我々は不条理に囲まれて生きている

~現在の日本の国家財政問題は心配無用という事実 part2~

 

印象的に感じた解説は、日本の財政赤字は全くと言っていいほど問題がないという事だった。

これは、いわゆるリフレ派と呼ばれる人たちの主張なのだが、それまでの私が触れていたテレビ、新聞の情報や解説とは全く違っていた。

だから受け入れていいものかどうか、しばらく判断が付かなかった。

どっちが本当の話なの?ということだ。


こうした情報を理解する上で、私には、マクロ経済学の素養が足りなかった。

そのため、マクロ経済学を学ぶために適切な書籍を何冊か読み込み、理解を深めようとした。少なくともそれらの書籍はノーベル経済学賞を受賞した人たちが著したもので、信頼に足るものであるという前提で読んだ。


何冊か読むと、私のような人間でも一定程度のレベルで理解出来るようになった。

数式を理解出来なくても、現象面や理屈は理解できる。

理解出来た事は、少なくとも日本でリフレ派と呼ばれる人たちの考え方は、世界標準で、特段に変わったものでは無いということだ。

 

また、中央銀行の主たる仕事は、金融政策を通じた雇用の安定であり、これが全てであるというのも新鮮な驚きだった。また金融政策だけでなく財政政策と並走させないと効果がないことも分かった。


金融政策は政策金利の調整が主たるものだが、ゼロ金利下においては、日銀による国債引受による通貨発行も可能であることも分かったが、これは統合政府として政府全体のバランスシートを見ているからだ。


余りにシンプルなので、これらは本当なのか?と思うほどだった。
実際、IMFが2018年11月に公表した世界のOECD諸国の政府の財政状況のデータを見ると、日本はネット債務はほぼゼロだった。

 

(以下のリンク先のP13を参照)

file:///C:/Users/619214/Downloads/fm1802.pdf

 

なお、IMFの名前で、日本の債務には課題があり消費税増税が必要という見解を聴くときがあるが、これは財務省のIMFへの出向者がIMFの名前を使って出している情報だから要注意。(日本のマスコミのIMFの窓口はこの財務官僚が対応している)

 

従ってIMFの公式の分析は、日本のリフレ派たちの主張を裏づけていたのだ。

では、何故この事実はNHKのニュースとかで放送されないのだ?

だって、日本は借金塗れで大変だというのに、IMFは問題ないです、と言っているのだ。

理由は簡単。マスコミは情報ソースである財務省の意向に逆らうような見解を流せないからだ。

 

実際、ネット債務がマイナス30兆円程度であれば、経済成長を促して、適度なインフレが実現されれば自然に消滅する程度のレベルだ。
また日本国債を消化しているのは、殆どが日銀と日本国民で、通貨発行をしているのは日本政府だ。


日本の通貨は信用通貨で変動相場制を採用している。
従って発行量(マネタリーベース)の管理さえ誤らなければ、適度のインフレを維持出来る。また償還期限が来た国債は、政府が新しい国債を発行して借り換えをしてしまえば事実上返済をしないのと同じ事となる。


これは、貴方が1万円札という日銀が返済責任を持った借金証書を日銀の窓口に持ち込むと、日銀側は、新札の1万円持ってきてあなたに差し出すだけというのと似ている。
これは事実上の償還不要ということだ。


これまでの日銀の総裁が、金融政策を通じた雇用の安定が主たる仕事だなんて発言したのを聞いた事がなく、また新聞、テレビでは、日本の財政が1200兆円を超え危機的だと煽っている。月収50万円の過程が、毎月100万円を支出して、借金が1200万円もあるというインチキな前提で説明をし、マクロ経済に理解のない多くの国民を愚弄している。
これらの情報の食い違いは一体どこから来ているのだろう?

(註:一般家庭の財務と国家財政は単純比較出来ない。理由は簡単で国家は通貨発行権があり、一般家庭にはないから。)

 

これがまさに日本の不条理の1つだ。