今更観てないとはいえない『イブの総て』(1950年) | 自転車から今日は♪

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アメブロおみくじにより

今年の私のテーマは「大舞台」となりました。

 

なので映画も大舞台。

 

演劇界の内幕をを描いた作品をチョイスです。

 

アカデミー賞を6部門受賞した1950年公開の

ジョゼフ・L・マンキーウィッツ監督の作品です

 

 

それで「今さら観てないとはいえない映画50」

自分用にメモした作品リストこちらです↓

 

 

 

では、あらすじ

 

物語は華やかな授賞式からスタートします。

演劇界の偉い人たちや、俳優さんたちが

わんさか来ています。

 

 

 

 

こんなにも素晴らしい賞を若い私が頂くなんてと

緊張しながらも、初々しく微笑えむ

こちらの女性はイヴさん(アン・バクスター)

 

権威ある賞を、最年少でおとりあそばしました。


 

 

 

 

会場は、祝杯ムードで盛り上がっておりますが

 

複雑な表情を浮かべながらその様子を

見守る一部の関係者らしき人物たち

 

映画評論家の男がナレーションで

賞についての歴史について

評論家らしく、辛辣に説明していますが

彼はそんなことより、

イヴという女優と演劇界の裏の世界を

説明したくてたまらない様子。

 

 

なんだか穏やかじゃありません。

 

 

 

 

ちょっと態度悪しなこちらの女性は

演劇界のスター、マーゴ(ベティ・デイヴィス)

 

小娘に主役の座を奪われ、

ヤケ酒飲んでるというよりは、

こんな茶番劇付き合っていらないわとあきれ顔?

 

批評家のモノローグは彼女こそがスターと

実力を買っている言い方をしてますが

賞はとれないでいる。

 

いったい何がおこったのか?

 

 

 

上品な佇まいのこちらのご婦人

カレン(セレステ・ホルム)

賞をとった劇作家の奥様ですが

イヴの姿を目にした途端顔を硬直させます。

 

プレゼンターはスピーチを通して

イヴが発信する謙虚にもみえる

コメントを伝えてます。

 

本当に謙虚な人は、他人を口を使って

自分の謙虚さをアピールしたりはしませんので

カレンさんの険しい顔は、私の感じた違和感は

正解よと言ってくれているようで心強い。

 

カレンさんは、イヴとはじめて出合った

8ヶ月前のことを回想していきます。

 

 

 

 

8ヶ月前のイヴは、田舎からでてきたばかりの

垢抜けない女の子でした。

 

毎晩劇場の楽屋口に立っていたところを

カレンに声をかけられ、イヴの憧れる

大女優マーゴに紹介されます。

 

不幸話な身の上話に同情したマーゴは

イヴを秘書として雇うのですが

これがまた信長公の草履取りをやっていた

木下藤吉郎並の働き者

 

 

 

 

自分を崇拝し、自分に近づきたいと

演技から私生活まで

仕草ひとつひとつをイヴは見るんですよ。

 

「私なんて、私なんて」

と言いながら関係者には媚を売り

受けも良く評判も上々

 

 

イヴの如才なさに一抹の不安を覚えるのですが

自分は、大雑把で感情的になって

当り散らす欠点はあるし

こんなことを、頑張って働いてくれている

あのコにこんな感情を持っちゃいけないわよね

と自分を戒めるのですが…

 

 

 

 

あの小娘には用心なさい

 

 

いつの時代もおばちゃん達の見立ては

的確でした。

 

いちばん始めに気づいたのはマーゴの

お付きを長年やっている口の悪いオバチャン

 

イヴは控えめに自分を見せることで

周りの同情をかって味方をつくっていきますが

あの女はそういうタマじゃないと

バッサリです

 

でも日頃が毒舌なオバチャンで通ってるから

まわりは、はいはいと言って流しちゃうのね

 

この映画は、若くて可愛いよく気が付く頭の良い小娘に

大人たちがまんまと騙されて

小娘がのしあがっていくという物語だったんですねー

 

