今更観てないとはいえない「サンセット大通り」(1950) | 自転車から今日は♪

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『イヴの総て』を観たなら

『サンセット大通り』も是非セットで観てほしい。

 

そんなアドバイスをもらって

私のシネマワールドがまた少しだけ広がりました。


 

「今更観てない映画50」のリストにも

この作品は入っており、名作中の名作というのは

わかるのですが、

 

1950年

 

『イヴの全て』と『サンセット大通り』という

ふたつの名作が世にでてしまったことで

その年のアカデミー賞が荒れに荒れたという

解説を頂きました。

 

『イヴの全て』が演劇界の内幕のお話だったのに対し

『サンセット大通り』はハリウッドの内幕のお話

 

さて、どんなお話なのか

 

 

映画のあらすじ、みどりさんが

たくさんの写真をつかってとてもわかりやすく

纏めて下さっているのでリブログします。

 

私はなんの情報もなしにこの映画を観たのですが

大物たたちがでご本人役で登場したりと、

背景がわかるとより一層楽しめる作品で

ちょっともったいないことしちゃったかな

と思いました

 

解説読んで繰り返して観て楽しむ

という楽しみ方もありますが^^

 

 

サンセットといったらサンセットクルーズでしょ

大通りといったら人が集まる賑やかなところでしょ

ハリウッドでサンセットで大通り

 

ぽわわわ~んと

頭の中に80年代にめちゃくちゃ流行った

こんなイラストを思い浮かべ

 

 

 

きっとこの映画は

ハリウッドの映画関係者達の

ほろ苦いハートフルな人間模様を描いた

ラ・ラ・ランドの原型みたいな話だなと思っていたら

(だってコメディ映画のビリー・ワイルダー監督だし)

 

 

 

パトカーやら、水死体やら、現場検証で

いきなりサスペンス

 

『サンセット大通り』ってこんな映画だったの?

とのっけからびっくりすぎて

私の心情風景は目玉ぽーん!な絵文字状態。

 

んでもって、主人公はこの水死体ですよ。

 

自分はどうしてこんなプールに

ぷかぷか浮いているのかと

水死体が自らの過去を語りだすという

面白いスタイルの構成になっています。

 

この監督さんはコメディだけでなく

こんなシリアスでサスペンスな作品を

作っちゃう人だったんですね

 

(無知すぎてスミマセン)

 

 

バッハ トッカータとフーガ ニ短調

 

 

バッハのトッカータとフーガは

作中、物語のキーパーソンとなる

マックス(エリッヒ・フォン・シュトロハイム)という

執事がひとりオルガンで演奏していた曲です。

 

主人公があれこれ質問しても

どこふく風

さりげなく煙に巻いてしまいます。

 

廃墟のような大邸宅で

主である元大女優にかしずき

ピアノに料理、車の運転

お化粧のアドバイスに、身辺調査

なんでもこなしてしまうスーパー執事

 

昨今の執事ブームの火付け役は

この人からなのか 笑

 

主人公の未来を暗示するかのような

オルガンの音色にゾクゾクです

 

 

私はなんの情報も入れず、観てますので

俳優さんたたちが過去どういった作品に登場しているとか

諸々のことは書けないのですが

 

これボーダー(境界性パーソナリティ障害)の人を描いた映画だわ

 

というのが映画全体を観ての感想でした。

 

ボーダーという言葉は

ネットというものが普及したことによって

かなり認知されてきましたが。

わかりやすく有名人に例えると

人間失格の書いた太宰治先生のような方

と物の本にはかいてあるようです。

 

 

診断はお医者さまが行いますので

私がこのヒロインをパーソナリティ障害の人だ!

と言い切ってしまうのも乱暴ですが

とにかくヒロインのノーマさん

色々な側面をもった複雑なキャラクターです。

 

ボーダーの方のみせるチャーミングな魅力

不安定さ、そして欲しいものは欲しいと

必要なときは貪欲にもなれるパワー

 

それに加えてその人自身が

もっているもつ強い個性

 

昨年ネット読書会で、映画「人間失格」を紹介されたとき

俳優さんはとても熱演していたにもかかわらず

シネマ横丁の皆さんの感想はこんなの太宰じゃない!

