(前回記事)週刊ダイヤモンド
ドラッカーの名言/至言[01][02][03]
2023-05-28
https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12804933116.html
(今回記事)
ドラッカー [04] 週刊ダイヤモンド
会社人間は本人にも会社にも危険である
『現代の経営』より
https://www.iot.ac.jp/manu/ueda/column/030426.html
「えてして会社は、自らの経営幹部に対し、会社を生活の中心に据えることを期待する。
しかし仕事オンリーの人たちは視野が狭くなる。会社だけが人生であるために会社にしがみつく」(『現代の経営』)
時折ドラッカーは、言いにくいことをズバリと言う。仕事オンリーだと、「空虚な世界へ移る恐ろしい日を延ばすために、自らを不可欠の存在にしようとする」と言う。
「バカな…」と否定してみても、心の奥深く行動の原点に近いところで、不可欠の存在にしようとする意識の動きを感じることがある。
一方が縛り、一方がしがみつく関係が生産的であるはずがない。「雇用関係とは、元々きわめて限定された契約であって、いかなる組織といえども、そこに働く者の全人格を支配することは許されない」───これがドラッカーの持論である。
そのうえ組織自体のためにも、組織の外の世界に関心を持つことを奨励すべきである。
組織は組織のために存在するのではない。
組織の外の世界のために存在する。
知性、感性、関心、価値観、その他あらゆるものについて、組織には多様性が求められている。そもそも詩人、収集家、音楽家を同僚にもつことはオツなものである。
「いまや会社は、社員を会社人間にしておくことが本人のためにも会社のためにも危険であり、いつまでも乳離れできなくさせる恐れのあることを、認識すべきである」(『現代の経営』)
ドラッカー [05]
未来を知ることができる二つの方法
『創造する経営者』より
「われわれは未来についてふたつのことしか知らない。ひとつは、未来は知りえない、もうひとつは、未来は今日存在するものとも、今日予測するものとも違うということである」(『創造する経営者』)
ありがたいことにドラッカーは、ここで終わりにしない。続けて言う。「それでも未来を知る方法は、ふたつある」と。
一つは、自分で創ることである。成功してきた人、成功してきた企業は、すべて自らの未来を、みずから創ってきた。
ドラッカー自身、マネジメントなるものが生まれることを予測する必要はなかった。自分で生み出した。
もう一つは、すでに起こったことの帰結を見ることである。そして行動に結びつけることである。
これを彼は、「すでに起こった未来」と名付ける。あらゆる出来事が、その発生と、インパクトの顕在化とのあいだにタイムラグを持つ。
出生率の動きを見れば、少子高齢化の到来は誰の目にも見えたはずだ。対策もとれたはずである。
だが、高齢化社会がいかなる社会となり、いかなる政治や経済を持つことになるかを初めて論じたのはドラッカーだった。
こうして東西冷戦の終結、転換期の到来、テロの脅威も彼は予見していた。
「未来を築くためにまず初めになすべきは、明日何をなすべきかを決めることでなく、明日を創るために今日何をなすべきかを決めることである」(『創造する経営者』)
ドラッカー [06]
自由の代価として何をしたいかを問われている
『断絶の時代』より
https://www.iot.ac.jp/manu/ueda/column/030517.html
「選択肢を前にした若者が答えるべき問題は、正確には、何をしたらよいかではなく、自分を使って何をしたいかである。
多元社会は一人ひとりの人間に対し、自分は何か、何をしたらよいか、自分を使って何をしたいかを問うことを求める。
この問いは就職上の選択の問題に見えながら、実は自らの実存にかかわる問題である」(『断絶の時代』)
自分が得意とするものが何かはまだわからない。それどころか、自分の「値打ちがある」とするものが何かさえ、まだわからない。
ほとんどの人が親の後を継いで農民になる以外になかった時代は、ついこの前のことである。しかし、いまや選択肢は無数にある。
だから就職に悩む。しばしフリーターともなる。その間に、せっかく身に付けた知識が陳腐化するという悲劇も起こる。
ドラッカーによれば、十七世紀にデカルトが精神の実存を無視して以来、西洋では、いかにして人間の実存は可能かではなく、いかにして社会の存在は可能かが問われてきた。こうしてこの二世紀の間、世の関心は社会に向けられてきた。
「今日ふたたびわれわれは、昔からの問いである一人ひとりの人間の意味、目的、自由という根源的な問題に直面している。
世界中の若者に見られる疎外の問題が、この問いに答えるべきことを迫っている。
組織社会が、選択の機会を与えることによって、一人ひとりの人間に意思決定を迫る。自由の代価として責任を求める」(『断絶の時代』)
つづく
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日経
ピーター・ドラッガー履歴書 目次
2021-12-10
https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12714765529.html
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