今年最大のクリティカル叩き出した奴、優勝.. | 比翼連理 ~執事の愛が重い件~

比翼連理 ~執事の愛が重い件~

当ブログは、年の差11歳の主従が送る日常の風景。ネグレクトの母から赤子の私を引き取り育ててくれた付き人の白侶(ハクロ)は、その美貌と優雅さで見る者を虜にする外面の良い悪魔。そんな彼のドス黒い“本性”を主人ならではの目線で書き綴るノンフィクションです。

インド産のブラックカラントです..
水色は、アントシアニンが溶け込んだ美しいが特徴で・・・

果実特有の仄かな甘みがあり、
喉の調子がお悪い坊ちゃんには、ピッタリですよ..


『御自愛下さい』なんて言いながら紅茶を注がれると、「うちに執事なんか居たか?」と疑いたくなる。

それを聞いて───


貴方は本当に、水都を大事にしてくれるのねぇ

と、母が言う。


答えた白侶に妙な含みを感じたのは、たぶん、きっと気のせいじゃない。
一瞬、微かに間があった。

気付けるのは付き合いの長い私くらいだろうが。
白侶の“アレ”は、真実言いたい事を隠している時の喋り方だ。

「癖」なのだ、彼の。

本当に言いたい事は、きっと違う。




貴方達は来世でも一緒にいると聞いたけど

と、唐突に、何の前触れもなく母が尋ねた。


基本的に、私と白侶の間には前の世で交わした「契約」が生きている。
それがある限り、彼が私の傍を離れることはない。


が、確実にそれが解っている二人の間以外で、あまりその話をするのは好きじゃない。

なので母には、

そうなるかも知れないし、そうならないかも知れない

と答えておいた。


───いや。
正確には、「答えようとした」だ。

私が言い掛けた言葉は白侶によって遮られた。



私の“望み”は、
この方と共に生きること..

私はもう、掴んだこの手を・・・

二度と離したりは致しません..




・・・母が、赤面していた。

他のお手伝いさん達も、「白侶信者」は皆、完膚無きクリティカルヒットを喰らい、口許や顔をハンカチで押さえる者多数。

私だけが、この後一体どんな返しをするのが正解なのか、執事くんの体温を感じる背に冷や汗をかいていた・・・



でも、貴方には“みつ”さんが・・・・

母はあまり深く考えず聞いたのだろう。

私にとって、地雷も同じその言葉。
出来れば聞きたくなかった。
触れたくなかったその話題。


自分にとって彼女は、なくてはならない存在だ」と、白侶が言う。


・・・・・知ってる。

白侶は“みつ”を追いかけて此処まで(現世)来た。


白侶にとって、何より大事なのは“みつ”!
優先すべきは彼女の言葉!
そして、きっと奴の「最愛」だ。

自分の前世を憎いと感じるくらい、私は誰よりもその事をよく知っている。

私の中に在って私ではない。
もう一人の、“未成仏だった前世の私”。

それが──“みつ”──。

私にとって、越えられない壁だ。


私を視た誰もが、私の中に在る“みつ”の存在を怨念と畏怖し、同時に、魅せられた。

“みつ”は、その存在を視た者にとって常に「完璧」な存在であり、半憧れでもあった。



“みつ”さんは凄かった!

私の両親は、私が22の時に高野山で成仏させた“みつ”の、未だ大ファンだ。
(※そこでしか成仏させられなかった)

白侶も、“みつ”を「大変優秀で魅力的な方でした」と言う。

( ̄ー ̄)減給決定!!



ですが奥様、一つ訂正が御座います..

“みつ様”は、確かに素晴らしい方でした..
私にとって、水都様と同じくらい大切な存在である事も、言うまでもありません..

しかし・・・・・


前世の業を乗り越え、
今世なお「魂の成長」を続ける───


私の都様には、敵いません..

「過去」は過去に、
「思い出」は記憶の中に在ればいい..

私が欲するのは、
この方と共に生きる来世(みらい)」です..






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・母を筆頭に、感涙に咽び泣くお手伝いさん達。
本人を張り倒そうにも、もはや場の流れは完全に白侶のものである。

ポカンとして浮いているのは、アホ面下げた私だけ。


この日、「来世」という自由に胡座をかいていた私の未来は終わった。

我が全権は、今や小姓という名の主人の手の内である・・・


白い悪魔にほだされた母が───



涙ながらに、

この子を宜しくお願いします』と、大号泣していた。。。