今更観ていないとは言えない『怒りの葡萄』(1940年) | 自転車から今日は♪

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坂道の多い所に住んでます。
愛用のママチャリで鼻歌歌うのが大好きです。
小さなおうちでの生活をのんびり綴ってみたいと思います♪

 

 

今日は早く帰ってくるから

と子供と約束しながら残業で帰宅が遅くなった日は

お詫びのシュークリーム

 

ところがシュークリームは売り切れで

残っていたのがシャインマスカットのタルトでした。

ちょっと悩んだものの、期間限定みたいだし

お気に入りなケーキ屋さんのものだしと

買ってものの、息子の反応は薄い。

 

 

おいしいことは、おいしいけど

やっぱりシュークリームの方の方が好きだな

シャインマスカットはフルーツとして

食べる方がおいしいと思う。真顔

 

 

ガーン このタルト、めちゃくちゃ高かったんぞ

 

よし、映画レヴューは『怒りの葡萄』だ

 

タルトの画像を記事にはりつけるんだっ!

 

というのが映画の拝見理由という…batsumaru

 

 

 

 

さて『怒りの葡萄』というこのタイトル

 

面白いタイトルですよね

攻撃性のない平和な葡萄になぜ怒る?

 

怒りの葡萄 - スタインベック

 

大昔に暗記させられて

反射的に著者名はでるものの

それから先はわかりません。

 

私は勝手にぶどう園の土地の利権争いで

男同士でドンパチやるお話だと思ってたんです

 

今年のワインの出来はどうかな

葡萄の仕上がりはどうかなと主人公が

採れたての葡萄を次元食べしてたら敵がやってきて

 

バキュンと銃をぶちかまして血なまぐさい抗争へ…?

(子供の頃次元の真似して葡萄食べたら

母にこっぴどく叱られました)

 

 

 

 

ところがこの映画に葡萄は登場しません

 

登場するのは桃農園なんです。

(綿花もあったかな)

 

これはいったいどういうこと?

 

 

 

 

物語は刑務所から仮出所した主人公

トム・ジョード(ヘンリー・フォンダ)が

4年ぶりに故郷に帰ってくるところからはじまります。

 

酒場でケンカして、正当防衛とは人を殺してしまったんですね。

 

オクラホマの懐かしの我が家に戻ってみれば

そこは荒れ果て家族はいない。

 

そこでトムは残っていた住人から

家族達におこった悲しい出来事を語ります

 

 

 

トムの家族ジョード家は先祖代々畑を耕してきたお百姓さん

 

ところが1929年の株式クラッシュで国は大混乱

それに加えて数年にわたる干ばつとダストボウル(砂嵐)

 

みんな生きるのに必死です。

 

毎日空き家には地主から命令されたトラクターがやってきて

土地を荒らし、家を壊し、人々を追い出そうとしていました。

 

そのトラクターを運転している人物は

農夫として共に働いてきたかつての仲間

 

だけど彼だって妻子を食べさせなくてはならないのです。

 

 

 

……。

 

 

 

さて

 

実は私がこの作品を拝見し記事を書く間に

大きなニュースが二つ入りました。

 

ひとつは台風21号、そして北海道地震

 

と同時に東日本大震災を思い出すのですが

こうしたニュースをみるたび自分達の日常は

こんなにも脆い土壌の上に偶然のように成り立っているんだと

なんとも言えない気持ちになってきます。

 

 

私は作品をみながら震災で故郷を追われてしまった

人の気持ちとシンクロさせていたのですが

とにかく辛い。

 

今年の目標の課題として挙げてなきゃ

こんなつらい映画はみたくもない。

(そしてこの映画の前半は少しダレる。しかし我慢だ)


 

 

 

 

一家は決断します。

 

 

夢のカリフォルニアだ!

 

 

家財をすべて投げ売り、

おんぼろで今にも壊れそうなトラックを買い

家族全員を乗せて夢のカリフォルニアを目指して

ルート66を走るんだ!

 

 

 

 

でも現実はこんなオシャレな曲のムードで

横断するわけではないんです。

 

 

 

どんなに荒れ果てても

祖父母にとっては大切な土地でした。

 

過酷な旅の中おじいちゃんが息を引き取り

おばあちゃんも目的地到着寸前で息を引き取り

 

 

家族に幸せになってもらいたくて決断したのに…

なんのためのカリフォルニア行きだったんだろう。

 

 

日中と夜の寒暖の差がはげしい砂漠地帯

精神的にも疲労する

 

おまけにサンドイッチを買うお金もない。

 

それも当然。

 

だって祖父の弔いをする余裕さえなかったのだから

 

 

 

そうしたいのだけど、家族全員で

10セントぽっきりしかないんでさ

 

ダイナーのオーナーの温情で売り物ではない一斤のパンを

15セントのところ10セントで譲ってもらい

家族はつつましく分け合う。

 

そのキャンディは2本で1セントなの

 

物欲しげにキャンディを眺める子供をみて店の奥さんはいう。

 

じぁあ そのキャンディも

 

そんなやりとりを観ていた店の客はいう

 

奥さん俺は知ってるよ

そのキャンディは1本5セントだ

だから釣りはいらないよ

 

ああカッコイイ。

私はこんは大人になりたいよ

 

 

怒りの葡萄とはなんなのか。

 

ワインを造るときに足でふみつけられる物言わぬ葡萄を

仕事がなくて過酷な環境の中

低賃金で働かなくてはならない農民たちに

例えてつけたタイトルだったんですね

 

シャインマスカットのタルトより

シュークリームがいいもんと言われた

高級マスカットの悲哀の話でもない(^▽^;)

 

 

 

なんとか無事カリフォルニアに辿りついても

一家はさらなる過酷な環境に巻き込まれていきます。

 

求人のビラを頼りに訪ねてみれば

そこは今でいうブラック企業

家はさらに過酷な環境へと巻き込まれていく

 

なんという『蟹工船』

 

トムのかわいい妹は新婚ほやほやだというのに

旦那さんに逃げられてしまい

しかもお腹には命が宿っているという

 

 

 

トムは無学な農夫でしたが何かを悟りはじめます。

 

そして、望まない二度目の殺人をおかしてしまいます。

 

過酷な度の末ジョード一家に待っていたのは農園での過酷な労働。

労働者達のストライキや抗議が怒りますが

それを抑える人間達も貧しい労働者なんです。

 

トム・ジョードは思い悩んだすえ家族とはなれ、

こうした戦いに加わることを決意します。

それを母親に打ち明けたときの彼の言葉はなんなのか

 

 

 

 

そして最後はぜんぶこのお母さんに

おいしいところを持っていかれましたよ

 

残された家族を必死で守ろうとするこのお母さん

息子とは違う選択をするのですが

トムとは違った意味で強い人間でした。

 

このお母さんが最後にいった言葉はなんなのか

 

これは是非映画でごらんくださいまし

 

 

 

 

日本の震災の悲劇の中たった一つ

救われる事実があったとしたら

みんなが今を乗り越えようと力をあわせせて動いた時期が

あったことなんじゃないかな。

ボランティア活動が盛んになり、困難者を応援し弱い人に手を差し伸べようと

少しだけ何かを我慢して節約してみたり出来ることを探してみたり

 

最後はこうした皆さんの働きかけを思い出し

映画の登場人物たちとシンクロさせてしまいましたよ。

 

これは文句なしの名作だわ

 

今更観ていないとは言えない『怒りの葡萄』

 

とりあえずこんな感じで拝見できました