吐く息が白い。


「四季。各々が織り成す美しい表情。それを感じるだけで日本人でよかったと思います。」

朝、ニュースキャスターが嬉しそうに、そうコメントしていた。

それを思い出しながら、水無瀬はウンザリしていた。


この日、水無瀬は外掃除にあたっていた。

会社の周りには、数え切れないほどの落ち葉が舞い落ちている。

掃いても掃いても終わるわけがない。


社員は就業時間の20分前に来て、掃除をしている。

毎日のことなので、強制ではない。

・・・のだが誰一人遅刻しないし、サボらない。

むかっナンデダヨ・・・。


秋という季節はあまり好きではない。

理由は簡単。冬が嫌いだからだ。

「寒いのはイヤだ。」

水無瀬は狭い駐輪場に、駐車したバイクを見ながらそう思った。

単車は水無瀬のFTR、そしてTWがもう一台止まっているだけだった。


社員のほとんどが掃除をしている最中、もうすでに働いている男がいる。

彼の配属は物流部門。

昼の出荷に間に合わせる為、この時間からフル稼働しなくては間に合わないそうだ。


「リフト」と社員の間で呼ばれている、荷物を上げ下げするアームのついた不恰好な機械を操作しながら、倉庫を縦横無尽に走り回っている。


「伊海くん、朝から忙しそうだね」

同じ当番の先輩が声を掛けてくる。

あまりの葉っぱの多さに、早くもあきらめた様だ。

「そうですね」

水無瀬は曖昧に返事をして、掃除を続けた。


いつもなら、話しに花を咲かせる水無瀬だったがこの日は違った。

というより、話題が悪すぎる。適当なゴシップのほうがまだマシだ。

水無瀬は心の中で苦笑するしかなかった。