ドラッカー 
「経営学の巨人」の名言・至言(週刊ダイヤモンド)

 

(前回記事)週刊ダイヤモンド
ドラッカーの名言/至言 [04] [05] [06]
2023-05-29 

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12804934296.html
 

(今回記事)

ドラッカー [07]
イノベーションは理論的分析と知覚的な認識
『イノベーションと起業家精神』より

「イノベーションとは理論的な分析であるとともに知覚的な認識である。イノベーションを行うにあたっては、外に出、見、問い、聞かなければならない」(『イノベーションと起業家精神』)


 近代文明はデカルト以来、因果関係と定量化を駆使する一方において、その呪縛に囚われてきた。近代合理主義としてのモダンの時代は、知覚の世界の存在を否定はしなくとも、進歩とは関係ないこととした。そしてそのおかげで科学技術も進歩した。


 だがイノベーションは分析だけで行うことはできない。そもそもイノベーションに対する社会のニーズは分析では知りえない。


 ドラッカーは、イノベーションの成果が、やがてそれを使うことになる人たちの期待、価値、ニーズにマッチしうるかは知覚によってのみ知りうるという。


 そうして初めて、それを使うことになる人たちが利益を見出すには何が必要かを考えられるようになる。これを考えられなければ、せっかくのイノベーションも間違ったかたちで世に出る。


 かくしてイノベーションこそポストモダンたるべき活動であり、機能である。


「イノベーションに成功する者は、右脳と左脳の両方を使う。数字を見るとともに人を見る。いかなるイノベーションが必要かを分析をもって知った後、外に出て、知覚をもって彼らの期待、価値、ニーズを知る」(『イノベーションと起業家精神』)

ドラッカー [08]
カリスマ性は不要、必要なのはリーダーシップ    

『新しい現実』より

 「新しい現実を踏まえた政治のモットーは、カリスマを警戒せよでなければならない」(『新しい現実』)


 ドラッカーは、二十世紀ほどカリスマ的なリーダーに恵まれた世紀はなかったという。その代表格が四人の巨大なカリスマ、ヒトラー、レーニン、スターリン、毛沢東だった。


 そもそもカリスマは唯一無二とする万能薬まがいのプログラムを手にしない限り、なにもできない。それら万能薬を強制するうえで力を発揮できるにすぎないからである。


 ところが、いまやそのようなプログラムが存在しない。したがってカリスマ的リーダーはまったく不要である。

 

リーダーシップは必要である。しかしそれは、今日リーダーシップと名づけられ喧伝されているものとは違う。それはいわゆるリーダー的資質とは関係ない。カリスマ性とはさらに関係ない。


 リーダーシップにはいささかの神秘性もない。それは平凡で退屈なものである。


 リンカーンほどカリスマ性のない人物はいなかった。チャーチルにもカリスマ性はなかった。


 それどころかカリスマ性はリーダーたらんとする者を破滅させる。ほかならぬそのカリスマ性が、自らの不滅性を妄信させ、柔軟性を奪い、変化不能とするからである。


 「リーダーシップの本質は行動にある。リーダーシップそれ自体はよいものでも望ましいものでもない。それは手段である」(『未来企業』)
 

ドラッカー [09]
成果をあげるのは才能ではなく姿勢と方法    

『非営利組織の経営』より
https://www.iot.ac.jp/manu/ueda/column/030607.html
 

 「成果をあげる人とあげない人の差は才能ではない。いくつかの習慣的な姿勢と、基礎的な方法を身につけているかどうかの問題である。しかし組織というものが最近の発明であるために、人はまだこれらのことに優れるに至っていない」(『非営利組織の経営』)


 成果をあげる方法は、かつての一人だけの工房の時代と、今日の組織の時代では異なる。せっかく知識や技能を身につけても、まず初めに組織を通じて成果をあげる能力を向上させておかなければ役に立たない。


 しかも、組織のニーズは非凡な成果をあげることのできる普通の人によって満たさなければならない。これこそ組織に働くものが応ずべきニーズである。


 そもそも成果をあげる人間のタイプなど存在しない。成果をあげる人たちは、気性や能力、仕事や仕事の方法、性格や知識や関心において千差万別である。

 

共通点は、成果をあげる能力、つまり、なすべきことをなし遂げる能力を身につけていることだけである。


 ドラッカーは成果をあげる人も、医者、教師、バイオリニストなどと同じように千差万別だという。成果をあげない人も同じように千差万別だという。

 

成果をあげている人でも、個性や才能面では、成果をあげていない人と、たいした違いはないのである。


「成果をあげることは一つの習慣である。習慣的な能力の集積である。習慣的な能力は修得に努めることが必要である」(『経営者の条件』)

 

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(前々回記事)
ドラッカーの名言/至言[01][02][03]
2023-05-28 

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12804933116.html

 

日経
ピーター・ドラッガー履歴書 目次
2021-12-10 

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12714765529.html