水色は、アントシアニンが溶け込んだ美しい紫が特徴で・・・
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果実特有の仄かな甘みがあり、
喉の調子がお悪い坊ちゃんには、ピッタリですよ..
『御自愛下さい』なんて言いながら紅茶を注がれると、「うちに執事なんか居たか?」と疑いたくなる。
それを聞いて───
『貴方は本当に、水都を大事にしてくれるのねぇ』
と、母が言う。
答えた白侶に妙な含みを感じたのは、たぶん、きっと気のせいじゃない。
一瞬、微かに間があった。
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気付けるのは付き合いの長い私くらいだろうが。
白侶の“アレ”は、真実言いたい事を隠している時の喋り方だ。
「癖」なのだ、彼の。
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本当に言いたい事は、きっと違う。
『貴方達は来世でも一緒にいると聞いたけど』
と、唐突に、何の前触れもなく母が尋ねた。
基本的に、私と白侶の間には前の世で交わした「契約」が生きている。
それがある限り、彼が私の傍を離れることはない。
が、確実にそれが解っている二人の間以外で、あまりその話をするのは好きじゃない。
なので母には、
『そうなるかも知れないし、そうならないかも知れない』
と答えておいた。
───いや。
正確には、「答えようとした」だ。
私が言い掛けた言葉は白侶によって遮られた。
私の“望み”は、
この方と共に生きること..
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私はもう、掴んだこの手を・・・
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二度と離したりは致しません..
・・・母が、赤面していた。
他のお手伝いさん達も、「白侶信者」は皆、完膚無きクリティカルヒットを喰らい、口許や顔をハンカチで押さえる者多数。
私だけが、この後一体どんな返しをするのが正解なのか、執事くんの体温を感じる背に冷や汗をかいていた・・・
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『でも、貴方には“みつ”さんが・・・・』
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母はあまり深く考えず聞いたのだろう。
私にとって、“地雷”も同じその言葉。
出来れば聞きたくなかった。
触れたくなかったその話題。
「自分にとって彼女は、なくてはならない存在だ」と、白侶が言う。
・・・・・知ってる。
白侶は“みつ”を追いかけて此処まで(現世)来た。
白侶にとって、何より大事なのは“みつ”!
優先すべきは彼女の言葉!
そして、きっと奴の「最愛」だ。
自分の前世を憎いと感じるくらい、私は誰よりもその事をよく知っている。
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私の中に在って私ではない。
もう一人の、“未成仏だった前世の私”。
それが──“みつ”──。
私にとって、越えられない壁だ。
私を視た誰もが、私の中に在る“みつ”の存在を「怨念」と畏怖し、同時に、魅せられた。
“みつ”は、その存在を視た者にとって常に「完璧」な存在であり、半憧れでもあった。
『“みつ”さんは凄かった!』
私の両親は、私が22の時に高野山で成仏させた“みつ”の、未だ大ファンだ。
(※そこでしか成仏させられなかった)
白侶も、“みつ”を「大変優秀で魅力的な方でした」と言う。
( ̄ー ̄)減給決定!!
ですが奥様、一つ訂正が御座います..
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“みつ様”は、確かに素晴らしい方でした..
私にとって、水都様と同じくらい大切な存在である事も、言うまでもありません..
しかし・・・・・
前世の業を乗り越え、
今世なお「魂の成長」を続ける───
私の水都様には、敵いません..
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「過去」は過去に、
「思い出」は記憶の中に在ればいい..
私が欲するのは、
この方と共に生きる「来世(みらい)」です..
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・母を筆頭に、感涙に咽び泣くお手伝いさん達。
本人を張り倒そうにも、もはや場の流れは完全に白侶のものである。
ポカンとして浮いているのは、アホ面下げた私だけ。
この日、「来世」という自由に胡座をかいていた私の未来は終わった。
我が全権は、今や小姓という名の主人の手の内である・・・
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白い悪魔にほだされた母が───
涙ながらに、
『この子を宜しくお願いします』と、大号泣していた。。。