谷崎潤一郎『細雪』④ ~嵯峨野、広沢の池と紅い椿 | 自転車から今日は♪

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嵯峨野、広沢の池と樹齢300年の小説『細雪』に登場した椿です。

 

 

 

 

平安神宮から地下鉄、そしてJR嵯峨野線に乗り換え、嵯峨嵐山駅へ

 

蒔岡家の京都のお花見2日目は、嵯峨野の広沢の池から出発です

 

場所は嵯峨嵐山駅から歩いて15分位の場所にあるようで

ネットの口コミを確認しますと星印がいくつもつくような

観光スポットではありません。

 

実際、池まで歩いてみますと観光地というよりも、そこに住んで

生活する場という感じで、スーパーがあったり小さな商店があったり…

 

朝食を食べ損ねていた私は、どこかでゆっくり出来れば

せめてコーヒーでもと思ったのですがそういう場所もなさそうです。

 

小説『細雪』は青空文庫で読むこともできます。

 

広沢の池の箇所、抜粋してみますね

 

 

明くる日の朝は、先ず広沢の池のほとりへ行って、水に枝をさしかけた一本の桜の樹の下に、幸子、悦子、雪子、妙子、と云う順に列んだ姿を、遍照寺山を背景に入れて貞之助がライカに収めた。この桜には一つの思い出がある…

 

(中略)

 

… 以来彼女たちは、花時になるときっとこの池のほとりへ来、この桜の樹の下に立って水の面をみつめることを忘れず、且その姿を写真に撮ることを怠らないのであったが、幸子は又、池に沿うた道端の垣根の中に、見事な椿の樹があって毎年真紅の花をつけることを覚えていて、必ずその垣根のもとへも立ち寄るのであった。」(『細雪』上巻)

 

 

 

貞之助義兄さんのライカで記念撮影。

 

映画の場面からだと、こんな感じでしょう

 

背景は庭園風になってるから、平安神宮あたりかな

 

 

 

 

素敵な晴れ着着てポーズとってますけどね

実際ものすごい距離を歩くんですよ。

 

私は翌日もれなく筋肉痛でした。

(毎日、ママチャリで足腰鍛えてるにもですっ!)

 

 

 

↓平沢の池と、遍照寺山です。

 

 

 

 

ここは灌漑用のため池なのですが、その歴史は古く平家物語にも登場。

 

月の名所として有名な場所です。

 

 

 

 

 

京都駅周辺や四条河原町、そして祇園

 

歩いたのは早朝でしたけど、人気観光地の賑わいは想像でき

それがここへきて一瞬タイムスリップしたような感覚になりました。

 

とても静かで、どこか素朴

 

 


 

 

一周まわってみようかと思ったのですが歩けるのは南側と西側のみと思われます。

おそらく北側は道がないのかな

 

 

 

 

小説にある広沢の池の畔に佇んだ姉妹の姿をみた、見知らぬ紳士が

写真を撮らせてほしい頼まれて、後日送られてきたという写真の描写も

とても素敵

 

それは幸子と悦子とが佇みながら池の面に見入っている後姿を、さざ波立った水を背景に撮ったもので、何気なく眺めている母子の恍惚とした様子、悦子の友禅の袂の模様に散りかかる花の風情までが、逝く春を詠歎する心持を工まずに現わしていた。

 

 

こうして蒔岡姉妹は、毎年春になるとこの池の畔へやってきて

同じ場所で写真を撮ることになるのですが、その池の畔はどこなのか

 

それはたぶんこの場所だと思います。

 

池の周りを歩ける場所って限られていて、畔まで来れる場所となると

西側のこの場所だろうなぁ

 

 

私が訪れた3月23日はようやく桜が咲きだしたくらい。

しかも天気は下り坂

 

桜が咲いていてくれたらもっと良かったんですが

蕾のついた木の根元には可愛らしい黄色い花が咲いていました。

 

細雪ファンの皆さま

 

なんとな~く 雰囲気掴めましたでしょうか

 

 

 

 

絢爛豪華な映画のお花見シーンとは対照的に

広沢の池はとっても長閑

 

お寺と言った建造物もありません。

道行く人の姿はありませんが、その分家族の笑い声が

聞こえてきそうです。

 

私が幸子の娘の小さな悦子であれば、きっと嬉しくてスキップだと思います。

 

名句を知る素養のある人であれば…

うーん 何を思うんでしょうかね。

 

そして広沢の池にはもうひとつ

 

幸子が必ず立ち寄ったという

池に沿うた道端の垣根の中に、見事な椿の樹

 

 

樹齢300年ということは、前回の記事で紹介した

地蔵禅院の枝垂れ桜と同じくらいですね。

 

桜と違って椿の木は小ぶりです。

木の前にはきちんと谷崎潤一郎の『細雪』に登場する椿として

紹介されていました。

 

 

 

 

プレートの色が少し違うのは、この時雨が降り始めたから

 

椿の木の下で少しだけ雨宿り

 

春のやさしい雨でなかなか風情があります。

 

この木の下を文豪が佇んでいたと想像すると

たまりませんなぁ

 

 

 

 

 

 

 

しかし、私は知ってしまったのだ

 

広沢の池はNHKの朝ドラ『あさが来た』のロケ地として使われたところらしい。

 

玉木宏様演じる、新次郎はんが祝言すっぽかし三味線の巻で登場した場所

 

それがこの広沢の池なのだ!

 

 

 

 

文豪も捨てがたいが、椿の下で雨宿りするなら

新次郎はんがいいなと、どーでもいいことを考えるワタクシ…

 

 

 

 

 

では次のお花見場所に移動しましょうか

 

今度は大覚寺にある大沢池の桜ね

 

歩くと結構あるぞ

 

 

~次回へ続く~