断で来場して欲しいと強調しているので、会場の往復リスクは客が引き取って欲しいという、つまり丸投げ。さて、会場で働くアルバイトたちはどうするのだろうか??

 仮に帰宅困難者が会場周辺に集中した場合、警察や消防等への救護要請が多くなると問題を拡大させる可能性が考えられる。

また、来場の責任所在が主催者にどの程度及ぶのかは過去に判例がないので何とも言えない。

 

 ➡開催を支持しているファンもいる。

 

◎開催可否の決定時期

 ➡多くの人たちは遅いと感じているのでは?

 

◎中止に際しての業務委託先との金銭処理交渉

 ➡チケット売上の減収分は委託先の責任ではないので対象外。

 

◎ブランドイメージの確保

 ➡台風下の環境で帰宅トラブルに見舞われてたファンとマスコミ報道に反応次第だろう。

 

◎延期の可能性はあるのか?(ビジネスリスクを最低限にするため)

 ➡ドーム級の延期は事実上難しい。(会場確保が1年以上前から始まるため)

 

仮にこれが一部上場企業が主催しているイベントなら前日中止決定と公表だろう。

相当な規模の台風が接近する中、近未来の状況を確定出来ず、またコントロール出来ない中で、来場者の身の安全をリスクに晒して集客することは、企業の今後を考えた場合、進める事がが出来ないからだ。

こうした大手企業は、「結果オーライ」の判断はしない。

「結果オーライ」はギャンブル判断だからだ。

 

さて、決断の結果は、どう出るのか?

 

 

(後日談)

 

9月25日、MY WAYのツアーは、大阪の京セラドームで最終公演が終わっているはずだ。

PayPayドームに参加した矢沢ファンの方々のブログ記事を拾うと、意外なほど、ライブ決行に過程について批判的な記事が目立った。

結果論としてライブ開催は良かったが、開演5時間前の開催可否発表についてはネガティブな人が多く居たし、帰宅の足が不確定な中での開催については、かなりネガティブだった。

もちろん程度はともかく賛否両論である。

実際、9月24日に静岡を襲った台風14号の最中に静岡エコパアリーナで開催した浦島坂田舟のライブに参加した観客は、一部が帰宅出来ず、会場で一夜を明かすことになった。

これも主催側の判断ミスの一つだ。

 

 

 

私の意見は本ブログの最初の段に記載したが、想定出来ない災害が予想される場合は、開催前日時点で中止判断が妥当という意見は変らない。

また、判断の是非を結果論で語るのは誤りだ。

 

特に、規模の大きなイベントの場合、集客側には一定の責任があり、客の安全について、家から会場のまでの全ての安全保障を負わないまでも、台風のように予報予測が一定範囲の確率で判っていることがある場合、また、過去の事例で一定程度の予測が可能な場合、開演、終演時の来場者の安全や交通機関の状況が不確定と推定されるだけで中止するのがキチンとした組織運営者の結論になる。

 

厳しい言い方だが、矢沢氏の事務所は、キチンとした組織運営者に該当しない組織体とバレてしまった。

 

小田和正氏が判断出来た事を何故矢沢永吉氏は出来なかったのか?

それも現地のイベンターが同じなのに・・。