今日はお芝居を観てきました。

今日観たのは「等伯 ~反骨の画聖~」@俳優座劇場 でした。

等伯とは解説はいらないと思いますが、長谷川等伯のことですね。

有名なのは「松林図屏風」でしょうか。

フライヤにも使われているのがこの作品ですし、この演目でもポイントになる作品ですね。

私はお芝居だけでなく、絵画や彫刻・陶芸などの美術品も好きなので、「等伯をやる」と聞けば「観たい!」ってなりますよね。

以前「画狂人 北斎」という演目で葛飾北斎のお芝居も観たことありますからね。

 

さて、等伯は「松林図屏風」が有名ですが「竹林猿猴図屏風」とか「竜虎図屏風」とかも個人的には結構好きな作品ですね。

何がいいのか。。と問われれば、明確に答えることはできないんですが、、、

・・・例えば丸山応挙の墨絵を観たときに、墨絵ですから当然モノクロですよね、、でも極彩色の作品に見えたとか、、、、多分、他の人にはちょっと分からないような感覚的なものなんですが。。。。

等伯の作品には「静寂」が描かれているような気がするんですよね。

猿の絵とか、静かとは思えないような絵でも何か「猿のいる、動いている景色を通して『静寂』がみえる」ような気がするんです。

・・・まぁ、個人的な感覚の話しなので、、、他の方がどう見えるのかは、、、分かりませんけどね。

 

話をお芝居の方に戻しましょう。

物語は長谷川等伯の人生を演じて観せてくれる作品です。

どういうエピソードがあったとか、、そんなことは「等伯」で検索してもらった方がいいですよね。

お芝居では、舞台上でしか観られない、『等伯が自分自身の画業と向き合った』物語でした。

等伯も最初から「静寂」が描けた訳ではないんですね。

私も知りませんでしたが、画業の前半は狩野派との戦いのようなそんな描き方をしていたようです。

当時の狩野派といえば、それまでも、そしてその後も日本美術界の巨人であったことはよくご存じだと思います。

日本美術史を知らない人でも「狩野派」の名前ぐらいは耳にしたことがあるはず!

そんな狩野派を超えてやろうという野心があったんですね。

「俺が一番の画家だ!」と。。。。

 

ですが、いろいろな出来事がきっかけで、「狩野派との争い」のような製作ではなく、自分の心に沈み込むような作風に変化していったんでしょうね。

私たちがTVや等伯の作品紹介で見るような作品はこの時期以降ののものが多かったのかもしれません。

そしてこのお芝居ではこの時期の、、、、「松林図屏風」に到達するまでの等伯の生きた軌跡を観せてくれています。

・・・人はやっぱり多くの苦難を経験し、その苦難を乗り越え、、、しかもただ乗り越えるだけでなく、その苦難の中に己自身の姿を写してみて、そのうえでこの苦難を己の中に取り込み、苦難自体を己のものにしないと、全き己自身にはなれないんでしょうねぇ。。。

この舞台を観てそんなことを感じました。

とても心に染み入るような、、、、、そんな舞台でした。

 

この舞台には上水流大陸氏が出演しています。

等伯の弟子で等胤の役でした。

等胤は等伯の死後、衰微していく等伯一門の中でも仙台藩主・伊達政宗に重用され等伯一門として活躍し、名を残した人です。

舞台上での等胤はまだまだこれからの人として描かれており、それでも等伯は彼の成長を予感(期待か?)していたのかもしれませんね。

等伯の弟子の役は何人もいるんですが、弟子1、弟子2とかではなく、ちゃんと名前のある役ですからね。

あの舞台上の世界で「名前がある」ということがどれほどのことなのか、想像してみてくださいね!

 

公演は今日(11/18(土))が千穐楽日、私が観たのが千穐楽公演でした。

カーテンコールでは無名塾の仲代氏もご挨拶に立たれました。

私にとっては、初生仲代でした。

 

余談ですが。。。。。

終演後、上水流氏と少し会話する機会がありました。

サインもらっちゃいました(^^)

いい役者さんですよねぇ!

これからもたくさんいい舞台に立たれ、大成されることを願っています。

 

もひとつ余談ですが。。。。。

等伯役の赤羽秀之さん、声の出し方とか、細かい表情や手の動かし方とか、予て知り合いの小沢和之氏と似ていて、、、

というかそっくりで驚きました!

顔立ちなどが似ている訳ではないんですが。。。。

ちょっと不思議な気分になりました。

 

更に余談ですが。。。。。

私は知らなかったんですが、俳優座劇場2025年の4月に閉館するんだそうですね。

思い出深い演目をいくつも観てきた劇場の閉館。。。。。

寂しいですよねぇ。。。。。

コロナで小さい劇場がいくつも消えてしまいましたが、、、俳優座劇場も、、、なくなっちゃうんですねぇ。。。。

建物自体の老朽化も理由の一つらしいですけど。。。。。

老兵はただ消えゆくのみ。。。。。なんでしょうかねぇ。

私も、、、、そう遠くないにかなぁ。。。

 

おまけの余談ですが。。。。。

かなり来るものがあったので、誰かに話をして、この気持ちを分かち合いたいなぁ、、、

ってことで以前上水流氏が出たことのある「十二人の怒れる者たち」のプロデュースをした柚木彩見ちゃんの出てるイベントに急遽参加してきました。

予約は入れてなかったんですけどね。

等伯が終わって、劇場を出たところで、「今日行ってもいい??」と確認を入れたところ「OK」とのことだったので。

パンフ見せたりして、話をしてきました!

(このイベントについては別途UPしますね!)