 

 

 

マーゴは子役時代の頃から自分の全てを

演劇にぶつけてきて、女らしさの欠片もないと

嘆いてはいましたが、オンナとしての本能は

しっかりと機能しておりました。

 

イヴはマーゴ恋人ビル(ゲイリー・メリル)をロックオン

 

マーゴより8歳年下のビルは売れっ子の演出家

喧嘩しながらも信頼関係を築けてましたが

マーゴとは正反対の、若く、控えめな

女らしいイヴの登場によって雲行きが怪しくなってきます

 

 

 

 

 

 

イヴが過剰なまでに「私なんて私なんて」

と自己を卑下しますが仕事はいつも完璧。

 

そんな彼女の良かれと思ってやたんですぅ~

言い忘れててごめんなさ~い

うっかりミスの数々

 

マーゴが苛立ちを隠さず周りに訴えれば訴えるほど、

イヴの謙虚さや気立ての良さが際立ちます。

 

友人や恋人が離れていき、どんどん孤立してしまいます。

 

あーいるよ、いるいる

こういうオンナ!

 

 

 

この映画、まだ駆け出し時代の頃の

マリリン・モンロー(白いドレスの女性)が

ほんの少しだけ登場します。

 

役柄こそ本を読まないルックスだけの女の子って

設定になってますけど

ホンモノのマリリン様はすごい読書家なんだぞ

 

マリリン様、この小娘どーにかしてくれ!

 

って思ってしまうのはそれだけ

それだけこの映画に

のめりこんでしまっていることでしょうか^^

 

 

 

マーゴを始めとする周囲の人間を騙し、

裏切り、取り入ってつかんだスターの座。

 

批評家のドゥイット(ジョージ・サンダース)は、

野心的なイヴに興味を示し、彼女の後押しをします。

 

イヴの野心はとまりません。

 

マーゴの恋人は略奪できなかったけど

自分に必要なものは最低限得られたたし

 

と今度は常識派のマーゴの友人カレンの

ご主人ロイド(ヒュー・マーロウ)をロックオン

 

ロイドは有名な劇作家です。

 

 

 

 

「イヴの総て」は演劇界の

内幕を描いた作品ではありますが

 

恋人や伴侶を奪われるかもしれないという

サレ妻目線からみた心理描写もまた素晴らしく

よく書けてるなぁと思いました。

 

カレンは優しいご主人の庇護の下

幸せな奥様としての余裕からか

元々の人柄からなのか、イヴに親切に接します。

 

イヴが成功できたのは、彼女の親切がきっかけなのに

その恩はどこへやら

今度はカレンから夫であるロイドを奪い

ロイドと結婚することによってブロードウェイを夢見ます。

 

その夢物語がまたイタい。

 

自分の野心のためにあそこまで周到に

計画できる頭の良い女の子が

どうして男が絡むとこうなるか

 

いつの時代もそれは、かわらないんだなぁ

 

世の中には力技で無理やりやってしまえる

人種もみえますは事実ですし

イヴもまたそのタイプかなと思えますが

 

イヴもつ子供っぽい底の浅さを

きっと彼女は生涯気づくことはないだろうし

知らないで過ごせるのなら、

それはそれで幸せなのかな

 

 

幸せでよかったねー

ある意味最強な人生だよねー

 

と棒読みでこの小娘の処方術を称えておりますと

 

 

 

 

 

批評家ドゥイットがスカッとするセリフを言って

やり込めてくれます。

 

このあたりは映画のクライマックス部分に

なるかと思いますので是非

映画で確認いただけたらなぁと思います。

 

 

何はともあれ、登場人物達は

それぞれに必要なものを手に入れて

このお話は幕を閉じます。

 

 

 

 

冒頭でみたマーゴはいかにも大女優といった感じで

意地悪な人かと思いましたが

色々な欠点はあるけれどチャーミングで

裏表のない人でした。

 

