(前回記事)

心の履歴(90) 

お姫さん抱っこでピンチを凌ぐ
2023-07-17 

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12812333746.html

 


(今回記事)
2008/08/10 著


仲山社長が会社に来るのは不定期で週二回程度でした。
それも午後八時前後です。
社長自身のデスクワーを終えてからが私のそれまでの店の報告です。

この報告は数字だけですから短時間で済みます。
処がそれからおよそ毎回三時間でした。
社長への私の質問で。


孔子の論語(八佾第三15)「太廟に入りて、毎事(事ごと)に問う。子之を聞きて曰わく、是れ礼なり」(太廟での大事な祭礼において、間違いがないように確認をして行うことが敬意を払う礼儀というものだ)を地で行きました。

私の質問内容の大半は、社会とか業界の事とかと社長の考え方でした。私は世の中を全く知りませんでしたから。

それと、店運営に関しての要望や意見を言いました。
社長の回答はイエスかノーのみ。
社長から具体的指示を受けた事はありませんでした。

この形態は二ヶ月は続きました。
帰宅は午前零時を回ります。
大学紛争が収まっていず、大学は閉鎖状態でしたし、それに法律専門書は未だ新聞販売店から返してもらえていなく、帰宅しても暇なのです。

今でも社長の教えの中で、記憶に残っているのはお金に対しての考え方三つです。

1ツ目)この世の中の構造では、日本銀行に近づく程に儲かるシステムになっている。

 



貧乏人程、高利なクレジットを組む。
金持ちに成る程、金利は安くなる。
金持ち程、低利で借りられ、高利で貧乏人に貸し付ける。代表的例が銀行。

商売人相手の街金(マチキン・サラ金業者の法人相手版)の場合は、

一般的に街金の貸し出し金利は『トイチ』。
トイチとは、10日で一割(10%)の金利の略称。
年利365%と思いきや、実は10日毎の複利。

尚、一般に月初の金利は低く、月末の金利は高い。月末は『トサン』(10日で三割の金利)。
月末は、手形を落とさなければ倒産していまいますから。

では一体、100万円の貸した金がトイチの場合、一年後に幾らになるか。

元本100万円。

分かり易いように1年を370日としますと貸し方の場合
一年後の回収額 3,400万円。
運用益     3,300万円。
利益率     3,300%

貸した方には極楽が、借りた方(貧乏人)には地獄が待っています。これが、仲山社長の街金を始めた理由です。

二つ目)商売の基本は、持ち金の大きさではなく、単利でもない。複利の考え方に基づいて短期間にお金を何回転させるかである。

例えば、
最初仕入額100万円の商品を5%の販売利益で一ヶ月10回転。つまり10回の売買です。

一ヵ月後(10回転)、合計163万円、  粗利益63万円   粗利率63%
一年後(120回転)、 合計34,891万円、 粗利益34,791万円、粗利率34,791%

最初仕入額100万円の商品を5%の販売利益で一ヶ月4回転の場合
一ヵ月後(4回転)、合計122万円、 粗利益22万円、 粗利率22%
一年後(48回転)、 合計1,040万円、粗利益940万円、粗利率940%


これが、以前、仲山社長が家電量販店事業を軌道に乗せた考え方の基本です。

その三つ目)一円は金利を産む。京都の金持ほど新品を買わない。中古を買う。

今まで述べて来ました様に、お金はお金を産みます。
しかし、物はお金を産みません。拠って、お金持にとって一円でも現金は大切なのです。

反して、貧乏人は浪費します。
お金を減らして喜んでいます。

代表的なものが冷蔵庫。
普通、10年は使います。
貧乏人は新品を購入し大満足。
金持は中古品を購入します。

分かりやすく新品冷蔵庫一台を10万円とします。
1年使用した中古品は半値以下の4万5千円となります。

新品冷蔵庫の年平均使用額は、年間1万円の10年間。
中古冷蔵庫の年平均使用額は、年間5千円の9年間。

話しはこの年間使用料の差額だけに止まりません。

中古を購入し、冷蔵庫に投資した差額5万5千円を郵便局の定額貯金(当時年6%複利)にした場合の10年後は?

元利合計98,497円 利息43,417円 率79.08%

つまり、凡そ10年後、貧乏人はいつまで経ってもお金はゼロですが、金持は寝ていてもお金が10万円弱に増えているのです。

ところがですね、以後40年間、仕事ではこの考え方でやって来ましたが、自分の事となりますと毛頭だに実践して来なかったです。今頃後悔しても、もう遅いですが。

心の履歴:20代編 目次

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