ピーター・ドラッカー(10)ドイツに別れ
ナチス支配を許せず 「ユダヤ人は即解雇」に激怒

(前回記事)
ドラッカー(9)記者兼教授 ヒトラーに直接取材
2021-07-04 
https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12684414196.html

 

1933年1月にナチスが政権を握った後もフランクフルトにとどまっていた。フリードリッヒ・シュタールについて書いた本がこの世にまだ出ていなかったからだ。

 

 

シュタールは「ドイツ保守主義の父」と言われる19世紀の哲学者だが、人種的にはユダヤ人だ。

 

彼について書くということはナチスへの攻撃を意味した。どうせドイツを脱出するのなら、ジャーナリストでもあるし、自分の立場を明確にしてひとかどの人間になりたかった。

 

原稿は、ドイツでは著名な出版社へ送ってあった。32ページ建てのパンフレットのような代物だが、有名な「法と政府」シリーズの記念すべき第100号として、数カ月後の4月に出版される予定になっていた。

 

それを待たずにドイツを離れれば、出版計画が白紙撤回される恐れもあり、ぐずぐずしていたのだ。

現実には、違う形でドイツ脱出は決定的になった。

 

ナチスが政権掌握してから数週間後、私が助手として籍を置いていたフランクフルト大学に早くもナチスが乗り込んできて、とんでもなく胸くその悪い思いをさせられたからだ。

 

ナチスは、ドイツで最もリベラルな信念を持つフランクフルト大学を牛耳れば、ドイツの学界全体を牛耳れると考えたようだ。

 

ナチスからの支配者は大学の教員会議を招集し、開口一番にユダヤ人教員全員を即刻解雇すると宣言した。

 

その後は悪口雑言の長広舌を振るい、「おれの言うことを聞くか、収容所へ送られるか、どちらかだ!」で締めくくった。

 

ナチスが反ユダヤ主義を唱えていても、実際にはそんなことはできない、とだれもが思っていた。

 

それはとんだ見当違いだったわけだ。ついさっきまで親友同士だったのに、教員の大半がユダヤ人と距離を置いて退出するのを見て、48時間以内に今度こそドイツを出ると決心した。

 

家に戻ると、ありがたくもシュタール本の校正刷りが届いていた。すぐに新聞社へ出向いて辞表を出し、再び家に戻ってゲラ刷りのチェックを始めた。

 

夜10時にやっと作業を終え、疲れきった体を休ませようとすると、アパートのベルが鳴った。

 

ドアを開けるとそこにはナチス突撃隊(SA)の制服を着た男がいた。その瞬間、心臓が止まる思いをした。だが、その男は同じ新聞社で働く冴えない編集者であることに気づいた。

 

「うちの新聞社の党代表にぼくが任命されたんだ。ユダヤ人の社主もクビにするし、左翼でユダヤ人を妻にする編集長もクビにする。君みたいな男にはぜひ残ってもらいたいと思ってね」

 

しつこく食い下がる彼を追い払い、ドアに鍵をかけた。このアパートで生活した3年間で鍵をかけたのは、これが最初で最後だった。

 

この時、23歳の私は、身の毛もよだつ未来の光景を見た気がした。後に処女作『経済人の終わり』として結実することになる光景だ。

 

タイプライターに向かって原稿を書き始めたいという強い衝動に駆られたが、どうにかこれを抑えて荷造りに取りかかった。

 

翌日の正午にはウィーン行きの列車に乗っていた。

ちなみに、シュタール本は予定通り出版された。予期した通り直ちに発禁処分にされ、文字通り焼き捨てられた。 つづく

 

(ソース)

日経新聞

 

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(参考)

アンネ(1) 捏造の歴史を叫び続ける醜態
2020-05-13 
https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12596774291.html

『ワールド・アルマナック』 (The World Almanac世界データ事典) によると、ユダヤ人は、戦後、マイナス600万人どころか、逆に40万人も増えている。

 

アンネ(7) ドイツからユダヤ人追放方法
2020-06-04 
https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12601791787.html


ヒトラーは、いかなる方法でドイツからユダヤ人を追い出しのか。

Nazi Germany invaded Poland in September 1939. German dictator Adolf Hitler ordered that the Polish leadership and intelligentsia be destroyed.

1939年9月にナチスドイツがポーランドを侵略した。ドイツの独裁者アドルフヒトラーは、ポーランドの指導者と知識階級を殺すように命令した。

※但し、ヒトラーは、ポーランド在住のユダヤ人を殺せと命令したことは一度もない。

 

アンネ(4) 喜怒哀楽のアウシュビッツ収容所
2020-05-18
https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12597834225.html

 

アンネ(12)ホロコースト否認を規制する法律
2021-01-09
https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12648808195.html

 

ドラッガー書庫
https://ameblo.jp/minaseyori/theme-10114934951.html
https://www.nikkei.com/article/DGXZZO49034890X20C19A8000000/