午後の曳航 ~少年よ、考えるとこソコですか?? | 自転車から今日は♪

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小さなおうちでの生活をのんびり綴ってみたいと思います♪

曳航(えいこう)って難しい字ですね。

意味は他の船を引いて航行することだそうです。

 

午後の曳航(1976年)

原作 三島由紀夫

監督 ルイス・ジョン・カリーノ

 

今日は映画の感想です

 

 

その昔、とあるレポートで賞をとり

その副賞としてハイパーレスキュー隊の内部を

親子で見学させてもらったことがありました。

 

滑走路の撮影は不可ですからね

 

とオレンジ色制服を着た隊員さまに

救助用のヘリコプターのある格納庫まで

エスコートされ

 

その人はただ歩いているのだけなのに

 

私を見つめている訳でもないのに

 

 内部の様子を説明しているだけなのに

 

無自覚なフェロモンをふりまかれ

ドキドキさせられました

 

 

危険と隣り合わせで働いている人というのは

独特の何かがあるんでしょうか。

 

子供以上に母親のテンションがあがります。

 

レスキュー隊の方は、子供たちが来てくれるのだからと

ヘリコプターの構造をを説明するため、

手作りの模型を使って出迎えてくれ

 

簡単なものですが

昨日の夜作ってみたんですよ

 

と恥ずかしそうに微笑みます。

 

仕事ができて、子供にも優しい

 

ステキ、ステキ~♡

 

すると今度はたくさんの計器がついた

救助用のヘリコプターのところに案内し

 

乗ってごらん

 

と息子をのせてくれました。

 

 

お母さんも気を付けてください

 

と私にも優しい言葉をかけてくれました。

 

ヤダもう ホレちゃいますって~

 

子供のというのは、

それも小学生男子という生き物の大半は

乗り物が大好きで

 

ここぞとばかりに知ってる限りの知識を総動員して

話しかけちゃったりします。

 

へぇ~ よく知っているんだね~

 

と褒められて、息子はご満悦

 

子供もこの人に懐いているようだし、

こんな人が新しいパパになってもらえたら

毎日わくわくしちゃうだろうなぁ~

 

などと私も妄想しましす。

 

こんな気持ちにさせたのは

「おかあさんといっしょ」のヒロミチお兄さん以来

 

途中までは私も映画と同じ流れだったんですけどね~ 笑

 

うっとりとため息をつき、

淡い片思いは一瞬で終わるのですが

 

もしも、少年の憧れのヒーローが

自分の母親と恋におちたら

少年は何を思うのか

 

それがこの物語のテーマです。

 

 

 

 

とある港町に暮らす13歳の少年ジョナサン(ジョナサン・カーン)

母のアン(サラ・マイルズ)

 

夫に死別され、アンは一人で息子を育てながらも

親子仲をは良く、船好きなかわいい我が子の為に

アンは入港した船の見学に行き、そこで

二等航海士のジム(クリス・クリストファーソン)と出会います。

 

男っぽい海の男ジムの魅力に、ジョナサンは大興奮

会った瞬間ロックオンしていたアンさんも

私は未亡人ですし問題ありませんわと

自己紹介してグイグイせまります。

 

未亡人、その日のうちに海の男お持ち帰り

 

その疾きこと風のごとく

女風林火山です

 

 

 

 

ところが!

 

ジョナサンの部屋のタンスの奥には母親の部屋を

覗くことのできる小さな穴がありました

 

少年はこの小さな覗き穴から

母親がオンナとなった姿を

見てしまうわけです。

 

ダバダ~ ダバダバダ~ ♬



 

ジムさん、結構イイ人で

 

いい父親になろうと、ジョナサンに優しいんです。

 

でも、少年とってのジムさんは

陸地とは無縁の海の英雄で、航海士をやめ、

結婚して母の経営する店を一緒に手伝うなんて

堕落でしかないのです。


彼は友達グループと秘密クラブを作っていて報告するのですが

そこのチーフがね

かわいい顔して、とんでもない悪ガキなんですよ

 

 



頭はキレれるし、弁はたつし、カリスマ性もあるし
金持ちのボンボンだし、何やら医学の知識もあって

医療器具まで所持しちゃってます。

 

少年ジョナサンの気持ちを裏切った罪は大きく

そいつをもう一度「英雄」にしてやるんだと提言し、

秘密クラブの少年チーフ、仲間たちにジムの処刑を命令するのであった…

 

 

 

 

 

