パナソニックの各種発電システムの組み合わせによる安定電源供給システムの記事を掲載する。

 

この考え方は、殊更、新しいものではなく、革新的なものでもない。但し、ハードの面で一歩前進ということかな。

 

何れにしても、液体水素の原料は液化天然ガス(LNG)であり、この度のオーストラリアの未利用資源である「褐炭」で作る水素は低価格であるにしても、海外からの輸入に頼らざるを得ないところに限界がある。

 

パナソニックの最も苦手の分野ではあるが、水(H2O)から触媒等を用い、直接水素(H)を取り出せる手法開発を期待す。

 

いまだ謎多き水分子の世界
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/research_highlights/no_54/

 

(本日の記事)

CO2の自社排出量実質ゼロへ、世界初※の取り組みを開始
2023.01.18 社会デザイン研究

https://project.nikkeibp.co.jp/mirakoto/atcl/design/2/t_vol77/?n_cid=outbrain&dicbo=v4-4cnbpih-1131358729
 

2022年1月に発表した長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」(以下、PGI)に基づき、パナソニックはカーボンニュートラルに向けた具体的なマイルストーンを打ち出している。まずは2024年までの中期戦略「GREEN IMPACT PLAN 2024(GIP2024)」を策定し、数値目標を明確化。その上で2030年にはCO2自社排出量実質ゼロ化と約1億トンの削減貢献を目指す。

 

持続可能な未来に向けたパナソニックの新環境コンセプト「Panasonic GREEN IMPACT」(PGI)

PGIの実現には、CO2を排出しない再生可能エネルギー(以下、再エネ)の活用が急務となる。ここでは、事業活動における消費エネルギーを100%再エネによってまかなう「RE100ソリューション」が鍵を握る。

 

2019年8月、パナソニックは国際的イニシアチブ「RE100(Renewable Energy 100%)」に加盟。CO2排出ゼロのモノづくりに向けて舵を切った。

2019年には兵庫県加東市にある「パナソニック エコテクノロジーセンター(PETEC)」が太陽光発電設備を導入。それ以外の調達電力を100%再エネに切り替え、同社初のCO2ゼロ工場となった。2021年には中国・無錫市の工場「パナソニック エナジー無錫(PECW)」がCO2ゼロ化を果たし、着々と自社バリューチェーンの脱炭素化が進む。

こうした取り組みをさらに先へと進めたのが、滋賀県草津市の草津拠点に誕生した「H2 KIBOU FIELD」だ。

 

工場敷地内で太陽電池、純水素型燃料電池、蓄電池の3電池を連携。自家発電によるRE100ソリューションの実証施設として2022年4月に稼働を開始し、草津拠点内にある燃料電池工場の電力をまかなう。

純水素型燃料電池を活用した実証施設「H2 KIBOU FIELD」の全体概要。

 

滋賀県草津市を拠点に、2022年稼働開始。水素を活用したRE100化への取り組みとしては世界初※という。


ポイントは自社開発の純水素型燃料電池である。通常、電池と言えば乾電池や充電池を思い浮かべるが、燃料電池とは水素と酸素の電気化学反応により電気を発生させる、発電装置を指す。

 

実証施設には2021年に「H2 KIBOU」の愛称で発売した業務用の燃料電池が99台設置された。本格的に水素を活用する工場のRE100化は世界初※の試みだ。

※工場の稼働電力をまかなう自家発電燃料として本格的に水素を活用した実証において(2022年3月31日現在、パナソニック調べ)

パナソニックでは早い段階から水素の可能性に着目し、1999年に燃料電池の基礎技術開発に着手。2009年には家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」(註)を世界に先駆けて発売し、これまでに累計20万台以上を生産してきた実績を持つ。

 

(註)エネファーム とは、
家庭用燃料電池コジェネレーションシステムの愛称である。都市ガスから電気とお湯を同時につくる。

 

「H2 KIBOU」は「エネファーム」の技術を応用した燃料電池であり、「エネファーム」の7倍以上となる5kWに発電出力を強化。天候に左右されがちな太陽光発電を補完する技術として「H2 KIBOU FIELD」の電力安定供給に貢献している。

 

「H2 KIBOU」製品イメージ。

複数台を連結制御することで、需要に応じて発電出力をスケールアウト可能になっている


使用に際してCO2を排出しない水素は次世代クリーンエネルギーの主軸と目される。「H2 KIBOU FIELD」が提案する“クリーンな未来”について、事業主体のパナソニック、水素サプライヤーの岩谷産業、それぞれに話を聞いた。

