頭の中が纏まらない。
考え過ぎて、吐き気がする。
使い過ぎたせいで頭も痛い。
原因は分かっているのに、自分の頭?心?をまとめる術が見付からない。
だが、何となく・・・
本当に何となくだが・・・・
白侶の言いたいことが、解ってきた気がする。
被っていたフードで顔を覆われた。
大きめ服だったから、顎まですっぽり覆われた。
何があったかは画像の力を借りるとして────
ぶっちゃけ、男としての力量差を見せ付けられた気分だった。
あんな技があるなら、元カノに使っときゃ良かった。
それから、幾つか解ったこともある。
あの大型犬・・・・・・
結構な噛み癖があるってこと。
最近、気が付くとよく左の首筋を噛まれてる。
16日以降、ずっと左肩が寒い。
寒いし、痛い!
・・・お前、俺が首弱いの知っててやってるだろ?
止めてくれる?
その無駄に整った顔で近づくの・・・
俺の自尊心が傷つくから。
後半の意味は解りかねますが、
前半の答えなら「yes」です..
自分がどうして抵抗できないのか解らない。
こういう目には数多く遭ってきた。
普段の自分なら、間違いなく相手をぶっ飛ばすか蹴り倒すかしている。
奴だって、そんな事は百も承知だ。
なのに、白侶にだけは無抵抗のまま───
抗わず、いつも好きにさせている理由が解らない。
手首を押さえられた事もあったけど、振り払えないほどの力じゃなかったし、振り払ったら止めてくれたとも思う。
私の嫌がることは、しない奴だから・・・
ああ・・・・・
でも書きながら、今何となく解った。
一度でも抵抗したら───
“もう二度と、あの手は私を捕らえない”
離れていってしまう、
傍にいてくれなくなる、
そう感じるのが、怖かったんだ───
そしてそれは、多分、抗ったら本当にそうなっていたと思う。
『ずっと傍にいて欲しい』
私の願いは、それだけだ。
それだけに、難しいと言われた。
「ただの人間が、どうやって「橋渡し」の魂の傍にいられる?」
「どれだけの運命をねじ曲げて、苦痛を味わって傍にいると思う??」
なのに自分は、絶対に彼を選ばない・・・
選んだら、何かが壊れてしまいそうで。
ずっと、それが怖くて選べずにいる。
その事について、よくよく考えてみた。
自分はきっと───「白侶が傍に居なくなる」───それが怖いのだ。
生まれた時から、当たり前のように傍にいた。
どんな時も、見守ってくれた。
どんな危険からも、命懸けで護ってくれた。
私のスーパーマン。
転生後、彼の願いと契約を叶える為には、どうしても、一時的に私と離れる必要がある。
転生場所は、その際に自分で選べるとして。
年齢差の大まかな予想も出来る。
が、出逢う時期までは予想が立たない。
いや。
私のことだから解ると、孝姫も白侶も断言する。
私なら「いつ、どこで、どうやって出逢う」かまで視えると。
・・・自分でも、たぶん解ると思う。
なのに貴方は、一度も・・・・・・・
貴方の傍に誰よりも仕えたのは私の筈..
なのに貴方は───
“私では、至りませんか?”
貴方の側にいるのが私では・・・
至りませんか?
違う、
一瞬でも、
白侶が居ないのが耐えられない。
転生後の11年なんて、1200年も生き長らえてた私には泡沫の時だ。
なのに、一瞬でもその手を離すのが───
怖くて堪らない、
不安で仕方ないッ
『でもそれじゃあ・・・
来世、白侶さんの願いは叶わないのよ?』
わかってる。
『親離れ出来ない心が、
子離れ出来ない親心を迷わせてる』
孝姫の言った意味も、やっと理解出来た。
でもまだ、自分の心に迷ってる・・・
答えが出なくて・・・
私はまた───
白侶のことを、
え ら べ な い