大分端折りましたが、「午後の曳航」のあらすじです。

 

バッハ編曲 マルチェロのアダージョ

 

 

 

曲目解説

 

映画「午後の曳航」で船乗りと母親の情事を、

息子が覗き穴から覗いていた時に

流れていた曲

(なんちゅー解説だ)

 

 

いやー、それでなくってもあんなアクロバティックなこと

そんな人もいるだろうさと知識として入っていたとしても

自分の親がしているのを見てしまったらそりゃショックだろうよ

 

と思ってこのシーンを見ていたのですが

 

なんと主人公

 

 

やっぱ、ジム、サイコー

流石はオレの見込んだ男だぜ

あの肉体美すごいぜ、さすがは海の英雄!

 

 

とまさかの、海の男リスペクト

 

ええーー??

 

とワタクシ椅子から転げ落ちるんじゃないくらいに

驚きました。

 

少年よ、感じたとこ、そこなんですかぁ~

大切な母親をとかそういことは思わないんですか?

 

そこでやっと気づくわけです。

そうか、これは三島由紀夫先生の原作だったか!

まんまと、やられたー!

 

翌朝、事実を知ってしまった少年は

母親とちょっとギクシャクしたやりとりあがり

思春期の男の子らしい表情をみせ

少年らしくて宜しいじゃないと思ってたら

 

 

なんとこの主人公、身内の赤裸々な性生活を

恥じるところか、嬉々とした顔で

 

オレのジムは、すごいんだぜ

 

と得意げに仲間たちに報告します。

 

 

自分の親の秘めごとは

そっと胸の中にしまってカギをかけるのが

正しい少年のセオリーなんじゃないですかぁ~?

 

 

私はてっきり堕落した母をなげく

ハムレットの苦悩のような展開を

予想していたので

 

ここでもまた

 

 

なんですとぉ~

 

とお口アングリとなりました。

 

(少年、そこは喜ぶところなのですか??)

 

 

自分の予想がことごとく打ち砕かれます。

 

だからこそこの映画は面白い。

 

 

 

 

 

当然、秘密クラブのチーフからは

お前は何をバカなことを言ってるのだと窘められ

 

さすがはチーフ仰る通りですよと

思ったのもつかの間

 

だからさー どうして

この位置からそっちにワープできるわけ~?

 

と今度はチーフが凡人の斜め上をいく展開で

チーフの三島節が炸裂。

いやもう、クレイジーだわ

(↑褒めてます)

 

 

作中船オタクの主人公は、

船の旗の意味するものと、トリビアを披露してくれますが

赤と白の旗は「危険が近付いている」って意味があるそうなんです。

 

このセリフを作中何度か口にしているのですが

子供たちの制服、白いシャツと赤いジャケットで

モロ危険注意報なのよ

 

これ意図してこういう制服にたのかな

 

 

それと~ やっぱり猫ちゃんのエピソードかな

 

 




お邪魔しているブロ友さんの記事から

三島先生って、無類の猫好きの人という情報が入っていたので

あのエピソードはびっくりでした。

 

猫好きな人が、あんな内容の話を書くなんて

ありえないでしょう。

 

何故、なぜ、ナゼ~??

 

 

 

私の浅い素人推理で申し訳ないのですが

これを書いていた時の三島センセ

 

大切なものを手放すことで、真理をつかみたいと

私生活の中でも葛藤されていたんでしょうかね

 

すみません、思いつたことをそのまま口にしてるだけので

真偽はわからないのですが、

詳しい方みえたら、是非解説いただけると嬉しいです。

 

 

 

親が母ではなくオンナになった姿を子供が目にしたとき

子供は何を思うのか

 

作品を見る前漠然と感じていた

と私の素朴な疑問

 

その結論は

 

”子供によって受け止め方はそれぞれ違う”

 

思春期の子供たちがいう

言いたいのはそれじゃない

 

と言ったりする大人と子供のズレ

 

これを説明することって難しいですね

 

原作無性によみたくなりました。

 

理想を追求したいけど、理想と現実に絶望して

それでもつかみ取れない

キラキラしたものをつかみ取ろうと

少年たちは手をのばすんですよ

 


「曳航(えいこう)」と「栄光(えいこう)」

 

 

過去の栄光なんてはかないもんさの

ジムの気持ちも痛いほどわかりますよ

 

そして大きな船のような大人の男が

タグボートみたいな小さな少年たちに

人生を曳航されちゃうわけですよ

 

なかなか捻りのあるタイトルでございます。