すごい寒い | 個人的倉庫by源ガク

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「よく考えてみると、なんだか…」哲也は、まとまらない考えをとりとめもなく頭に浮かべる。
「例えば俺が宇宙の支配者だったとして、それがなんだと言うのか?」極端な考えだ。
哲也はチーンと鼻をかみ、丸めたティッシュペーパーをゴミ箱へ向かって放り投げた、緩やかな弧の頂点でそのティッシュペーパーは静止した。そして自ら丸まりを展開し、鼻水と分離する。鼻水はベチョリと床に落ち、ティッシュペーパーは魔法の絨毯のように部屋を浮遊する。
ティッシュペーパーは哲也の顔の前で真四角に広がったとおもったら、今度は哲也の顔の輪郭を写し取った。
「またお前か…」哲也がつぶやくとティッシュペーパーはニヤリと笑みを浮かべた。
床に落ちた鼻水が、粘菌のようにこちらに這い寄ってきた。
「結局のところ…それがどうしたと言うんだ…」哲也はたどたどしく続ける、ティッシュペーパーは機嫌の悪そうな表情を浮かべている。
「結局のところ…お前らは付いて回るし、支配したところで俺のつまらなさは変わらない、そろそろうんざりだ、もうあの契約は無かった事にしよう」ティッシュペーパーは焦り出す「それが、俺の答だ!」
哲也の顔をしたティッシュは、ジュルジュルとこちらに這い寄ってきた鼻水を啜り、丸まって自らゴミ箱に飛び込んだ。
「すごい…寒い…」外では雪が舞っていた。