(前回記事)

心の履歴(120-1) 
三菱商事から教わったこと
2009/02/19 著

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12740614069.html
 

(今回記事)

心の履歴(120-2)
男の嫉妬
2009/02/19 著

 

とにもかくにも大手企業に電話でアポをとり、訪問しました。
のみならず、下町の食品製造会社にも訪問。

焙煎業者や製麺業者・豆腐業者まで。
その場合は、徒歩と電車を小刻みに乗り継いで一日の訪問件数は30件から50件。

日報に添えて交通費清算書を出しますと、森広支店長と会計の田吉君(仮称)が口を揃えて言いました。
「水無瀬は交通費を誤魔化している」

当時の東京支店の既存ルート担当のBB課営業員の一日の訪問件数は平均僅か5件未満。
毎朝、朝礼が終わると、連中は秘密の喫茶店へ集合。

合わせて十数人でしょうか。

メンテナンス要員は、ここで昼食を済ませてから仕事へ。
BB課の営業員は、時には朝から夕方まで喫茶店。

夕方、「何かありますか?」と会社に電話。

注文の電話が入っていると、直ぐに顧客訪問。
注文書に捺印をもらって揚々と帰社。

「きょうは、大変だった!」とか言うのです。

こんな調子の課を指揮し続けてきた森広支店長達にとって、私の行動は理解出来ないものでした。

私の毎日提出する日報には大手上場会社と担当者の名前と商談内容がずらり。
「水無瀬は日報に嘘を書いている」と言われました。

BB課が属するBB営業部は、国鉄との取引が悲願でした。
国鉄との取引口座を開設したら、社員表彰状ものでした。

私が偶々訪問した先の社長と部長が国鉄OB。
次回訪問時、私の作成した国鉄へのAN社製レギュラーコーヒーマシンの提案書を見せて協力を求めたところ、社長の賛同を得、そこの社長と部長と同行。

 

上野の国鉄本社訪問。

窓口は国鉄本社用度課係長。

OB社長の指示で我が社負担@600円程のサービスランチを係長と一緒に三回食べただけですが、注文書に係長の印鑑を押して貰いました。


手始めに千駄ヶ谷駅納入分。

単価87万円を一台。

私「国鉄との取引口座を開き、受注しました」
支店長「水無瀬君、嘘言ったらいかんよ。自分で注文書に判子を押すなんて」
私「国鉄の正式な注文書は一週間以内に郵送されて来ます」


信用しなかったですね。

信用したくなかったのが本音。

正式な注文書が届いても。
後、機器を千駄ヶ谷駅に納入しても認めたくなかったのです。


国鉄の支払条件は、月末締め翌々月末現金振込み。

その振込の日、第一勧銀に日本国有鉄道の名前で振込みがあったことを第一勧銀OBの参事が伝えてきました。


それを聞いた森広支店長と会計の田吉君の言葉。
「水無瀬は国鉄の名前を詐称して振り込んだ!」
呆れました。

彼等が何年かかっても開けなかった悲願の国鉄との取引口座を私に簡単に開かれて立場が無かったのでしょう。

国鉄本社の用度係長の言うには、BB課の主力商品の機器と同種のライバルのSB社の機器を毎年数百台購入する理由は、SB社以外からの売り込みが無い故だけであり、次回、カタログと仕様書持参で来るようにと仰せつかりました。

 

ということは、森広支店長たちのみならず、本社BB営業部も肝心要(かなめ)の国鉄の窓口を訪問していなかったのです。

 

そこで森広支店長と支店BB課長に報告したのですが、無視。
呆れて私はそれ以上の働きかけはしませんでした。

 

尚、私が納入したコーヒーマシンの事
AR社がオランダ企業の特許であるコーヒー抽出ユニットを輸入し、それを基に全自動コーヒーマシンを作ったものなのです。

コーヒー抽出方法は、スイッチをONすると、ピストンが持ち上がった位置で、自動的に円筒の中に1杯分ごとレギュラーコーヒー粉末と熱湯が入り、次に、ピストンが下がり、熱湯に浸ったコーヒー粉末に高圧をかけ、ロール紙状のフイルターを通し抽出する方法なのです。

 



抽出が終わり、円筒とピストンの抽出部分が持ち上がると、ロール紙上に絞られたコーヒー滓(かす)が取り残される。次にロール紙がコーヒー滓と共に左に移動。コーヒー滓は廃棄バケツへ落ちていきます。

 

 

処が、絞られたコーヒー滓(かす)の一部が筒の中に残り、やがてはその滓(かす)で筒がいっぱいになって作動が停止してしまう欠陥があったのです。ピストンの底部分に滓がへばりつくのです。

故に100杯弱ごと、筒の中でピストンに圧縮されたコーヒー滓(かす)を除去しなければならないのです。

千駄ヶ谷駅からはヤクルトの本拠地神宮球場や国立競技場などがあり、何かのイベントがありましたら、2~300杯は軽く出るのですが、このマシーンではメンテナンス要員を巡回させなければならないこととなりました。

つまり、このマシーンは、一日に70~80杯の場所用なのです。

もしも、このマシーンですんなりと300杯程抽出できるのでしたら、先ずは都内の主要駅からコーヒーショップが出来ていったでしょうに。残念です。

 

つづく
心の履歴(121)
返り討ちの痛快さ
2009/02/20 著

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12740855942.html

心の履歴30代①入社編:目次
2022-04-08

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12736672224.html

 

 

(画像)ピストン
https://jidoshaseibishi.com/2G/2018_10/03/03.html