1989年年末、日本の株価はピークを迎え、それ以降、この時の数値に戻っていない。

所謂バブル経済崩壊の最初の現象は株価下落から始まった。

当時、30歳になったばかりの私の日常生活には大きく変化は無かったが、色々な意味で自分の仕事が増えたという恩恵はあったと思う。

しかし、周辺の浮かれっぷりは正直言って、下品だったと思う。

地上げ問題は連日テレビ報道をにぎわしていたし、街中では、札ビラ切って闊歩している連中が居た事は確かだった。

 

その2年後、日本は不動産価格が下がり、やがて不良債権問題に直面する。

 

状況はやや異なるが、現在の中国で不動産に絡んだ不良債権問題が持ち上がっている。

既に恒大グループのデフォルト問題は報道になって目立っているが、実はそんな程度の話ではない。

実は現地民でしか分からないような情報は、日本の報道には現れないのだが、昨今はネットでそうした情報を小まめに発信してくれていた人物がいた。

 

YOU TUBEチャンネルの「妙佛 (ミャオホウ)DEEP MAX」だ。

このチャンネルで発信される中国の様々な現地のニュースは、日本の報道の数年前から数か月前単位で発信されている。

一民間人の発信とは思えないほどの内容なのだが、日本の報道だけでは伺い知れない情報にアクセル出来る。

 

本チャンネルでは、随分と長い間、中国の不動産バブルの兆しを小まめにフォローしており、都度都度情報を流してくれていた。

 

その最中、2022年9月1日、大和総研経済調査部 主席研究員 齋藤 尚登氏が中国の不動産バブルに関するレポートを公表した。
 

その内容は、中国不動産バブルが崩壊過程にあるという分析だ。

内容はPDFで8ページ余りだが、この内容、「妙s佛 (ミャオホウ)DEEP MAX」で語られていた内容趣旨と殆ど一致している。

 

中国:不動産に依存した経済発展の終焉

住宅需要・供給の抑制、デベロッパーの国有化でソフトランディング?

経済調査部 主席研究員 齋藤 尚登

 

https://www.dir.co.jp/report/research/economics/china/20220831_023246.pdf

 

レポートの冒頭に要約があるので、読めば一目瞭然だ。

まず、中国の地方政府は、不動産ディベロッパーに土地使用権を売る事で成果を得る。ここには当然、共産党官僚の政治的介入がある。

不動産ディベロッパーは、そこにマンション建設を行うのだが、中国ではマンションを購入する際、購入者は完成前の段階で全額を支払うのだが、当然その金は、一族や銀行から調達する。

不動産ディベロッパーは、その金でマンション建設をするのだが、実は、その金を横流し(賄賂、再投資)している。

その最中、中国版総量規制が発動された。

その影響で、不動産業者の資金繰りが悪くなり、工事業者への支払いが止まり始め、そのためマンションの工事が中断され、住宅ローンの返済が始まっているのに物件が 手に入らない懸念が出てきた。

また、銀行はマンションを担保にしたローンを組ませているが、担保物件が担保にならない可能性が出てきた。

 

これに加え、中国の生産年齢人口減少がピークを過ぎ、今後、住宅の過剰供給が続く懸念があり、当然それは、不動産価格の下落を招く。

 

不動産に支えられた経済が悪い循環に入り、やがて社会不安が起こる可能性が高くなると読んだ共産党政府は政策金利を下げつつ(金融緩和策)、同時に不動産ディベロッパーの国有化を始めている。

 

中国共産党は、日本のバブル経済崩壊を相当研究していたというが、残念ながらそれを生かす方法はないだろう。

少なくとも、共産党という権威主義国家の政権下でのバブル崩壊は誰も経験していない。

ある程度は力づくで抑え込むのかもしれないが、いずれに大きな綻びとなるのは明白。

 

今後に要注視。