普段、優雅な物腰と
上品な仕草で毒を吐く白侶は
私の小姓兼指南役である
その男が
おかしな事に先程から
悠然と主人の私を
見下ろしてくるではないか
どうしたことだろう
お前ねぇ
誰の許しを得て私の上に乗ってる
私が貴方を組み敷いて
何か悪いですか‥
いや、あの・・・
!おっかねーんだよ!
バカ野郎
人の腹の上で
真顔でふんぞり返りやがって
密かに握り締めた拳を
脇腹に叩き込むも
余裕の表情を崩さない従徒
白侶は
退ける気は無いらしい
力で勝てるはずもないので
俺もアッサリ諦めるし
無理ムダ無謀ってね
その足は、どうされたのです..
足??あぁ、
いつの頃からか
尻→太股の裏→膨ら脛に
痺れる様な痛みがあり
時折、歩くのが辛かったのだが
と
自分に言い聞かせて
やせ我慢しているうちに
本日とうとう
歩けないくらい
激痛になった
てか、歩けない
まったく・・・
呆れて傾いた眼鏡を直しつつ
静かな溜息が耳に降る
病院に行った結果
接骨院の先生に
☞ヘルニアの手前
☞全治1年
と診断されました
どこかで聞いたセリフに
鳥肌が立ったよね
原因は育児
末っ子が私のお腹の上で
寝るものだから
骨盤がズレたんじゃないか、と
乳児の時は軽かったし
可愛かったから離したくなくて
ずっと
腹の上で寝かせてたんです
それが癖になっちゃって(笑)
2歳前の今でも腹の上で
寝るんですよ13㌔が
そりゃ骨盤だって開くよね
せめて、1週間は安静にとの事です‥
その間は仕方がないので私が
坊ちゃんのお世話を致します‥
お前のその態度の
どこが“仕方ない”んだよ
ここ2年、育児に仕事に忙しく
私に遠慮して
随分と大人しかった白侶
久し振りに
全力の愛をぶつけられたよね
末っ子はこの際
妻に頼むことになり
私はしばらく
育児はお休み
しばらくは白侶の世話を
する事になりそうだ