天候に依存しない、地産地消型のカーボンニュートラル

(中略)


太陽電池は主に晴天時の電源として利用する。純水素型燃料電池は夜間、明け方、雨天時など太陽電池の出力が下がった際の調整電力として機能。蓄電池は突発的な出力変動をカバーする。太陽電池の過剰電力を蓄電池に貯め、不足分を即座に純水素燃料電池が調整するサイクルをよどみなく続ける。

 

こうして天候に依存しない、安定した電力供給を可能とした。このサイクルを実現したのが、3電池連携制御の高度なEMSだ。

 

 

天候に左右されないクリーンエネルギーの安定供給を実現する、3電池連携による発電シミュレーション

(中略)

 

水素のリーディングカンパニーからも強力サポート


純水素型燃料電池のエネルギー源には、液化水素が採用されている。液化水素とは、もともと気体である水素をマイナス253度の極低温に冷却して生成したものであり、液化することで気体の800分の1のサイズとなる。また、冷却の過程で不純物が除去され、非常に高純度な水素を大量運搬・貯蔵できるメリットがある。

液化水素の供給元は岩谷産業である。1941年に創業者の岩谷直治氏が水素ガスの販売を始めて以来、82年間にわたり水素業界をリードしてきた。液化水素においては、日本で100%のマーケットシェアを誇る。岩谷産業 水素本部 水素ガス部長 上級理事 喜村博氏は、「H2 KIBOU FIELD」のパートナーシップを「とてもワクワクしている」と話す。

(中略)


国をあげて水素の普及を後押し、見えた社会実装への道筋


メリットが多い水素だが、コスト面ではいまだ課題が残る。これに対し、政府は「水素基本戦略」で水素価格の低コスト化を明言した。2030年には30円に落ち着かせる方針だ。これによりランニングコストは下がり、水素の普及に弾みがつくと見られている。

安価な供給には、海外製造による水素の輸入が不可欠。

 

既に岩谷産業、川崎重工業、シェルジャパン、電源開発、丸紅、ENEOS、川崎汽船は、技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)としてオーストラリアの未利用資源である褐炭(註)から製造した水素を、川崎重工業が製造した世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」(註)によって神戸港に運搬する実験を開始。

 

(註)使い道がない「褐炭」から作る水素
「褐炭」とは炭素の含有量が少なく、水分や不純物を50~60%も含む低品質の石炭だ。オーストラリアに大量に埋蔵しているが、乾燥すると自然発火する恐れがあるため輸送に向いていない。そのため未利用資源となっているものが多く、国際的にも取引されていない。

この褐炭を細かく砕き、酸素とともにガス化炉で1,000度以上に加熱する。炭素の主成分(C)が水分(H2O)や酸素(O2)と化学反応し、水素(H2)と一酸化炭素(CO)の可燃性ガスになる。さらに一酸化炭素(CO)は水蒸気(H2O)と反応させることで、水素(H2)とCO2に転換する。ここでできた水素を取り出してトレーラーへ。150㎞離れた水素を液化する設備まで輸送される。

https://www.nec-nexs.com/bizsupli/break/tech/24.html

 

(註)液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」

 

この船の積み荷は、マイナス253度に冷却され、体積が気体の800分の1となった液化水素だ。全長116mの船体に1,250m3もの真空断熱二重殻構造の液化水素貯蔵タンクを搭載。オーストラリアのビクトリア州からの液化水素を海上輸送する予定だ。
https://www.nec-nexs.com/bizsupli/break/tech/24.html
 

さらに経済産業省の「グリーンイノベーション基金」に採択され、川崎重工業、ENEOSとともにオーストラリアと日本を結ぶ大規模な液化水素サプライチェーン構築に挑む。「すいそ ふろんてぃあ」の128倍に及ぶ量を運搬する予定だ。


これらの動きからも分かるように、水素のポテンシャルは計り知れない。オールジャパンで水素社会を実現する「水素バリューチェーン推進協議会(JH2A)」には、2022年11月24日現在で338の企業・団体・自治体が参加。パナソニックと岩谷産業はJH2Aの理事会員を務めており、水素の本格社会実装に向けて歩みをともにしている。(以下省略)

 

安定供給に必要な供給力の確保について - 経済産業省
2022年10月17日
資源エネルギー庁

https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/054_04_01.pdf

 

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日本の技術力を衰退させた政府
2023-02-19 0
https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12789705691.html


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