(前回記事)

心の履歴(128)
マルチ商法詐欺団との遭遇
2009/03/02

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12742172963.html
 

(今回記事)

心の履歴(129-1)

麦飯石販売戦略
2009/03/04


宮本氏の目の色が一番輝いたのはマル専手形の換金についての説明、「手形割引」と「商担」についてです。

(この説明は最後段で)

或る日、彼は徐(おもむろ)に話し出しました。
「実は、二つの事で、スーパーとトヨタから追われています」
「知っているよ。でも、詳細は聞く気がないですよ。弁解を聞いてもしょうがない」

「APOジャパンって排気ガスのマルチを知っていますか?」
「あァ、学生の連中がマークⅡで騒いでいたやつですね」

「波さんと一緒に一時あれをしていたのですよ」
「波さんは捕まったが、あなたは、よくぞご無事で」

「今度、波さんと麦飯石を始めたのです」
「石原慎太郎が本にしている例の石だね」 

注)当時、慎太郎は書名「麦飯石」を2種類出版していた。

以下は、宮本氏から数度に亘り相談を受けた内容です。

宮本氏「三重県多気郡明和町の山の麦飯石の採掘権を波さんが入手したのですよ」
私 「APOジャパンのような親がいて子・孫を集める方法では、物流の実態が無いからマルチ商法(連鎖販売取引)と看做(みな)され易い」
そこでマルチ商法と代理店・特約店制度の違いについて説明をしました。

宮本氏「麦飯石を山にある状態で小分けにして販売したいのですがどうでしょうか」
私 「未採掘の状態で販売するのは、山の石が商品と言えるかどうか難しいところだね。一種の採掘権の販売になるかも。」

「採掘して何処かに置いていた場合は?」
「立派な商品ですね。砂利とか砂がそうでしょう。」

彼は、麦飯石の埋蔵推定総重量に1kg当りの単価を掛けました。マルが幾つ付いたのか、数える気にもならない程のマルの数でした。

宮本氏「麦飯石旋風を起して一気に全国に販売したい」
私 「それでしたら初めは時間がかかりますが業種を特定することですね。特定したら戦略が立て易くなりますし、その業種の組織の利用が可能です」

更に「無店舗の素人の個人相手では、とかく問題が起き易い。でも商売人相手の場合は、立派な商行為ですよ」

どの業種を対象とすべきかについては、
私 「酒販店の場合は、昔資産家が多く、小切手帳を持っていますから回収はしやすい。但し、麦飯石の販路として適しているかどうか? 問題は、どの業種が、麦飯石を扱ったら麦飯石が流通するかだ」

宮本氏「薬屋はどうでしょうか」
私 「優良業種ですから、薬局振出の手形の割引や商担にしても銀行は喜びますよ。それに、麦飯石は健康志向の方が欲しがりますから、薬局の立場としては顧客に販売し易いでしょう」

いよいよ概要が決まりました。

①対象業種は、薬局。
②代理店政策。
③商品は特定場所に野積みされた麦飯石 (注)倉荷証券
④五年分の販売予約契約を締結し、毎月一定の麦飯石を薬局に送る。
⑤代金は、契約時マル専手形60枚(5年間60ヶ月)を一括回収。

これを聞いた時に、忠告をしました。
「契約書の詳細作成の際は、必ず弁護士に相談して下さい」と。
こうして、麦飯石の販売はスタートしました。

彼等は、私の提唱する北守南進論に従い、青森を北限として真っ先に青森県に出張しましたが、とんとん拍子に事が進みました。


青森をスタートとした代理店開発は、北守南進論を無視し、岩手→宮城→福島まで順調に、しかも関東を後回しにし、以降一気に東海に南下し続けたのです。

その頃です、代理店から回収した分割手形合計億単位の金で、松阪(津?)のホテルを借り切って全国の薬局を招待したのです。

この席には、地元政治家・有力者、それに石原慎太郎も出ました。無論、芸能人も呼ばれました。
私も招待されましたが、お断りしました。

私は関与したくはないと言って。

松阪から帰ってきた宮本氏は、感激した面持ちでその時の情景を話してくれました。

 



●ホテルの大会場に入りますと、真っ暗。
●中央では、巨大水槽がスポットライトを浴びて青く輝く。
●水槽の中には、大きな鯛と大きな鯉が一緒に泳いでいる。
●クラッシックが静に流れる。

驚きと幻想の中に包まれて夢遊病者でした。との事。

今でいう水族館の巨大水槽を1977年に見たのですから、確かにその驚きは尋常なはず。

これを機会に、麦飯石は個々薬局に一気に拡大しました。
宮本氏は、超多忙。もう横浜にいる事はなかったのです。

最後に会った時は、彼が岩手県に行く時です。
岩手県の山中に麦飯石が眠っているのでその現地調査とかで。

                            つづく
心の履歴30代①入社編:目次

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12736672224.html


補足)手形の換金方法で宮本氏に説明した概要

マル専手形でも銀行に持ち込むと手形金額から支払期日までの利息相当額を差し引いた額の金銭を交付してもらえます。(通称「手形割引」)

あるいは、銀行にマル専手形を担保にして融資を受けられます。
(商業手形担保貸付,または商担貸付。通称「商担」)

マル専手形の場合一般的には商担。但し、手形の総額面に対して融資を受けられる額は80%程。手形満期日までの利息と、不渡りリスクがあるからです。

優良企業の振り出す手形の場合は、額面に近い額で割引出来ます。