(前回記事)

心の履歴(331)
ある脳凍結社員の場合
2022-01-13 (2010/10/17 著)

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12721016970.html

 

(今回記事)

心の履歴(332)

データに基づく確率論
2010/10/20 著
 
1980年代後半のこと
本州ではパトカーがスピードを計測する場合、一般車の後ろからですが、当時、北海道では後ろからもそうですが、すれ違い時にも計測しました。

ですから、道内でスピード違反で捕まる率は、本州の二倍ということになります。但し、いつも制限速度内で走行している御仁にとっては無縁の話ですが。

さて本文

前々回に述べた営業員の行動計画についての補足です。
私、社員に対して一泊二日の温泉宿泊研修をしていました。

戦略教育としては『孫子の兵法』『ランチャスター戦略』
問題解決手法としては『TQC』
事業の考え方としては、『大前研一(企業参謀)』と『ピーター・ドラッガー(マネジメント他)』
モチベーションとして『ナポレオン・ヒル』『アール・ナイチンゲール』
人生哲学としては『キルケゴール(死に至る病)』

ここで欠けていたものは、具体的な行動量です。
そこで、目標を達成するためには、何をどの位実行したらいいのかという量の目安の数字を求めるものとして、私なりに編み出したのが『確率論』です。
 
一般的には、ボーリングでは『アベレージ』、野球では『打率(アベレージ)』『防御率』、ゴルフでは『ハンディ』と称しますが、視点としてはこの逆です。

例えば、A君がバスケットのフリースローで100回投てきし、成功ゴールが30回だった場合、彼の成功率は30%です。

 


 
200回投げた場合は、60回のゴールを期待出来ます。
故に、100回のゴールを欲しい場合、334回投げてもらいます。
 
これを『確率30(%)』と呼びます。
これを営業の世界に置き換えたのが所謂私の『確率論』です。
 
例えば、B君が、過去2ヶ月間の日報を基にしたデータの場合。
 
①新規顧客訪問件数(a)..............................800件(軒)
②それで出来た購入見込客件数(b).......120件
③結果、受注件数(c).......................................24件(=24台)


④訪問件数対比受注率=c÷a×100(%)→24÷800×100 = 3%
⑤見込み客発掘率=b÷a×100(%)→120÷800×100=15%
⑥見込件数対比受注率=c÷b×100(%)→24÷120×100=20%

つまり、新規顧客訪問数を100件に換算すれば、④より、B君の営業技術では3件の受注が可能と言う事を意味します。
これを『受注確率3(%)』と称します。
 
B君の月間目標台数が15台(件)の場合、同じく④より、B君の場合は確率3ですから、計画する月間の訪問件数は、(15÷3/100→)500件となります。
 
この500という数値が新規訪問の月間行動計画量となり、月間で消化すればいいのです。
 
処が、営業マンには色々と雑用が発生します。
ですから、月間稼動日20日間の内の10日間でこの500という行動数値を消化してしまわなければなりません。一日に換算したら50件です。
 
これをいつの日にやるのかを決めたのが週間行動予定表です。
何故この数字が大事かと申しますと、

(1) 各営業員の数ヶ月間先の受注台数をある程度読めること。
※彼の持つ見込み客数に上記⑥彼の見込み客件数対比受注率を掛けたもの。
 
(2)営業員にとって実績を求めることよりも、訪問数の消化の方が精神的に楽。

 

※私の営業理論では、滞在時間は重視しません。

滞在時間を重視すると営業員は訪問が苦痛となるからです。

 

小売店と言う限定市場ですから、店主に声をかけ、名刺1枚を店のどこかに置いてきたらいいだけなのです。

このことは営業はゲームであるとの考え方に基づくのです。

 

もう少し説明すると、商店には顧客が来ますから、店内で営業マンに居座られたら迷惑なのです。

 

拠って、訪問時の店主への一瞬の言葉は次の通りです。

心得としては自分の得手分野に基づき、例えば、商学部出身の場合「青空申告、お手伝いしましょうか」とか、「帳簿、お手伝いしましょうか」等であり、法学部の場合は「何かお困りなことはございませんか?法律的なことでしたらお任せください」との一言だけです。

 

そして一言だけで去ることがポイントなのです。

この営業マンはしつこくなくあっさりしていると思わせること。

それと、瞬時で去るということは逃げることであり、やがては追っかけたくなる気持ちが湧くのです。

 

これは私の30代前半、市場シェア僅か2%の東京・国立市で活用した手法なのです。去ろうとする私は一軒の店主に呼び止められ、相談を受け、法律的に解決策を提示しました。

それからどうなったと思います?

 

その店主が仲間達に私を紹介していったのです。営業手法としては連鎖紹介販売法です。間もなく雪崩現象が起き、新台出荷シェア60%を超えるまでになったのです。

 

更に、それまでこの市場でNo.1のライバル・ブラウン社(G)の営業マンが私のファンとなり、国道を走る私の車を止めてまで、自分が落とせない都下の商店を私に知らせてくるのです。

 

この手法は、埼玉県でも威力を発揮し、志木市のある酒販店から連鎖は始まり、東武東上線で言えば、その15駅先の東松山までの7店、連鎖はつながり、無論、各酒販店では初回訪問で即契約でした。

 

(3)この確率数値は、自分の営業技術レベルを知る一種のバロメーター。
(4)この確率数値を上げるために色々な工夫や努力が生れる。
 
尚、この確率数値は個人毎実力が違いますから、個人毎違います。勿論、市場は刻々と変化していますし、それとエリアによっても違います。この数値はあくまでも各自の行動量の目安です。
 
他方、見込み客数が実績に直接反映する故に、実はこの数字が一番重要なのです。
 
毎週のミーテングで、最もチェックしたのは、個人毎導きだされた確率数値に基づいての訪問件数の消化状況でした。

もしも、この訪問件数が不足の場合、目標達成意欲が無いと看做出来ます。例え受注件数が目標を達成したとしても同様です。
 
他方、あるエリアで訪問件数が目標数値をクリアしていても、受注件数が確率数値を下回った場合、そのエリアは彼にとって難しく、何等かの手を打たなければならないことを意味します。

余談ですが、家計で食費を抑えたい場合、スーパーに買い物に行く訪店回数を半分に減らしたら確実に家庭内での食費は何割か下がります。
 
野村克也氏がヤクルト監督時代、データを取り入れるという意味の「ID野球」(Import Data)を掲げてチームの改革を図ったのが1990年ですから、私が確率論を打ち出しから3年後です。
 
野村監督の特徴は、私と同様、キャンプ時から彼の理論を選手に教え、彼の考え方の浸透を図ったことでしょう。
 
1992年以降数年間、『データ営業』として営業の世界にも彼の考え方が応用されました。私が札幌を去って本社時代の時です。

 

つづく

心の履歴(333) 
壊滅的稚内エリアの攻略の序
2022-01-14 (2010/10/24 著)

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12721048001.html

 

 

『心の履歴』40代北海道編 目次(2)
https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12720330612.html
(自) No.324

『心の履歴』40代北海道編 目次(1)
(自) No.241 1987年1月
(至) No.323-2

https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12712060251.html