カナリヤやインコよりもひと回り小さな白文鳥。

運呼(うんこ)も遙かに小さくて可愛らしい。

 

それを24時間、室内に放鳥しているのですから。

知らない間にズボンの裾に入ったり、足元にいたり。

 

いつ踏み潰すのか毎日がヒヤヒヤものでした。

ピピの姿が見えないときは、必ず居場所を確かめる。

 

分からない時は「ピピ!」と呼ぶ。

その時ピピは、小さく「ピッ!」と返事をしますがたった一度だけ。

 

更に呼んでも二度は返事をしませんから、分かるのは声の方角だけ。時にはその声が何処からかが分からない時は家捜しです。

 

白文鳥を飼うも、逃がしたり、或いは踏み潰し、失った方が結構多いのは当然です。我家でピピはよくぞ無事に過ごせたもの。

 

群ようこ氏の随筆「手乗り文鳥のチビの話」(1986年)の中では、当にそのことが書かれていました。成る程そうだ!と笑いました。

 

彼女は5歳の時デパートで文鳥チビを買う。

チビは十数年生きたが途中何回も災難に襲われた。

大きな災難は糞壷の中に落ちた。

二回目は踏まれて片足が動かなくなった。

三回目は猫に腹を割かれ血が出る傷を負った。

チビはそうした苦難を乗り越え、長生きして天寿を全うした。

 

ピピが亡くなってから、改めて白文鳥のことを調べてみました。

http://www18.ocn.ne.jp/~bell103/bunchurekishi.html

http://www.bunchoya.com/setsu/syu.htm

 

文鳥の名前の意味というと、

「文」とは彩(あや)のこと。物の表面に現れたさまざまな形や色模様。特に線が斜めに交わった模様。綾。

 

文鳥の歴史を調べてみると、

原種の文鳥(インドネシアのジャワ島原産『熱帯の米食い鳥』)が、日本にやって来たのは約250年前の1600年代中頃の江戸時代。

 

 

この絵の描かれたのは1700年代で、絵師・三木文柳

 

平賀源内の功績を描いた屏風絵「衆禽画譜」の中の一場面。香川県指定の文化財

1847年刊行の山本亡羊『百品考』に拠れば、「世人好んでこの鳥を畜い(やしない)」、ついには京都の街中を野良文鳥が飛び交っているような状況となっていたようです

 

同じく幕末期比野勘六著「飼鳥必要」には、文鳥飼育が一般化しており、江戸の町中には篭抜け鳥が野鳥化していることが記録されています。

 

昭和7年(1932)に発行された「鳥類写生図普請」の中の説明文によると、東京の羽田、川崎の六郷川縁、千葉・埼玉の江戸川筋では、毎年数百羽の文鳥の群れを見ると書かれています。

 

以上の様に、江戸時代の終わり頃から昭和の初めまで、熱帯産の原種の文鳥が町中を飛んでいたようです。但し、関東を豪雪の寒波が襲うと、寒さに耐えかねた熱帯起源の文鳥は全滅します。

                       ◆

 

他方、白文鳥の場合

 

 

白文鳥発祥の地の石碑がある全身純白の白文鳥が明治初年(1868)愛知県弥富町にて突然変異で出現。

 

繁殖農家の皆さんの努力で個体数を増やしていき、ついには、日本の誇る独自の小鳥としてJapanese Rice Birdと呼ばれ輸出されるに至ったものと思われます。

 

弥富市公式サイト

http://www.city.yatomi.lg.jp/gaiyou/bunchou.html

 

上の日本画は、牧進が描いた「長閑(のどか)」

下の彫刻は、高村光太郎の「白文鳥」昭和4年頃(48歳)の作品

 

 

白文鳥(シロブンチョウ・ハクブンチョウ)の人気は海外のみならず、日本国内でも爆発的なものがあったようです。

 

人気を独占した白文鳥の陰で、必然的に発生したのが桜文鳥(サクラブンチョウ)。

 

何しろ白文鳥の絶対数が足りない段階では、白文鳥の交配相手はもともとの原種しかありえず、この白と原種の交雑からは、半分は白文鳥、半分は原種の頭、アゴ、胸、翼などに白い羽毛が混じった文鳥が生まれたと考えられるのです

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セピア色した新品種がシナモン文鳥です。

1980年代にはシルバー文鳥が、やはりヨーロッパで固定化されたようです

 

尚、現在文鳥として一般に流通しているのが4品種です。

(白・桜・シナモン・シルバー)

 

               ◆

 

白文鳥がいかに愛されていたのかは、掲載した絵や彫刻からにじみ出てくるものでお分かりと思います。

 

何故に愛されたのかは、白文鳥を書いた小説で推測できます。

 

それは次回ですね。

                        2012/05/03

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(次回)

白文鳥ピピとのお別れ ④白文鳥に感じる女性への愛

夏目漱石が愛した白文鳥千代 随筆『文鳥夢十夜』

山岡荘八著(昭和21年)『文鳥』

 

(これまでの記事)

白文鳥ピピとのお別れ ①別れを告げにきたピピ
2020-02-10 
https://ameblo.jp/minaseyori/entry-12574109385.html

白文鳥ピピとのお別れ②亡き後、霊魂が部屋を舞う
2020-02-11
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白文鳥ピピとのお別れ➂淀川の風になって
2020-02-12 
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(テーマ)白文鳥ピピme物語
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