イヴとの一件で身の程を知った彼女は

受賞こそ逃したものの

隣には信頼できる伴侶を得て、

生涯つきあえる友がありました。

 

 

 

 

 

 

成功を約束された、自分のために書かれた友人の脚本を

マーゴはこの作品は若い女性が

演じた方が相応しいといって

役を降りる客観性をもてる器の広さありました。

 

映画のタイトルは『イヴの総て』

とあるけれど『マーゴの総て』という

映画はありえないでしょう。

 

彼女の可能性はこんなものではない

 

だからマーゴ役の女優さんが

生涯現役の大女優として活躍していたという

エピソードを知ったときは嬉しかったです。

(映画の役と、ご本人は別人なんですけどね)

 

 

 

 

 

 

『イヴの総て』のラストシーンです

 

なにやらいっぱい増殖しておりますが

この女性はいったい誰なのか

 

イヴの未来とその孤独を暗示するかのような

演出にはなっておりますが

 

今まで気づかない振りしていたものを

目の前につきつけられたというのが

この映画の面白さで

 

女優であるマーゴであれば少しずつ老いていく

自分の年齢や傲慢さであったり

 

妻であるカレンであれば、

夫の愛情がなくなれば職を持たない自分は

路頭に迷うという不安定な現実で

 

イヴであれば、これからの人生が

常に監視される中、仮面をかぶり

黒を白だと印象操作を続けなくてはならない

現実であるでしょう

 

登場人物達のこれからを想像しながら

彼らの心情を思うと書きたいことは

山ほどあふれてきますが最後にひとつだけ^^

 

 

 

グリューワインです。

ホットワインという呼び方もありますね。

 

料理用のスパイスが余っているので

作ってみました。

 

鼻をグズグズさせ、生姜湯がわりの

グリューワインを飲みながら

私はこの映画を観ていたのですが

『イヴの総て』ではマティーニが登場していました。

 

スティックで刺したオリーブを

複雑な表情をさせてぐるぐるやってる

ベティ・デイヴィスを真似て

私はシナモンスティックをかきまぜます

 

 

 

イヴの肩を持つ恋人のビルに苛立ったマーゴは

お入り用は何かとやってきたイヴに

マティーニを持ってくるように頼みます。

 

ビルはマティーニなら僕が用意しようと

その場を離れイヴに対して

君は何がいるかいと優しく訊ねます。

 

マーゴはイヴは夢見る女の子だと評した

ビルへの皮肉を込めて

 

ミルクセーキ

 

と彼女のかわりに注文します。

するとイヴは臆することなく

 

マティーニを。

ドライでお願いします。

 

と淑やかにマーゴと同じものを

主人の恋人にかわいくリクエストします。

主人であるマーゴへの宣戦布告ですね。

 

男はデレデレでそのことに気づかない。

 

本当に上手い演出です。

 

清純そうにみえる可憐な花には

危険な棘を隠し持っておりました

 

彼女の隠された一面を

何気ない会話のやりとりで表現してしまう。

 

この脚本書いた人はすごいなぁと思いました。

 

 

 

 

私が飲んでいるグリューワインは

安物の赤ワインを使っているけれど

フルーツやスパイスが加わると

こんなにもおいしくなる。

 

ということは、イヴみたいな

安っちぃ赤ワインのような女でも、

ひきたてるスパイスを上手に使えば

これは旨いと評価され

 

世の中って本当に不思議…

 

ぐるぐるぐる…

 

シナモンスティックをかき混ぜながら

あれやこれやと、考えるのでありました。

 

私マティーニに似合いませんが

間違いなくマーゴタイプですね

 

ぐるぐるぐる…

 

二杯目はチャイティーにして頂きます。

 

 

結局イヴのような人って

最後はどうなっちゃうのかしら

 

ぐるぐるぐる…

 

マティーニのオリーブがわりの

シナモンスティックはもちろん使いまわし

 

あれこれ考えながら

ぐるぐるぐる…

 

取り合えず身体だけはあたたまりました