なかったことにしたいがしかし。 | 弁護士みなみかずゆきのブログ - ON AND ON -

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南森町の「なんもり法律事務所」の弁護士の南和行のブログです。同性愛を公言するカップル弁護士,弁護士夫夫です。
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今日も今日とて,裁判所に行き,遠方の裁判所とは電話会議をし,あーでもないこーでもないと電話やメールでやりとりをして,台風の中でようやくたどりついた京都で,学生さんの答案ゼミをしたあと,電車がストーップ!!!という状態で「困った!」となるのではなく,「やった電車で座れたからノートパソコンでいっぱい仕事ができる」とか思ってしまう,もう健気だよね。自分。


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そいで学生街で食べてしまったラーメン。なんでこういう失敗をしてしまうのだろう。オジサンなのに!


そんな中で,ちょっと前にあった実にくだらない話。なんだか人の悪口みたいなことを書いてしまい,これを自分の仕事の関係の人が見たら嫌だなとか思うけど,書きたいから書くの。


メディアにとてもよく出ている有名な人達から「南さんの本が素晴らしかったです」「私たちが出版する本の中で,ぜひ南さん吉田さんと私達との対談を入れたいのですが」とのオファーをいただく。


メディアに出ていることで飯食っている人から「使えるゲイカップル認定いただきました!」てな悪ノリをすることもなく,僕たちはとても真面目に考えました。


正直,その人達のメディアへの露出の仕方について僕たちは疑問を持つことはありました。しかしきっとその人達も,自分たちの生活のことだけではない,なんらかの社会的意義をもって活動されているのだから,今回も,僕たちにお話をいただいたのだろうと考えました。まさかさすがに「自分たちにとって使えるコマとして弁護士夫夫に声をかけて」てな話でもないだろうと考えました。


ただし,僕たちは本業は弁護士なので,その対談のために一日を東京に行くとなると,謝礼をもらってもその金額によっては大阪で弁護士業務をするほうがプラスなわけで,その意味を真剣に考えるワケです。


その人たちの出す本はどんな企画に基づいて作られるのだろうとか,その人達によって社会に情報が発信されることの効果や影響ってどんなだろうとか,あと自分自身があとで「出なきゃ良かった」とか思わないかだろうかなどなど。


とか考えていたら,むしろ先方から「吉田さんのツイッターを見て,一緒に良い作品を作れるか不安になりました。今回の企画は白紙とさせていただきます」とのメールが。まぁ,いいんですが。お話は「なかったこと」になりました。


きっとメディアだけで生活している人にとってはこういうことは日常茶飯事で,メディアに出て相乗的に自分の商品価値を上げることにプラスかマイナスかのかけひきで,他人を値踏みしてやっているのだろうということはよく理解できますし,それも仕事の一部ということなのは批難するつもりもありません。


それを強く感じたのがお断りメールの中にあった「前々から吉田さんのFacebookやツイッターを見て,私たちのことをよく思っていないようなことを感じていたけれど,南さんの本がとても良い内容だったから,吉田さんへの疑問を見なかったことにして,今回の対談を頼んだのに残念です」みたいな一文です。


あー,やっぱり最初から,警戒心を持っていて,吉田あるいは私たちと価値観が合わないかも(すなわち役に立たない)という判定を持っていたのだけど,とりあえず南の本がやや良い内容だったので,「使える」認定をしたけど,やっぱりということなのですね。


最初から言ってくれればいいのに。「前に吉田さんがツイッターでこういう発言をしていますが,対談ではこのこととか,あのこととか,あの人のこととかは聞かないでくださいね」って。南さんの本が素晴らしかったのだったら,南さんとだけ対談どうでしょうか,あ,ダメですか?カップルでないと意味がない。


しかもね,その「なかったことにしたい」メールをもらう直前の吉田のツイッターて何かなぁと,そんなに心配にさせる内容だったかしらと思えば,なんてことはない他人様の「リツイート」だったの。


そうか,「私達の商品に乗っかりたかったら他人様のリツイートまで許しませんよ」という,徹底した関わる人達への品質管理なワケです。


メディアに出ることが本業,メディアに出ることが生活費に繋がっている人からすると,そりゃ自分と合わない人と一緒に仕事をすることなんてリスクしかないですし,自分たちのことを全肯定する人としかお付き合いしたくないですよね。


でも,それならテレビタレントなど,いわゆる芸能人として活動したらいいのにと思うのだけど,社会活動家という肩書きなのが私にはいまいちピンとこない。東京シャイニングスターとはそういうものなのだろうか。


で,きっとその人は,僕なんかが,こういうことをFacebookやブログで書くことをいちばん嫌がると思うし,「キーッ」てなるんだろうなと思うけれど,でもねぇ,僕はやっぱりおかしいというか,普通に失礼と思ったし。


それでアンタ,世の中の人から金取って飯食って,多くの人達の価値観や意識に影響を与えようとしているなんて,どんだけエラいんですかと思うので,書いてみる。正直,僕なんかより,その人達はずっとメディアなどへの影響力があるはずなので,こんなこと屁の突っ張りでもなく,明日も明後日も,いろんなメディアで見かけることでしょう。


僕は,別に嫌いでもなんでもないので,っていうかもともと,ご挨拶したことがある程度なので,今度,どこかで会っても「こんにちはー」って言うと思う。


でもね,やっぱり僕もこれだけ本業あるからとか強がり言ってるけど「同性婚って本を書いた弁護士の南さん,本当はとても感じが悪い人だったわ。失礼なのよ」とその人に言いまくられるのではないかとか,人間は心配してしまうものなのです。だって,そりゃ,本を出すというような機会がまたあれば嬉しいと思う欲もあるし,テレビや新聞なんかに自分が出たらやっぱりなんか少し嬉しい自意識を得られることもあるし。僕もきっと,その人と同じようなことはいっぱいあるんじゃないかなと思うのです。


もしかすると,むしろその人は,もともと合わないかも知れないとチビッと感じながらも,僕らに思い切って声をかけてきてくれた,素晴らしくいい人なのかも知れません。それはわからない。だって,もともと親しいワケではなかったし。むしろ,申し訳ないとすれば,オファーのメールをいただいて,その後,電話で話した時にむしろ僕のほうが「やーん,有名人さんからお電話もらって嬉しいです」みたいなトーンで話をしたことかしら。

さぁ,そんなことより裁判所に出す甲10号証のエクセル一覧表の入力作業をしっかりしなければ。ほらほらベタベタな日々さ。