って全体的に辛口でしたでしょ。

 

それだけ演じるには難しい役どころなんですよね

 

 

演じきれたらアカデミー賞だわと

反射的に呟いてはっとなります。

 

そうでしたよ

 

『イヴの総て』に登場した女優さんたちも

『サンセット大通り』に登場した女優さんも

オスカーを得られなかったという

番狂わせなアカデミー賞の乱

 

なるほど2作品セットで観てねという意味が

これでわかりました。

どちらも素晴らしい。

 

 

 

売れない脚本家の主人公が

じりじりと追い詰められてくる描写もいいですね。

ジョー(ウィリアム・ホールデン)は取立てに追われて、

かくまってもらえた恩義から

元女優ノーマ(グロリア・スワンソン)の夢を

ほんの少しだけお手伝い

 

ノーマの書いた膨大な脚本「サロメ」を

加筆修正していきます。

 

この二人のやりとり

スティーブン・キングのミザリーのよう

 

主人公はオープニングで水死体に

なっているのはわかってますし

 

こんな所で油売ってないで

さっさと逃げろー!

 

 

 

決して若くもない女性なのに

ノーマは純粋なところがあって女の私の目からみても

とてもかわいいです。

 

むしろ悪いのは、ノーマを利用してヒモになっている

男の方じゃないかと私の印象はかわっていきます。

 

恋人がボーダーだった方の手記を読むと

 

気持ちが安定していた頃のあの人はとても魅力的で

という言葉を良く目にしますが、自分は相手の美点を

知っているからこそ別れたくとも、別れられないとも話します。

 

自分にだけ見せてくれるその人の魅力

 

難しい役どころですよねぇ

 

離れようと思ってももう少しだけ…

 

まるで麻薬のよう

 

 

かわいそうな彼女を、見捨てることは出来ないな

とズルズルと付き合ってしまう主人公

 

だけど彼女はほんの些細なことで傷つくし

自傷行為はするし、自分の気持ちは休まらない。

 

干渉はエスカレートするし

些細なことで気持ちを取り乱しますので

主人公の注意は彼女を刺激しないようにという

視点へとかわっていきます。

 

「寂しくて仕方ないの!わたしを憎まないで!」

「出て行ったら死ぬから!この銃で自殺するから!」

 

面倒くさい性格に輪をかけ

彼女には過去の名声とお金がありますので

その面倒くささは倍増

 

ノーマは両者を駆使して再び女優として再生するという

夢を叶えようとするのです。

 

 

 

 

舞台や映画というのは

人の気持ちを駆り立てる

魔物が潜んでいるのでしょうか

 

 

主人公は自分にだって実現させた夢があるのだと

未来への一歩を踏み出そうと

歩きはじめます。

 

 

そこに襲いかかる悲劇。

 

 

 

 

 

このままでは、現実から隔離されてしまうと

もがき、苦しみ、

罪悪感を感じながらもノーマから

離れようとしていたジョーをと正反対の

行動をとっていたのが、冒頭でご紹介した

黒執事マックスです。

 

今風に言ったら「共依存」って言葉で

片付けられちゃうのでしょうけど

彼くらいにまで徹底してやってくれると

お見事!としか言えなくて

 

 

あの人を満足させるためには自分を

どこまで犠牲にすればいいのか

愛情をいくらそそいでも、ザルのように

すり抜けていく…

 

なんていうパートナー達に悩みを

払拭するかのようにマックスの行動には

迷いがありません。

 

 

こういうノーマタイプの女性には

ここまでやらないとダメなのか…

 

と思いながらもラストシーンでの

彼の目の輝きをみてぞわっとなりました。

 

主であるノーマが幸せに生きられるよう

尽くすことだけが彼の生きがい

 

 

 

 

ノーマはマックス無しでは生きられないことは

わかるのだけど、案外マックスがいなくても

マーゴはちゃっかり自分の駒となりそうな人物を

上手にみつけだして利用しそうな感じがするんですよね

 

でもラストシーンの表情は

マックスが存在しなければ成り立たない

 

お互い唯一無二の相手と出会ってしまったことが

悲劇のはじまりだったのか

 

ノーマと離れたらこの人どうなっちゃうんだろう

 

 

 

 

 

 

 

ノーマが演じたいと願っていた

「サロメ」です

 

オペラにもなっていたんですね

 

原作はオスカー・ワイルドさん

昨年末、「幸福な王子」でお世話になった

ワイルドさんがここでも登場

 

只今読んでいるビギナー向けの

オペラ本をスマホってみました。

 

物語の中で女優がサロメを演じると

 

貴女は女優以外の何者でもありません

ははー!

 

と関係者達が頭をたれているイメージのある

今更あらすじを知らないとはいえない「サロメ」

 

この映画をきっかけに

ちょっと興味をもちはじめてます